温泉に一日中いたいから文豪になりたい

先日、中禅寺湖温泉に行ってきたわけですが、やっぱり温泉っていい。

なにを今さらだけど、温泉っていいよねぇ〜。あったまるよね〜。知ってる?あったるよ~。

もう一日中温泉に出たり入ったりして暮らしたい。寝て起きて温泉出たり入ったりして食べてまた寝るの。うっかり浴衣のまま入って慌てて出るくらい。

こりゃ将来の夢は湯治だなぁ〜、なんて、のん気に思ってたんだけど、湯治は湯治でちゃんとお金持ってないといけない。治療だし。病気で痛い思いするのも嫌だ。膝とか。

文豪ならいいかな。

文豪、ちょっと書けばお金になるし。温泉にいいんじゃないかな。モテたくてロックをはじめた、みたいに不純な動機で文豪になったっていい

文豪と言えど今の暮らしぶりなので、ネット環境は欲しい。今どきの文豪はネットで調べ物をしたい。WiFi環境も必須だ。Amazonで買い物したい。

でもネットを通して編集者に原稿を催促されるなぁ。

メールは教えず、Twitterもブロックするしかないか。Facebookも制限だ。温泉まで原稿を取りに来てもらって、テキストが入ったUSBメモリを渡すことにしよう。今どき文豪だけど手書きじゃないですよ。さすがに。

あとは口ひげと着流しで難しい顔する練習しよう。

それにしても文豪になるにはどうしたらいいんだろう。まずは作家にならないとかなぁ。

あれ?今さらだけど、作家の最終形って文豪なのかな。そんなキャリアパスなのかな。作家の「あがり」って文豪?

作家の最終形が文豪かどうかはわからないけど、文豪の最終形が温泉入り浸りなのはたぶん間違っている。

幾重にも重なるドラマが心を捕える網となる 横山秀夫『64(ロクヨン)』

いやぁすごかった。

横山秀夫が放つ「D県警シリーズ」、渾身の647ページ。見た目・中身ともに重厚かつ濃厚で、ページをめくる手が止まらない。

でも、一気に読み進められない。それには理由がある。

あらすじ

物語の主人公はD県警の広報官・三上。

警察というと捜査一課などの刑事たちが浮かぶけど、もちろん普通の会社みたいに人事や経理もいる。捜査に携わる「刑事部」と裏方業務の「警務部」の2つに別れ、広報のお仕事は警務部にあたる。記者会見を開いたり、捜査の情報を記者に流したりする。

この広報のお仕事、どうしても刑事と記者の板挟みになる。記者からは情報を出せとつつかれ、刑事からは何もしないで情報だけ持っていくと嫌われる。

そして三上はというと、”元刑事の広報官”。

刑事から情報を引き出しやすいんじゃない?と思うけど全く逆。古巣からはスパイのように見られ、警務部からは刑事側と裏とつながってんじゃない?と上司に疑われる。なんとも難しい立場。

各方面から挟まれる日々の最中、警察庁長官がD県警に視察にやってくると知らされる。突然の視察の目的は、14年前に起きた未解決事件「翔子ちゃん誘拐殺人事件」。昭和64年に起きたため「ロクヨン」の符号で呼ばれるこの痛ましい事件は、三上も刑事のころ関わったもの。

長官は刑事部を激励し、遺族宅に訪問し、記者のぶら下がり取材まで受けるという。長官視察の段取りのため、刑事部・記者・遺族に頭を下げて奔走する三上。

しかし走り回っているうちに「ロクヨン」の裏に隠されたものを感じ取る。「ロクヨン」の影を追ううちに、刑事部から妨害を受けはじめ…

どんどん険悪になる刑事部と警務部。長官の視察の真の目的とは?「ロクヨン」の真実とは?そして迎える長官視察の日…。

多すぎる対立、全てに感情移入する

だいぶ盛り上がってありすじ書いちゃいましたが、主人公・三上の置かれた立場の厳しさたるや大変なんです。刑事部、記者、遺族をはじめ、キャリアの上司、広報の部下、家に帰れば家族(実は高校生の娘が行方不明…!)という、もう気がかりで胃が痛くなることだらけ。

この「対・三上」の軸のひとつひとつが、丁寧に書き込まれているんです。ただの嫌な奴もいれば、自分の仕事に誇りを持つ者、戦略的に相対する者、すべてを諦めた者まで、いろんな人間がうごめいている。すべてに命を吹き込んでる。

なので、ガーッと読み進めては、うわぁ…と天をあおぐ、の繰り返しなんです。

一気に読めない。

ドラマが多すぎて、めまいがするのだ。

多種多様な人間が描かれてるので、絶対誰かにドンピシャはまったりすると思う。読み終わってもしばらく登場人物の名前を覚えてる。そんな小説なかなかない。

ミステリとしての「64」

こんだけドラマが多くて、これだけでも警察小説として一級品なんですけど、ミステリとしても珠玉の出来なんです。

読んでるとなーんか小骨がひっかかる感じがあるんです。三上が気がかりをひとつひとつ明かしていくんだけど、まだ裏になにかありそうな感じ。ずっと重低音でベースが鳴り続けているような不穏な空気。

これが怒涛の終盤で一気に発散する。あの”小骨”が実は巧妙な伏線だったことがはじめて分かる。霧が一気に晴れる。そこに登場人物たちの顔が絡む。

これで心がたかぶらずしてどうする、と、もうこちら、正座で訴えております。読んでほしい。読んでほしいなー。絶対損しませんって。持つと重いけど。それ以上に、心に重くのしかかるから。

オールタイム・ベスト級の逸品です。自身を持ってオススメ。ぜひぜひ。

好評発売中はなにが好評なのか

コンサートの告知なんかで「チケット好評発売中!」という売り文句がある。

なにが好評なんだろう。

まだ公演は始まってないから、公演の中身が好評なんじゃない。でもなにかが好評だ。好評発売中だ。

「好評」は「発売中」にかかる言葉なのだろうか。

あの売り場の人すごい丁寧!お釣りも両手で添えて渡してくれる!電話応対の物腰の柔らかいこと!

それとも「チケット」に「好評」がかかるのだろうか。

このチケットすごい!キラキラしてる!ミシン目の細かいこと!いくらでももぎれる!むしろ、もぎられたくない!

「絶賛受付中」というのもある。

この想いを受け付けてくれた!ブラボー!立ち上がる群衆。鳴り止まぬ拍手。うやうやしくお辞儀する受付係。暗転。そこから幕が上がる。

「好評分譲中」というのもある。

もうわからない。

このまえ近所の墓地で「好評受付中!」というノボリを見かけた。

ますますわからなくなっている。

【秋の行楽】いろは坂&中禅寺湖で紅葉を観てきた【渋滞ギュウギュウ】

先週末、11/3,4と奥日光の中禅寺湖温泉に行ってきました。

この時期、本来は紅葉がもう終わろうかという頃。10月中旬がピークなんだそうです。日程的にここしかなくて宿をとったのだけど…

なんと今年は猛暑の影響で紅葉のペースが遅れ、11月に入っても紅葉が見頃とのこと!おお!

勢い勇んで5時に起き、家族全員車に乗りこみ、東北自動車道から日光宇都宮道路へ。紅葉で有名な「いろは坂」を乗り越えて、中禅寺湖に向かうのだ。

日光宇都宮道路に入ると…

紅葉、だー!(Xの「紅、だー!」の掛け声で)

しかし…

大渋滞。

予想はしていたものの、思った以上の渋滞ぶり。まだいろは坂に入ってない。

普通、渋滞って、止まることは止まるけど、そこそこノロノロ運転で進む。でもこの渋滞、ピタッと車が止まって全然動かない。たまにちょっと動く。またしばらく動かないの繰り返し。すごいスローペース。

やっといろは坂に入るが…

混んでる。

そうそう、いろは坂には「第一いろは坂」と「第二いろは坂」の二つがある。「第一」が下り専用、「第二」が上り専用の一方通行。

つまり、登ったら、引き返せない。

一度登ったらもう、登り切るしかない。それがいろは坂なのだ。

なのだ、って言っちゃったけど、この時はじめて知った。

どおりで、いろは坂手前で「この先最後のコンビニ!」とか「最後のガソリンスタンド!」ってアピールがすごかったわけだ。

もちろん紅葉は素晴らしいのだけど、

ギュウギュウ。

そういえばよくニュースで「日光で紅葉がピーク」というと、ヘリから紅葉といろは坂の渋滞を映してた。色とりどりの木々と、小さな車たちの列。これか。いまあの渋滞の真っ只中にいるのか。

この日も空撮っぽいヘリが飛んでた。自分が時の人になってるのを感じる。

動かない。

1時間以上経過し、車内の倦怠感もピークに。娘五歳がトッポを握りしめたまま寝ていたりする。

頂上の明智平を越え、道は下りにはいるが、まだまだ渋滞は続く。2時間は経過し、日も暮れてきた。朝日と共に出てきたはずなのに。

これだけ混んでると、渋滞の先頭はどうなってるんだろう?と不思議になる。

あれかな、猿が出てきたりして、みんな写真撮ってんのかな、とか仮説を立てるが、そんなこともない。ハプニングも起きない。

そして2時間半、ようやく中禅寺湖に着いた。

そこにあった「渋滞の先頭」とは…

信号でした…

この信号が赤になる度に、車の動きが止まる。巡り巡っていろは坂の入口まで伝わっちゃう。そういうことだったのか…

というわけで、普段は20分ぐらいの距離を、2時間ちょっとかかって抜けました。来年、いろは坂に紅葉を観に行く方はご参考に。

いちおう途中にトイレはあったけど、事前に済ませた方がいいです。コンビニで食糧を、スタンドでガソリンを、それぞれお忘れなく。

翌日

明けて朝。中禅寺湖の紅葉は素晴らしかった!

朝の青空に光る湖面と山の紅葉。美しい。

中禅寺湖を一周する遊覧船に乗りました。

一時間に一本なので時間を確かめてから行きましょう。ちなみにやってるのは4月から11月まで。冬は運行しないのね。

光る水面。

船上からの景色。

帰りは第一いろは坂を下りました。時刻は昼前。また渋滞かも…と覚悟してたらスイスイ。あっという間に山を越えました。上りの2時間はなんだったのか。

下りのいろは坂から観る紅葉もまた格別。道路の両側から枝が張り出して、紅葉のトンネルになっていました。素晴らしい。

まとめ

「いろは坂の渋滞」といえば秋の風物詩としてよくテレビで目にしてた。混んでるのによく行くなーと思ってた。

でも実際にその場に行ってみると、思った以上の大変さと、思った以上の美しい景色があった。

その場に行ってみる、って、やっぱり大事なんだあなぁ。

中禅寺湖、また行きたいです。今度は初夏とか良さそう。混まないし。たぶん。

iTunes Storeにソニーがやってきて、電気グルーヴ「PARKING」が売られている。

日本のiTunes StoreにSony Musicがやってきた。(※ナタリー – Sony Music楽曲がiTunes Storeで配信開始

電気グルーヴ、真心ブラザーズ、サンボマスター、ユニコーンなど、好きなアーティストがなぜかことごとくSony Musicな僕には嬉しいニュース。インディーズの頃から聞いていたグループ魂までKioon/Sonyに移籍してしまうほど、こと音楽に関してはSonyっ子です。

うわぁーい、と、iTunes Storeを巡っていたら、なんと電気グルーヴの「PARKING」が売ってた。

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これはですね、1995年、電気グルーヴの当時のメンバー(石野卓球、ピエール瀧、砂原良徳)それぞれのソロ作品を1つにパッケージした限定ボックスだったんです。お値段一万円。買いましたよー。ボックスを開けると運転手人形が奇声をあげる仕様で、実家に置いていたら姪たちのオモチャになってましたけど(その後たぶん津波で沈んだ)

発売されたのはもう17年も前になるんだなぁ…。

そのボックスセットが、音楽配信される世の中になるとは。

ボックスセット自体の希少性を失わないままに音源が聞けるようになる、というのは音楽配信ならではだなぁ。ソロ作品のうちピエール瀧の「メカノ」はVHSビデオだったので、その音源まで聞けるわけです。

改めて音楽配信、ひいては電子書籍の持つ可能性を実感。わかってはいたけど、やっと自分の身で感じた。時間と空間と次元を超えて、自分のところにやっと届いた。

CDの音源はあるから、「メカノ」の音源だけ買おうかな。

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