【告知】『隻眼の少女』の帯にコメントが載りました

すいません、告知です。ちょっとこちらを御覧ください。

こちらは書店にならぶ麻耶雄嵩『隻眼の少女』です(→当時の感想文はこちら

ちょっと寄ってみましょう。

まぁ!

というわけで、文藝春秋様からお話をいただき、『2011本格ミステリベスト・10』に寄せたコメントが増刷分の新帯に掲載されました。おぉー。

昔から読んでる作家さんの本の帯に自分のコメントが載るなんて…。なんとも恐れ多いやら…。

少しでも売上に貢献できれば幸いです。みなさま書店でチェックを!
 

中年サラリーマンのブツブツ

今日のできごと。

コーヒーを飲みに店に入ったら、独りでブツブツしゃべりながら中国語のテキストを読んでる中年サラリーマンがいた。

電車に乗ったら、向かいの席に辺りを見回しながら小声で何かしゃべっている中年サラリーマンがいた。

ラーメン屋に入ったら、独りで鼻歌を歌いながらラーメンを食べている中年サラリーマンがいた。

1日に3回も同じような中年サラリーマンに会ってる。みんな独りでブツブツ言ってる。もちろんみんな別人。なんだこれは?

ひょっとして、中年サラリーマンの心の声が聞こえるようになった?

なんだこのSPEC。

狙った相手の心の声ならまだしも、BGMみたいに中年サラリーマンの声が聞こえるのは嫌だ。しかも何しゃべってるのかギリギリわからない。中年サラリーマンが心の中で助けを求めていたとしてもブツブツ…しか聞こえないから助けられない。うるさいだけじゃないか。

ただ、会議の場で、あっ部長なにも考えてない!というのだけわかる。

でもそれはこんな能力なくても知ってる。

もー。
 

いまさら胸毛が生えてきた

昨日お風呂に入っていて気がついた。

胸毛が生えてきてる。

昔は全然なかったのに、なんかちょこちょこ芽生え始めている。JTは植林活動を行っています、みたいなまばらな芽生えかただ。35歳になっていまさら?

そういえば毛というものは人間の急所を守るために生えていると聞いたことがある。頭、脇の下、男の乳首、デリケートなゾーン。つまり逆に考えれば毛が生えているところ=急所、弱点と言える。確かに乳首をいじるのはやめてほしい。いや、逆に…まぁこの話は置いておこうじゃないか。

ということは、僕は年をとって胸が弱点になってきたということなのだろうか。体が胸毛という形で弱点を伝えているのか。親切なゲームだとボスと戦う前に弱点を赤い矢印で示してくれたりする、あの感じ。

胸が弱点ということは呼吸器系なのかなぁ、と、ちょっと納得しかけたけど、じゃぁ一般的に年をとるとハゲてしまうのはどういうことなんだろう。もう弱点じゃない、というのはちょっと考えづらい。年をとっても頭を狙われたら痛い。

たぶん、あまりにも弱点すぎて、毛をフサフサ生やしすぎると逆に弱点がおもっきりバレるから、あえて弱点じゃないですよホラ無防備でしょう?というアピールなんじゃないだろうか。

戦力がないんだけど敵に「兵士が誰もいないだと…いや、引き返せ!これは罠だ!」と思わせるみたいな感じ。

こうやって人類が繁栄してきたと思うと感慨深い。

でもあまりハゲたくない。

笑顔絶えない昇り竜 大矢博子『脳天気にもホドがある。―燃えドラ夫婦のリハビリ日記』

「なまもの!」と言えば、泣く子も黙って本を読みだす老舗書評サイト。イノミスも創設時からお世話になっております。その「なまもの!」の美人巨乳主婦オーナー(自称)こと大矢博子さんの初の単著は『ドアラ絶賛!』の帯。どういうことなのかと言うと、

脳出血で倒れ、右半身麻痺と失語症のリハビリと闘う夫との日常を、愛情たっぷりに描く痛快エッセイ。自分が倒れないための本音の介護情報が満載。「リハビリより鉄道、介護よりドラゴンズ」という脳天気な夫婦の、発病から1年間のお笑いリハビリ日記。

ある日突然、旦那さんが脳出血で倒れてしまう。よりにもよってリビングで医療ドラマ「E.R.」を観ている最中に。救急車で運ばれる時にまで最近買った鉄道の本を持ってきてと頼む旦那さん。病院の予定を「その日はドラゴンズの開幕戦だから」とリスケジュールする大矢さん…。

病状自体は大変なことになっているのに、お笑いエピソード満載で展開する闘病記ならぬ”笑病記”。鉄道マニアの旦那さんは失語症で妻の名が言えなくても「クモハ」と車両の記号は言えちゃうし、立浪引退の報道に驚いた大矢さんが中日スポーツを手に病室に転がり込みあまりの衝撃のニュースでリハビリが進んだり。

サイトの日記の軽やかな筆致そのままに綴られる「愛より実務、涙より行動」とドタバタ続く毎日。それでもその合間には夫婦がお互いを気遣い想う姿がかいまみれて、爆笑から微笑み、ニヤニヤニコニコまでいろんな笑顔をもらえます。

病気の人も、介護する人も、笑ったり休んだりしたってオールオッケー。もしドラゴンズファンの妻が鉄道マニアの夫を介護したら、という、もうひとつの<もしドラ>。笑ってほっこりする一冊になってます。
 
以上です、編集長!

日本とくになんでもない話

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に芝刈りに、
おばあさんは川に洗濯に、
少女は通学のバスでまどろみ、
子供たちは歌声を青空に響かせ、
大人たちは握手をかわし、
少年は夕食が湯気をたてる我が家を目指し、
桃は河口に辿り着き、
そしてまた夜がくるのでした。

めでたしめでたし

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昔々あるところに、浦島太郎という若者が住んでいました。
ある日、浦島太郎が海岸を歩いていると、
子供たちが一匹の亀をいじめていました。
浦島太郎は亀を助けました。
亀は「助けてくれてありがとうございます」としゃべりました。
浦島太郎は驚いて、
近くの水族館に携帯で連絡しました。
浦島太郎は水族館の職員の車を誘導しました。
しかし海岸に戻ってみると亀の姿はありませんでした。
「しゃべる亀なんていないじゃないですか」職員たちは笑いました。
浦島太郎はがっくりと肩を落としました。
夕陽に映し出されたそのシルエットは、まるで老人のようでした。
翌朝。
浦島太郎が顔を洗おうと鏡を見てみると、
一本の白髪を見つけました。

めでたしめでたし

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昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、
おばあさんは川に洗濯に、
弱い者たちは夕暮れさらに弱い者を叩き、
その音が響き渡ればブルースは加速していくのでした。

めでたしめでたし

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昔々あるところに、浦島太郎という若者が住んでいました。
ある日、浦島太郎が海岸を歩いていると、
子供たちが一匹の亀をいじめていました。
その音が響き渡ればブルースは加速していくのでした。

トレイントレイン