本当の恵方はもうちょっと右

節分です。今年の恵方は南南東らしいですよ。

なんか恵方っていっつも漢字三文字の微妙な方向な気がする。「ずばり北!」とかないのだろうか。

と、思ってちょっと調べてみた。

「恵方」というのは歳徳神という神様がいる方向のこと。ほぼ毎年いる方向が変わるけど、東北東・西南西・南南東・北北西の4種類だけらしい。

4つしかないとは以外。あちこちにテレポートするボスが倒せなくて困っていたら、実は出現場所が決まっていて、待ち伏せすれば楽に倒せるじゃん!みたいな発見。いやいや歳徳神倒しちゃだめだけども。

しかし古来の甲とか丙とかの24方位を16方位に無理に当てはめているのでズレがあるらしい。正確には


甲の方 = 75° ≒ 東北東 + ちょっと右
庚の方 = 255° ≒ 西南西 + ちょっと右
丙の方 = 165° ≒ 南南東 + ちょっと右
壬の方 = 345° ≒ 北北西 + ちょっと右

で、16方位+ちょっと右になる。今年は南南東+ちょっと右(67°30′+7°30′)が正しい。知らなかった。

ストラックアウトで5番を狙うと宣言しておいて4番に当たるみたいなことが毎年起きてるわけだ。

だからズレてるんですけど!と歳徳神も毎年イライラしてると思う。恵方巻きを食べてる方も結局神様の恩恵が受けられない。

我々がちょっと右に向くか、歳徳神が妥協して自ら動くか、今年も根気比べはつづく。

思春期前夜祭! 天久聖一『こどもの発想。「コロコロバカデミー」ベストセレクション』

もう、お腹が痛い。痛いよー。

2001年~2004年に『コロコロコミック』に連載されていた読者投稿ページ「コロコロバカデミー」のベストセレクション。「100点以上の0点をとろう!」を合言葉に、10年の時を超えて小学生たちのおバカ投稿がいまよみがえる。

言わば「小学校のテスト問題大喜利」を現役小学生が答えるわけなんだけども、設問が絶妙。例えば。

・右の人物(織田信長など)にあなたの考えたニックネームをつけなさい
・発明家エジソンの発明品をひとつ答えなさい。
・シンデレラがお城に忘れてきた物はなんですか?まちがえて答えなさい
・お巡りさんはふだんどんなお仕事をしていますか?まちがえて答えなさい

この「まちがえて答えなさい」がすごい発明だと思う。こう言われただけで、小学生たちが途端に面白いことを言おう言おうとしているのがビンビン伝わってくる。シンデレラがわらじを忘れたりしてる。

もう一つの特徴が、回答がすべて小学生たちの手書きのまま掲載されていること。もう字が汚いだけで面白い。また、読者投稿ページから問題部分を切り取って書いてハガキに貼る、というスタイルだったため、問題文のイラストになんか足されてたり、そもそも切って貼る段階ですごく汚くなってたりする。バカドリル公式のこちらのページで作品の一部を見ることができるのでぜひ → 自由すぎる!こどもの発想。-バカドリル

ずっと読んでると不思議なもので、小学生たちのおバカ脳に大人脳が順応しはじめて「ハイハイ、またウ○コね」となってくる。トランス。しかし、途中途中に編者の回顧録が挟まっていて、この”大人目線からのコラム”によって大人脳にリセットされる効果がある。これもまた絶妙な構成。

オトナの大喜利にはない、ルール無用・下ネタ上等・問答無用のハイセンス回答たち。飛び道具だらけの校庭に、オトナはもう腹を抱えて床を転がるしかない。超オススメ!

関連リンク
自由すぎる!こどもの発想。-バカドリル
「こどもの発想。」蛇足。-バカドリル

魅惑の「地下デジタル放送」

「地上デジタル放送」という言葉が気になっている。正確に言うと「地上」の部分。

今までのテレビもいつの間にか「地上アナログ放送」と呼ばれていてる。「地上」ってなんだ。衛星放送と区別するための「地上」なのかもしれないけど、地上デジタルが出る前からBSもCSもあったし、アナログ放送には「地上」なんてついてなかった。なんでついたんだ。

これはひょっとして僕らの知らないところに「地下」があるんじゃないか。

だからわざわざ「地上」ってついてるんじゃないか。

地下デジタル放送。

文字通りアンダーグラウンドな放送だ。健全なコンテンツとやらは地上デジタルのやつに任せて、ピー音もボカシもない、後でスタッフが美味しくいただいたりしない、そんなアンダーグラウンドなコンテンツが充実。デジタルだから画質もキレイ。

まず確実にアダルトは地下デジだろう。今は地上波で流れないホラー映画や、お笑いウルトラクイズとか昔の過激なバラエティも地下デジだ。水曜スペシャルも「決定的瞬間」も「A女E女」も「バーミリオン・プレジャー・ナイト」もぜんぶ地下デジ。

なんと魅惑的な地下デジタル放送。B-CASカードも見たことのないダークな色合いなんだろう。

そして地デジカの中にも一匹だけ、角の先が下を向いてるやつがいるはずだ。

とりあえず見つけ次第生け捕りにしておこうと思う。
 

彼岸へのオーリー・ドロップ 藤沢周『オレンジ・アンド・タール』

解説を書いているのがオードリーの若林なんですよ。

高校でアウトロー的存在のカズキは、スケボーに熱中して毎日を送る。今日も伝説のスケートボーダーのトモロウのところへ相談に行く彼の心に影を落としているのは、同級生が学校の屋上から落ちて死んだことだった。そして、目の前で事件は起きた。自分って何なんだよ、なんで生きてるんだよ―青春の悩みを赤裸々に描いた快作。

カズキが視点となる「オレンジ・アンド・タール」と、カズキが信頼を寄せる”伝説のボーダー”の浮浪者トモロウが視点となる「シルバー・ビーンズ」の中編二編からなる一冊。二編の時系列はほぼ同列で、カズキがトモロウと話しているとき、トモロウがどんな状態にいるかが後でわかるようになっている。

同級生の突然の自殺に、カズキをはじめ学校や友人たちは不安定な波の中にいる。グラグラな自分、キワキワな友人。青い春はひとりの死によりその濃度を高めて苦しめる。そこで「外の存在」であるトモロウさんに救いをよせるようになる。トモロウ=Tomorrowを期待するように。

「オレンジ・アンド・タール」では登場人物のほとんどが不安定な状態にいる。安定しているトモロウを頼るが、そこである事件が起こる。一方、「シルバー・ビーンズ」ではトモロウが自らを語りだす。彼もまた、不安定な波の中にいるのだ。

本作では全編を通しスケボーをメタファーとして、自分と世界の境界を見つけようとする。テールを蹴って飛んでいる間「無」になる瞬間を見る。繰り返される専門用語とスピード感と虚無。まるで禅のような世界にひきこまれる。

加えて、この文庫の解説をオードリーの若林が書いているのも必見。オードリーが「ダ・ヴィンチ」の表紙に登場したときも「オレンジ・アンド・タール」の単行本を手にしていたほど思い入れがある若林。「僕にとって「オレンジ・アンド・タール」は単なる小説ではない」と語る。

オードリー若林の解説は、作品解説というよりも一読者の視点による手記に近い。自分の中の世間に対するわだかまりと、それを芸人として昇華させるまでの間に「オレンジ・アンド・タール」が存在する。それがまた、『「オレンジ・アンド・タール」を読んだ男』として本編の一部になっているようにも感じるのだった。

カリスマなどいない。みんな自分と世界に折り合いをつけようとしている。自分を求める思春期にも、迷える大人にも、なんらかのヒントをくれる一冊です。

話を聞かない男、地図が読めない女、そして

昔「話を聞かない男、地図が読めない女」という本がベストセラーになった。

男脳と女脳の違いを説明してた本だけど、最近の研究だと男も女もそんなに脳力に差があるわけではないらしい。

じゃぁなんだったの、というわけで、「話を聞かない男、地図が読めない女」の続きを考えてみようと思います。

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話を聞かない男、地図が読めない女、戦争を知らない子供たち

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話を聞かない男、地図が読めない女、名前がわからない若手イケメン俳優

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話を聞かない男、地図が読めない女、英語でしゃべらナイト

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話を聞かない男、地図が読めない女、煙が少ないお線香

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話を聞かない男、地図が読めない女
ふたりの前に現れる、話の読めない男…

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話を聞かない男、地図が読めない女、
標識がない山道、もう動かない車、
地図にない洋館、引き返せない暗闇
愛想がない家政婦、素姓がわからない客人たち、
主がいない宴、扉が開かない部屋、
息がない主、繋がらない電話、
アリバイがない女、話を聞かない男、
明けない夜、降り止まない雨───。

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話は聞いてあげた方がいいよね。