6つの短編+書き下ろしの幕間に、最後に解説を付け加え、奇妙な味の連作に仕上がっている本作。武蔵野を舞台に、墓地に人魂が浮かび、RCカーが暴走し、密室から遺言状が消え、学生は薔薇を抱え、強盗は古本に宝石を隠し、白シャツの男がいつのまにか赤シャツになっている。
日常の謎のようで非日常な事件の数々は、まさにミステリーとファンタジーを行ったり来たりする作者の立ち位置そのままの浮遊感。「メフィスト」に掲載された短編を後付けでつなぎ合わせているのだけど、短編同士に伏線があるわけじゃないので密接度はそんなに濃くはない。むしろ短編をもう一つ書き下ろしてバラバラにして幕間に紛れ込ませた、という感じ。全編男の一人語りで構成された、こちら幕間の試みがこの本でやりたかったことかもなぁ。
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