仕事でメールを打ってたら、「問い合わせ対応」が「問い合わせたい王」に変換された。
問い合わせたい王。
王様はとにかく問い合わせたい。買ったパソコンをインターネットにつなげたい、それだけだったのに、王様はいつしか問い合わせることが目標になってしまった。
パソコンはとっくにネットにつながっている。家臣が国中からIT技術者を集め待機させている。それでも王様は今日もサポートセンターに電話する。皆、首をひねるばかり。
保留音を聞きながら、王様は玉座でうたた寝をする。あの声の主にまたつながるかのぉ…。受話器からは「星に願いを」が流れている。
When you wish upon a star
Make no difference who you are
Anything your heart desires
Will come to you星に願いを懸けるとき
誰だって
心を込めて望むなら
きっと願いは叶うでしょう
開け放した窓から春の風がそよぐ。桜の花びらが一枚、ヒラヒラと受話器に舞い降りる。その瞬間に音楽が止まり、「大変お待たせいたしました」と女性の声に変わる。
僕は文字を3つ消して「対応」と打ち直す。