テレフォンショッキングがお友達紹介をやめた

テレフォンショッキングがお友達紹介方式を廃止したらしい。

いつもなら「お友達を…」と切り出すタモリが「明日のゲストを紹介しまーす」と宣言したらしい。

確かにこの数年のお友達紹介はシステムが崩壊していた。新ドラマが始まるタイミングで俳優がポスターを持ってやってくるし、新曲が発売されるタイミングで歌手がタモリにCDを手渡しにきた。猿岩石が渡嘉敷勝男に電話をかけて「はじめまして」と挨拶したりした。

「喜劇は終わった。幕を引け」とはフランスの作家ラブレーの言葉だ。商業主義に染まりながらも「友達の輪」という喜劇を演じ続けてきたテレフォショッキングが、その幕を引いた。

で、思うのだけど、テレフォンはどうするのだろう。

コーナー名が変わったという話は聞かない。「テレフォンショッキング」のままだ。冠につけられたテレフォンはもう使われない。テレフォンアナウンサーは?あの「WA!」と書かれた手元カバーは?
 

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ゲスト紹介方式になったテレフォンショッキングであったが、電話機もテレフォンアナウンサーもアルタに残されていた。

しかしお友達を紹介することもないため、当然出番はない。舞台左に常にスタンバイしているテレフォンアナウンサー。淡々と自分の仕事をこなすタモリ。

今日も普段通りの上辺を撫でるようなトークでコーナーは終わろうとしていた。その時だった。

電話が鳴った。

鳴るはずのない電話が鳴っている。カメラが左へ思いきりパンして映像が揺れる。静まりかえるアルタ。響く呼び出し音。テレフォンアナウンサーが意を決して電話を取る。一言二言交わし、子機はタモリの元へ。

「こんちわ」とタモリ。「待たせたね」と相手。「んなこたない(笑)」会話が続く。「来週月曜日ですけど大丈夫ですか」いつもならタモリが言う台詞だ。「大丈夫です」とタモリが答える。

「じゃぁ来週、来て、くれるかな?」
「いいとも!」

タモリが「いいとも」を言う展開にゲストも客席も声を失っている。電話の向こうから「お待ちしてまーす」とどこかで聞いたような声がしている。満足気な笑みを浮かべたタモリを最後に映してCMに入った。いたずらが成功した子供のような、無邪気な笑みだった。

月曜日。

家にタモリの姿はなかった。寝室で寝ていたはずなのに、煙のように消えていたという。貴重品の類は残されていたが、サングラスだけが無くなっていた。

奇妙な世界への扉がやっと開いたんじゃないですか。後任に決まった中居正広がしたり顔で言った。

知らないあいだに広告が頭に入ってくる日

ちょっと前だけど、大阪府泉佐野市が「市の名前を売却する」と発表してニュースになった。自治体の名前に命名権(ネーミングライツ)をつける。その驚きのアイデアに賛否両論の様子。

で、昨日こんなニュースがあった。

 香川県が展開している「うどん県」キャンペーンに合わせ、JR四国は29日から高松駅(高松市)の愛称を「さぬきうどん駅」にすると26日、発表した。

 同駅構内のすべての駅名表示板(12か所)に愛称のシールを貼り、記念撮影用の愛称看板、駅名スタンプも置く。切符の表記変更も検討する。

JRも「さぬきうどん駅」に変更…駅に愛称表示 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「JRも」というのは、先日の東武鉄道・業平橋駅→「とうきょうスカイツリー駅」の名称変更を意識してのことかと。そのあとの「快速「マリンライナー」のグリーン車1両をうどん県副知事・要潤さんの写真でラッピングする」というのも衝撃だけれども。
 
うーん…。

目につくもの全てにお金のにおいがつけられる未来って、なんか、息苦しい。

広告は「人の目にとまるところ」にチャンスがある。それはわかるんだけど、なんだろう、こっちにはその気がないのに「俺が俺が!」と自己主張されている感じが、なんか、僕は苦しい。思い込みかもしれないけど。

駅に看板がある、テレビにCMがある、Webにバナーがある。「広告があると知ってるところに見える」のと、市や駅のネーミングライツみたいに「見えるところに広告が入ってくる」のとでは、ちょっと気分が違うのだ。いまは結構、みたいなのができなくなるのがツラい。

ステマ(ステルスマーケティング)とかも話題になってる昨今、そのうち「見るとこ・見えるとこ」みたいな境目もなくなってしまうのかな。もう無意識に頭に入ってくる広告。本当の意味でステルス。

広告が目指すところって、こういうところなんだろうか?
 

そういえば、むかーし、おでこに広告を入れて歩きまわることで広告料を得る男性、みたいなニュースみたことがあるけど、今度は人名もネーミングライツで売られたりするかもしれぬ。

高知東急みたいな。

これダメな例だ。訴えられたんだった。なんかないのか。豊田エリーか。これは普通の苗字か。

なんかないのか。
 

R-1ぐらんぷり、柳沢慎吾出場待望論

R-1ぐらんぷり2012が終了して1週間近く経った。

COWCOW多田が優勝したものの、印象に残っているのは2位のスギちゃんで、やっぱり最近のR-1ぐらんぷりは2位の人が売れるんじゃないかと思う今日この頃(中山功太<エハラマサヒロ、佐久間一行<AMEMIYAなど)。

話芸よりもキャラ頼みになりつつある昨今のR-1ぐらんぷりは、ここ数年行き詰まっているような気がする。毎回コロコロとルールが変わるし、なかなか「THE MANZAI」や「キングオブコント」と並ぶ存在にならない。なんらかのブレイクスルーが必要だ。

そこで、柳沢慎吾の出場を提案したい。

警察24時や甲子園を一人でやりきるおなじみの芸。そう、「おなじみ」であり、長年やってるだけに完成度は高まっている。あれをR-1ぐらんぷりの舞台にぶつけたらどうなるだろう。

問題はあのネタは延々やってしまうので持ち時間に収まらないことだ。これを改善し、あのクオリティを3分に納めて、新ネタを2本下ろすことができたら、相当なモンスターが出来上がると思う。

緊張のあまりリップを眉毛に塗りながら決勝の結果を見守る柳沢慎吾。優勝が決まる。舞う紙吹雪。渡される500万のデカい紙幣。はやしたてる雨上がり決死隊。エンドロールが流れ、BE MY BABYのイントロをバックに、最後のワンショットでカメラ目線でウインクし、親指を突き出し、口パクで「(あばよ)」と言う柳沢慎吾…。

R-1ぐらんぷりは芸歴で出場制限がない。柳沢慎吾が勝てるとなれば、持ち芸をもつベテラン達も興味を持つだろう。コロッケ、小柳トム(ブラザートム)、果てはタモリまで重い腰を上げ始める。迎え撃つ若手も今までの方程式を捨てて研究せざるを得ない。「ベテラン vs 若手」の構図により、R-1ぐらんぷりはオンリー1の存在になるのだ。

…なんてなったら絶対面白いなぁ。

余談ではあるが、R-1ぐらんぷりのスポンサーといえば東洋水産で、東洋水産といえばマルちゃんなわけで、柳沢慎吾はその昔「焼きそばBAGOOOON」などのCMにも出ていた。ここに不思議な縁を感じるのは僕だけだろうか。

それでは最後にCM動画を貼ってお別れです。でかまる!

※タイトルは勝手ながら「死んだ目でダブルピース」さんから拝借しました。確かに劇団ひとりが出たらぶっちぎりだと思います!
◆R-1ぐらんぷり、劇団ひとり出場待望論 / 死んだ目でダブルピース

「知らないドラマ」の存在を知るということ

この週末に石巻から両親が来ておりまして、お土産をたくさん持ってきてくれました。その中にあったのが長谷川製菓の「味じまん」というローカルお菓子。

ピーナッツ入りのせんべい…になるのかな。せんべいよりも柔らかくクッキーのような生地。僕の子供の頃からの大好物。

久しぶりだなぁー、と食べてたんですが、ふと気がついた。パッケージの長谷川製菓の文字が、「味じまん製菓」になってる…?

母親に聞いてみた。製造元の長谷川製菓は「味じまん」しか作っていない小さなとこなんですが、東松島の工場が震災で被災。長らく製造できない状態が続いていたとのこと。

それが今度は登米市に拠点を移し、「味じまん製菓」として再出発していたのです。

全然知らなかった。

自分が知らないところで、自分が大好きだったものがピンチになって、そして乗り越えていた。

たぶん、そんなドラマは無数にあって、ほとんどのドラマを知らずに僕は過ごしている。距離も時間も離れれば離れるほど、知らないドラマは多くなるのだろう。

全てを知るのは到底無理な話だけども、「知らないドラマがある」ことを知っておくのはとても大事なことだと思う。そこには確かに、人間がいるのだから。

味じまんを食べながら、知らないドラマに、味の向こうにいる人々に、思いを馳せる。

あと一週間で、震災から一年。
 

※ミヤギテレビの取材
http://www.mmt-tv.co.jp/bandesu/teiban/burabura/101108.html
http://www.mmt-tv.co.jp/kibou2011/archive201202.html
 

回転寿司のお湯が出るボタンを指で押す叶恭子

むかしテレビで、「回転寿司に行ったことのない叶姉妹が回転寿司屋に行く」ロケを観たことがある。

ホントに行ったことがないのかは置いといて、未だに印象に残っている場面がある。

席についた叶姉妹。姉の恭子が「あら、これはなぁに?」と、お茶用の熱湯が出るボタンを指で押そうとしたのだ。

出演者総出で止めに入って事なきをえたが、あれはすごい。どんなリアクション芸人もあれはやらない(リアルに熱いから)そして台本だとしても、この人ホントに知らないのかな?と視聴者にも思わせる演出にもなっていてすごい。

この調子で叶恭子はいろいろと知らない形で無茶なことをしていけば面白いんじゃないだろうか。
 

・強い揺れのなか「あら皆さんどうしたの?」とテーブルの下に避難した人々を笑う叶恭子

・燃えさかる天ぷら油に水をぶちまける叶恭子

・なにかしら?なにかしら?と言いながらドンドン洞窟の奥に進んでいく叶恭子

・バスの「次止まります」ボタンぐらいカジュアルに列車非常停止ボタンを押す叶恭子

・叶美香に「ところであなた誰?」と叶恭子
 

天然か計算かもうろくなのかわからない。いろんな意味で目が離せない。