10月 282007
食べ物と色恋を絡めた、いわゆる「日常の謎」の連作短編集。今年の石持浅海は『人柱はミイラに出会う』 『心臓と左手 座間味くんの推理』と全て短編集なんだけど、全て趣向が違うのがおもしろい。
舞台は全てマンションの一室。学生時代からの飲み仲間三人が企画した飲み会を行うのだけれど、毎回ゲストを一人連れてくる。酒と肴も毎回異なり、牡蠣や銀杏、チョコレートフォンデュなど。飲みが進むうちに、ゲストがポツリとそのときの肴についてつぶやいた一言が謎解きのスタートの合図になる。
毎回食べ物と色恋の趣向が変わるのでなかなかに凝っていておもしろい。だけれども、理詰めの展開を得意とする作者だけに、その論理の刃が日常レベルに降りてきてしまうと、そこまで普段考えて行動するかしら…とどうも行き過ぎた感じになってしまう。
ただ、色恋のとなると人は無駄にいろんなことを考えてしまうわけで(あの時のあの発言はなにか意図があって…とか)、その普段使いじゃない思考をいわば「狂人の論理」として扱うとこんな作品になるのかなぁとも思います。
油断してると最後に大ネタがあったりして、意外にサービス精神旺盛な本なのではないか。装丁もかわいいしねぇ。
【この記事と似たような感じの記事】
- 石持浅海『セリヌンティウスの舟』
- 石持浅海『心臓と左手 座間味くんの推理』
- 石持浅海『水の迷宮』
- 石持浅海『顔のない敵』
- 無意味の企み 石持浅海『攪乱者』
- 石持浅海『人柱はミイラに出会う』
- 石持浅海『君の望む死に方』
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- 石持浅海『扉は閉ざされたまま』
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