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米澤穂信
米澤穂信『クドリャフカの順番』
古典部シリーズ3作目。いよいよ始まった文化祭。手違いで200部も刷ってしまった文集を前に愕然とする一同。部の知名度をあげて文集完売を目指すためにあの手この手。遂には学内で起こった連続盗難事件に挑むことに。
前作まで折木の一人称だった文体が、古典部の部員4名の視点で細かに変わる。今まで触れてなかった各人の心中を覗くことができて、キャラに一層深みが増しております。浮き足立った文化祭の雰囲気や、思春期ゆえの諍い等も絡め、あぁ懐かしいな高校時代と浸れる展開。事件はミッシングリンクもので、発端・真相に一理あれど、推理の展開はちょいと飛躍しすぎか。とはいえ、わらしべプロトコルや料理対決などのくすぐりも楽しく、ラストはちょっと苦く切なくの展開はまさに米澤プロトコル。文化祭が終わって一区切りついて、この先このシリーズどうなるのか。私、気になります。
角川書店 (2005/07)
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米澤穂信『愚者のエンドロール』
古典部シリーズの2作目。収穫。これは収穫だ。安孫子武丸『探偵映画』、バークリー『毒入りチョコレート事件』を意識したとあとがきで触れられている通り、一つの事象に幾つもの推論を重ねていく展開なのだが、これに主人公・折木の「探偵の自覚」に発火をさせ、探偵の誕生と謎解きのジレンマを交錯させ、それを青春ミステリとして形作るという偉業。shakaさんも書いていたがホント志が高い。このページの薄さの中に幾つの手がかりと伏線が散りばめられていたことか。ただ『探偵映画』の時も自分はそうだったのだけど、作中人物が映像で観たものを文章で表して推論を重ねていると「なんでもあり」感が出るせいか緊張感が薄れてしまう。また、折木の一視点であり、周辺人物がポイントで絡む印象だからか、もっと厚みを!と食い足りない。でもまぁそれは欲というもの。スニーカー文庫でここまでやったらいいでしょ!途切れたフィルムに、灰色の日々に、ピリオドを打つ物語。
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米澤穂信『氷菓』
米澤穂信のデビュー作であり、「古典部シリーズ」の第一作。やらなくてすむことはしたくない”省エネ”をモットーとする主人公が、成り行きで入部した古典部の仲間たちに翻弄されて謎を解明する立場になってしまう。”省エネ”で効率を重んじるが故、早く解決して場を去ろうとするが、解決して信用されてまた依頼されてのスパイラルな展開が面白い。めんどうくさがりの探偵役、というのは過去に幾作もあれど、本作の主人公・折木奉太郎は探偵役の自覚も正義もやる気もなしというのが珍しい。起こる事件は学校内の云わば「日常の謎」から始まり、文集『氷菓』に込められた三十三年前の真実へ。違和感なく認識していたものが反転する様子は、とても巧く、そして切なく悲しい。
『春期限定いちごタルト事件』
も「探偵役からの脱却」を目指して(でも脱却できなくて…)というテーマの作品でもあったし、米澤穂信は探偵役が探偵でい続ける様よりも、探偵になる・やめるといった過渡の部分に興味があるのかな?続いて『愚者のエンドロール』を読む予定。
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