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東野圭吾
「このどんでん返しがすごい!」たった一行で世界が反転するミステリ7選
人力検索はてなにこんな質問がありました。
【絶対にネタバレを見てはいけない小説】を教えて下さい。詳しくは以下の条件すべてを満たしての回答をお待ちしてます。 ★途中やラストに何がしかの真相が明かされ、怒涛.. - 人力検索はてな
「怒涛の展開・どんでん返し」がある小説を教えてください、という質問なのですが、「ミステリー以外」という条件付き。
いやーこれこそはミステリの腕の見せ所ではないのか、というわけで、上記の質問の回答に載ってるもの以外で、個人的に「たった一行」真相を書かれただけでひっくり返って驚いたミステリを7作品あげてみました。秋の夜長にいかがでしょうか。
なお、「この作品はどんでん返しがあるよ」と聞くだけでネタばれになる危険がございます。それを聞いてもなお面白い作品を選んだつもりですが、どうしてもネタばれが気になる方はご注意ください。
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安井俊夫『犯行現場の作り方』
十角館は建物自体は4000万で建つけど、沖合い5kmの島まで電気ガス水道を引くのが大変らしいです。
一級建築士の著者が、国内ミステリに出てくる「不可解な建物」の建築図面を引いちゃうという本。手がかりは文中の記述や表紙のイラストのみ。『有栖川有栖の密室大図鑑』が密室に特化した解析本だったのに対し、こちらは建物まるまる一軒が対象。ただの図面作成に終わらず、建築場所、時代、資材、作業者の宿泊まで考慮して、建築費用、工法、工事費、はては延べ床面積まで出しちゃう有様。これぞプロの仕事!
ターゲットとなるのは10作品の10建造物。台風が多い地域なのに木造建築『十角館の殺人』、51mの廊下に窓が一つもないロッジ『長い家の殺人』、車椅子を考慮するとどうしても変な壁ができる『十字屋敷のピエロ』、天才建築家が建てたまさかの違法建築『笑わない数学者』、傾き角度5度11分20秒・高低さ1.25m!『斜め屋敷の犯罪』などなど。
著者の視点はミステリに対する愛で溢れていて「こんなおかしなことになってますぜアハハ」ということは決してない。「この設計者ならこんな内装にするに違いない」「ここはこの材料じゃないとかっこよくない」「こんな配置ではあるが意図があるに違いない」というように作品世界が最優先。このスタンスが心地よく、文体も落ち着いた感じで読みやすい。
まさに謎と建築への誘い。作者と読者で楽しさを共有できる一冊で、続編が今から楽しみです。そりゃぁもっともっと変な館あるしなぁ。
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2005年:今年読んだ本ベスト10
- 2005-12-31 (土)
- 読書感想文
2005年も残すところあと数時間。今年読んだ本は87冊でした。どうしても毎年100冊まで届かないなぁ。今回はその87冊から心のベスト10冊を挙げていきます。順位はなしで。あくまで「今年読んだ」なので、出版はもっと前のものもあります。

石持浅海『扉は閉ざされたまま』
本ミスでも1位に投票しました。「扉を破らない密室モノ」という、普段ならボケで笑うしかないようなシチュエーションを、よくぞここまでスリリングな本格に仕上げたものだと感服。犯人側から描く倒叙形式で、じりじりと探偵役に追い詰められてく。犯人vs探偵が純粋な敵対関係でないところもいい。動機がやはり受け入れがたいが『セリヌンティウスの舟』まで読み続けると慣れてきますなぁ。

伊坂幸太郎『魔王』
今年、『魔王』『死神の精度』『砂漠』と3作出した伊坂幸太郎。『魔王』のテンションの高さには参った。不思議な能力を持った兄弟が来るファシズムと静かに闘う様子は、これが架空の話とは思えないほどの緊張を読者にもたらす。伊坂の中では異色かもしれないが、この読後感はいろんな人に体験してほしい。

東野圭吾『容疑者Xの献身』
このミス、本ミス、文春と三冠達成。数学者の一途な思いが作り出した完璧なトリック。「恋愛感情」と「トリック」が劇的に密接なつくり。トリックについては全然気づかなかったので、かなり驚いた。数学者の友人でもある、探偵役の物理学者・湯川の揺れる心情にも注目。最近は指紋が付かない表紙に変わったらしいですよ。
東川篤哉『交換殺人には向かない夜』
東川篤哉を初めて読んだ年でした。小ネタも好きだし、その小ネタがさらに伏線になっているという贅沢構成。『館島』のバカ館もいいけど、本作の平行線が一本に収束する衝撃のラストを推したい。こんな話をよく行き当たりばったりで書いたもんだ!
鳥飼否宇『痙攣的』
鳥飼否宇も今年初。その奇想っぷりに嵌まると癖になる濃さ。『逆説探偵』も『昆虫探偵』も好きだけど、もう『痙攣的』でぶっとんだ。途中まで普通に(普通でもないけど)してたじゃない!もうアホ!アホ!(ほめ言葉)。
松尾由美『雨恋』
「大森望氏も涙!」の帯が印象的。幽霊との淡い恋物語ですが、そこに絡めたルールが「彼女が死んだ真相が明らかになるほど姿が見える」というすごいジレンマなもの。以外と入念な外堀で本格度も高いような。ラストも泣ける。そりゃぁ大森望も泣くよぉ。
高野和明『幽霊人命救助隊』
そういえばこれも読んだの今年入ってからだ。幽霊が自殺者を止める、その手段を「大声で説得」にする発端から、幽霊-人間を繋げるアイデアがとても秀逸!笑って泣いてのジェットコースター。隠れたおススメ本。
浅草キッド『お笑い 男の星座2 私情最強編』
『本業』も熱かったけど、やはりお笑い界を書いているときが一番乗っている気がする水道橋博士。思いを語りグイグイ引き込み、韻やくすぐりも交えて、もはや暗唱したくなるような文章。前書きの出版界への警鐘も必読。
いとうせいこう・奥泉光・渡部直己『文芸漫談』
文学界最高のボケ・ツッコミコンビ。この調子で本当に舞台に立っているんだからすごい。やりとりに笑っているうちに文学の読みどころがわかってくるという、最高のネタ本であり教科書。いとうせいこうと奥泉光を来年はもっと読みたい。
The Arbinger Institute『箱―Getting Out Of The Box』
「自己欺瞞」のメカニズムを「箱」という概念を通して説明。人間関係について目からウロコ、と各方面で話題らしく、amazonのユーズド価格が大変なことに。図書館で読みました。わかったような気になっているけど、もう一回読んでおいてもいいかも。
池谷裕二・糸井重里『海馬―脳は疲れない』
脳についての新しい知識がとても新鮮。そして二人の絶妙な対談。うまく頭を使うことがいい生活になるはずよねぇ、としみじみ。30歳になった今年、この本の「30歳から頭はよくなる」という言葉を楽しみに、来年を過ごしたい。
11冊になっちゃった。来年はもっと読みたいですなぁ。新春一発目は『砂漠』の予定。よいお年を!
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東野圭吾『容疑者Xの献身』
天才数学者でありながら高校で数学を教えている石神。彼は隣人親娘に想いを寄せていた。ある日彼は親娘が元夫を殺してしまった現場に遭遇する。二人を助けるため、持てる頭脳を駆使し、隠蔽を図る石神がとった行動とは…
『探偵ガリレオ』・『予知夢』と続く”探偵ガリレオ”シリーズの物理学者・湯川が石神の同級生として登場。混迷する警察捜査を横目に、石神の真意に気づきはじめる。天才同士の対決、という構図もあるが、何よりこの小説のもつ「恋愛感情」と「トリック」の有機的融合に感嘆。想うゆえに、こうするしかない、という流れで隠蔽工作が図られてこれが効果絶大。想いがトリックを生み、トリックが想いを映すという表裏一体。石神ー湯川の友情、という要素も絡むため、書く人が書くと大層盛り上がって大法螺な話になりそうなところ、そこは東野圭吾、最小限の言葉で最大限に効果を生む技量で、読者の中に静かに興奮を巻き起こす。これは巧い。巧いなー。
ただこれは色んな人の意見も聞いてみたいなぁ…。『秘密』で主人公に対する評価が(特に男女で)割れたように、石神の行動に感情移入するか白けるか割れる気がする。メイントリックはマニアでも虚を突くものだと思うけど、恋愛部分と表裏一体な分、感情移入度は作品全体の評価に大きく影響すると思うのだ。非モテ男が捧げた完全犯罪。一途か、キモイか。
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東野圭吾『探偵ガリレオ』
科学トリックは非常に面白く読みました。そこまでして人を殺すか!みたいな凶器が目白押し。でもこれ東野圭吾じゃなかったらもっと面白くなったんじゃないかなぁ。湯川・草薙のキャラが事件の奇怪さと比べてわりと普通なのがなんか消化不良。もっとエキセントリックな人物を暴走させてみたい。
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