清水 義範 (著), 西原 理恵子『おもしろくても理科』

清水先生の面白理科話とサイバラの無気力挿絵ツッコミ。ちょいと理科に通じた人が読むと物足りない感じがするが、そこは理科嫌い向けに太陽系を中央線に当てはめたりなど一生懸命に文章を選んでいる清水先生の奮闘にエールを送るように楽しむべきであろう。がんばれー。

エドワード・D. ホック 『サム・ホーソーンの事件簿〈1〉』

町医者不可能犯罪トライアル。一つ一つの短編にネタ凝縮であり、割と複雑なことをやり遂げていても読みやすく処理されてるのは好感。現場も有蓋橋や野外音楽堂、ホテル、列車、水車小屋、果ては選挙の投票ブースまでとバラエティに富んでいて飽きさせない。着想が鮮やかだ。

浅暮三文『ラストホープ』

釣具屋を営む元泥棒のコンビ、ファックスと一億円、山女魚とアヒルとハイエース、盗まれ続けるアコード、誰かと誰かのレム睡眠。事件も小道具も効いていてよく練られた話なのに、その話に浸るあまりテンポが犠牲になって中だるみしてしまうのがもったいない。それとも一気に読むべきだったか。うー。

霞流一『スティームタイガーの死走』

人間消失に列車消失、はたまた出版元(ケイブンシャ)も倒産で消失という消え物づくし。

霞流一にしては二人しか人が死んでないのにスピード感溢れる展開。バカトリック・バカギミック大盛りと二重三重のラストでこのページ数ならお得感もあろうというもの。事件が解決されるのが正義のためでもなんでもなく、不可能状況に陥った登場人物が「スッキリする」ためだけに存在しているのもある意味潔いか。