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貫井徳郎
『気分は名探偵―犯人当てアンソロジー』
2005年、「夕刊フジ」に犯人当て懸賞ミステリーとしてリレー連載されたものを単行本化。夕刊フジにこんなマニアックなもの載せて大丈夫だったのか、と思ったら結構応募があったらしく、正解率もそこそこあったらしい(各短編ごとに正解率が書いてある)。
- 有栖川有栖「ガラスの檻の殺人」
- 路上で起こった”視線の密室”殺人。見つからない凶器どこに?
- 貫井徳郎「蝶番の問題」
- 別荘で劇団員5人が全員変死。残された手記から犯人を捜す。
- 麻耶雄嵩「二つの凶器」
- 現場は大学の研究室。殺害に使われたレンチの他に手付かずのナイフが見つかる。
- 霧舎巧「十五分間の出来事」
- 新幹線のデッキで昏倒してるのはたちが悪かった酔っ払い。とどめを刺したのは誰だ?
- 我孫子武丸「漂流者」
- 島に流れ着いたボート。記憶をなくした男。持ってた手記には惨劇の記録。オレは誰?
- 法月綸太郎「ヒュドラ第十の首」
- 被害者の部屋を荒らした痕跡に不自然な点。容疑者は三人の”ヒラド・ノブユキ”
これだけの作家が揃ってほぼ同じ枚数の犯人当てを書く、というイベントがもう楽しい。肝心の犯人当ては作家の個性が色濃く出て、京大推理研出身の麻耶、法月、我孫子の三人はしっかりツボを押えた論理プロセスを書ききってみせたり、貫井徳郎は夕刊フジ相手に”飛び道具”を使ったために正答率1%になってしまったり、とそれぞれ。
巻末に6人の作家の覆面座談会(これも懸賞付き。解答は公式サイト)があったり、探偵役にシリーズキャラ(木更津悠也、法月綸太郎、吉祥院先輩)が使われてたりして、もはや一つの祭り。納涼・犯人当て祭り。またやってほしいなぁ。
全員が匿名の座談会の最後に、なぜかひょっこり探偵小説研究会の蔓葉氏が出てくるのが個人的ヒットであった。
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貫井徳郎『悪党たちは千里を走る』
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悪党たちは千里を走る 貫井 徳郎 光文社 2005-09-26 |
小市民な詐欺師たちが一攫千金を企んだ「犬の誘拐」。お金持ちの犬をさらって身代金を、と思ったら、ターゲットの家の子供が話しかけてきて…。二流詐欺師の犯罪喜劇はどんどんあらぬ方向へ。
イベントが次から次へとやってきて、状況がくるくる変わる早い展開。スピードがあって飽きさせない。登場人物たちの会話も小気味良く…なんですが、どことなくベタな感じなので(”表面上”憎まれ口を叩きあう詐欺師/男と詐欺師/女みたいな)、ちょっとインパクト不足なところも。
誘拐事件そのものは携帯やネットといった現代の小道具を使ったものではあるんだけど、なんかドキドキが足りない感じ。読者を騙すような欺くような、”見えない”演出がもっと欲しかったと思ってしまう。『慟哭』や『光と影の誘惑』といった作者の他の誘拐ものと比べてしまうと、本作は喜劇色を強めたという違いはあれど、もっと期待値が高まってしまうのであった。
作者の傾向からすると異色の流れですが、シリーズ化するのならばちょっと気になる、憎めないお話であります。
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