藤岡真『白菊』

白菊
白菊

posted with amazlet on 06.05.10
藤岡 真
東京創元社 (2006/03)

画商兼インチキ超能力探偵・相良蒼司の元に持ち込まれた依頼は、「白菊」という絵のオリジナルを探すこと。しかし依頼人は失踪し、探偵は命を狙われる。大男の刑事や記憶喪失の女、骨董マニアが入り乱れ、ロシアの記憶を手繰りながら、物語は混乱していく。

いつもより見通しが立ってるというか、いつもの多数のガジェット使いと比べてシンプルになってる気がする。まぁ藤岡真なので、いろいろややこしいことにはなってるんですが、それでもだいぶ読みやすい。相良蒼司というキャラがしっかり軸になりうる魅力を備えているので、全体が掴みやすいのかな。

絵画と女を巡る二転三転の構図も決まっていて、ミステリらしいミステリ読んだなぁという満足感があります。いやー面白かった。今までの藤岡真の中で一番好きかもしれない。ちょうど一冊前に「コールドリーディング」を読んだので、偽超能力の手口についても楽しめたというのもあるかもしれません。

藤岡真『ゲッベルスの贈り物 』

謎のアイドル”ドミノ”を探す羽目になったCMプロデューサー「おれ」、著名人を次々と自殺に見せかけていく殺し屋の「わたし」、Uボートで日本に持ち込まれようとしていた最終兵器”ゲッベルスの贈り物”。交わるはずのない平行線が交わったとき、とんでもない真夏の夜の悪夢が幕をあける

あらすじが説明しづらい…。と言ってもトリックがばれてしまうからではなく、様々な要素が入り組んで、終いには日本中を巻き込むとんでもない大風呂敷にまで広がっていくから。後半に行くにつれ伏線がもつれ束ねられていき、もうなにがなにやらの大騒ぎ。仕掛けはあるにせよ、この大法螺の前は小さく平伏すのみ。いやぁ、この人が書く話は伏線やレッドへリングの積み重ねが厚すぎて、結局ストーリーがなんだったのか思い出せなってしまう…。

ゲッベルスの贈り物
ゲッベルスの贈り物

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藤岡 真
東京創元社 (2001/08)
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