菅広文『京大少年』

ベストセラー『京大芸人』に続く、 待望の自伝的小説第2弾!
ロザン菅が描く、IQ芸人・宇治原ができるまで!

幼稚園入園以前から「賢かった」宇治原の目から見た大人たち。
優秀であるがゆえに、常に違和感を抱いていた宇治原の内面に、
相方大好き芸人の菅が突っ込みながら「宇治原ができるまで」を描く。

京大芸人・ロザン宇治原の「高性能勉強ロボ」だった高校生時代を書いた前作『京大芸人』に続き、今度は幼少期の逸話と芸人になってからのエピソード。

「賢いね」と大人にいわれるたびに「なめとるんか」と思っていたり、全校生徒に向けた”超”上から目線の卒業文集を残したり、鬼ごっこなんだけど鉄に触ってる間はセーフという『鉄オニ』で、「それはアルミだから鉄ではない」と厳しい鬼ぶりを発揮したり、宇治原少年ゆがみすぎである。

それで前作同様、笑えるエピソードと共に宇治原の勉強法にも注目すべきところ。前作が「受験生向け」とすれば、今回は少年時代&芸人になってからの話なので「親御さん向け」「大人向け」になっている。ちゃんとターゲットを分けてるのだ。計算してるなぁ。「人の目を見て話を聞く」「新聞を読む」「すぐ調べる」という難しくない話なんだけどわかりやすい。

文字が大きいのでさっくり読めて、ためになって面白い。声を出して笑ってしまったのが、宇治原が実践したミニ四駆の必勝法。この手があったか!ずるい!賢い!ずる賢い!

菅広文『京大芸人』

こうして宇治原の「京大に入るための戦い」が始まった。
芸人になるために。
  
こうして僕の「宇治原を正気に戻させない戦い」が始まった。
芸人になるために。

京大出身芸人ロザン宇治原。の、相方、菅が「芸人になるために宇治原を京大に入れる」ために奮闘(?)した高校時代を綴った自叙伝。(ロザンについてはWikipedia参照のこと)

いまやインテリ芸能人としてクイズ番組に出まくっている宇治原が、「高性能勉強ロボ」だった時代を横槍入れまくりでいじりまくり。恐らく昔あったオモロいこととしてネタでしゃべってる”すべらない話”をあちこちに挟んでいるため、いちいち面白くて楽しい。父親と姉が全く同じ顔の宇治原、北海道の修学旅行で半そで短パンの私服で登場しガクブルの宇治原、センター試験の最中に失神して保健室に運ばれる宇治原…。

宇治原いじりも面白いけど、勉強方法について触れてるのもなかなか興味深い。歴史を時代ごとに覚えない、数学は暗記中心、国語は基本的に勉強しない、などなど。んなアホな、と突っ込んでいた菅が、浪人してしまったときに「できる人の意見には従う」というポリシーを得るまでとか、小さなドラゴン桜としての側面もあり。

高校を卒業してからは芸人になるまでを駆け足で書いているのだけど、アホアホな高校時代の話がやっぱり面白いので、芸人への道というより青春小説としてのスタンスで書かれたらもっと面白かったかもとか思ったり。二人の仲がとてもいいので、読んでて気持ちがほっこりする場面もあるし。続編が出たらまた読んでみたいなぁ。

おまけリンク。ロザンのちょっといい話。菅がいい人すぎる…。