震度0

  • 著者/訳者:横山 秀夫
  • 出版社:朝日新聞社( 2005-07-15 )
  • 単行本:410 ページ
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閉ざされた空間での心理戦。たどる結末は、震度ゼロの衝撃。

阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。

6人の警察幹部の視点をザッピングしながら、警務課長をめぐる心理戦が展開される。有力情報を秘密にしたり、命令にこっそりそむいたり、実は全然違うこと考えてたりと、視点をグルグル変えることで6人の権力争いが立体的に見えてくる。

舞台は警察署内部と官舎しかなく、演劇っぽい感じでもある。読者は外部から箱庭の中の大騒ぎを眺めてる状況で、かつ次々と新しい情報が来るものだからずっと目が離せない。うまいなぁ。官舎ではそれぞれの幹部の奥さんも登場して、奥さん同士の心理戦もあるのだ(警察幹部よりドロドロしてる!)

もう一つのポイントとして、この事件は阪神大震災の日に起こったという設定になっている。テレビで震災の激しさを見ながらも、目の前の権力争いにやっきになる幹部達。その対比に、箱庭の戯れの感が増す。

あんなにいろいろグルグルやったのに、十分衝撃な結末も用意されて、大満足の一冊。WOWOWで映像化もされていて、原作よりよかったという声も。これも観たいなぁ。

横山秀夫『ルパンの消息』

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9月 282005
 

ルパンの消息 (光文社文庫)

警視庁にもたされた一本のタレこみ――15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、当時の教え子3人による殺人事件だという。時効まで24時間。事件解明に総力を挙げる捜査陣は、その教え子を取調室に連行する。15年前、ツッパリだった彼らは期末テストを学校から盗み出す計画を立てていた。その計画の名は、ルパン作戦――

時効寸前の事件に全力であたる警察サイドと、取調室で語られる15年前の高校生活が交互に描かれるのですが、警察サイドはいつもの横山秀夫の骨っぽいやりとりで安心できるとして、収穫なのが15年前のヤンキーの青春群像の生き生きしているやりとり。おもしろくせつなくで、こういうのも巧いのねー。

15年前の供述と現在が近づいていく終盤は加速するサスペンスに目が離せない展開。三億円事件まで絡めた全体像はかなり大味なものになっているけど、横山秀夫の処女作だということを差し引いてもこれは面白い。今の作風にはあまり見られない「遊び」を見られる貴重な作品だと思う。

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