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森見登美彦
森見登美彦『太陽の塔』
モテない主人公の妄想癖が京都のクリスマスに加速する。
2006年版「この文庫がすごい!」1位。森見登美彦のデビュー作。本作で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。
女にもてず、同志の男とつるみ、馬鹿話で盛り上がり、どんどん対・女子力が落ちている京大生の主人公。奇跡的に彼女(水尾さん)ができ、必然的に振られてから、ストーカーまがいの行動を始め、「水尾さん研究」をまとめだす。容姿・行動共に突出せず、頭の中で思考こねくり回しているうちにどんどんおかしな自己正当化へ流れていく主人公。
この「おかしな自己正当化」が話をささえる屋台骨。無駄に多いボキャブラリーとやたら凝った言い回しで語られるどうでもいい話。おかしくておかしくて、この文体はやはり癖になるなぁ。自分がアホなことを言っているのはわかっている、わかっているけどのらずにおれない、そんなシャイさが見え隠れするのも面白さのひとつかもしれぬ。
大暴走するわけじゃないけど、部屋にこもっきりのわけでもない。ニュートラルなテンションで繰り出される青春群像。ジョニーをなだめ、京大生狩りから逃げ、叡山電車の灯りを眺め、部屋で飲んで雑魚寝。どうでもいい事を小さなドラマにしたい日々。
さえない、さえないが、ええじゃないか、ええじゃないか。
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森見登美彦『四畳半神話大系』
先日『夜は短し歩けよ乙女』で吉川英治文学賞を受信した森見登美彦、初めて読みましたよ。面白い!
デビュー二作目にあたる『四畳半神話大系』の舞台は京都の四畳半。4つの章からなる話だけど、すべての章の出だしは同じ。大学に入ってからの2年間がいかに無意味なものだったかを語るモノローグ。出てくる人や場所や時間は同じなのに状況は4つの章で少しずつ異なる。最初は何が起こったかわからず、しかも全く同じ文章のコピペも多数あって手抜きかぁとか思ったけど、全部通して読んでその構成力に驚いた。そんな絵を見せるかぁ。
どうでもいいことに難解な日本語をあてていく主人公の独特の語り口も面白い。でも最後まで読むと、この語り口が悪友やだらだらした生活に対する「照れ隠し」のように見えてきたのですよ。上滑りの言葉の中に胸に閉まった本心が覗いてきて、なんだか急に主人公が生身になった気がしましたよ。本音で話せない時ってなんか変なテンションで毒づいたりとか、語尾で笑い取ったりとかするよねぇ。
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