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山田ズーニー

山田ズーニー『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)
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こんな例でこの本は始まる。

「何を言うか」よりも、「だれが言うか」が雄弁なときがある。例えば同じニュースでも、どのメディアが言うかで、ぐっと印象は変わる。
ついに宇宙とコンタクト(日本経済新聞)
ついに宇宙とコンタクト(東京スポーツ)

自分と相手が「通じる」ためのコミュニケーション論。とは言え、単なる技術論にあらず。自分の想いを伝えて、相手に受け止めてもらって、共感と信頼を得るまでの、著者の考え抜かれた想いがギュッと詰まっている。もうこの時点で著者から読者へ言葉が通じまくりなのだ。

冒頭の例は「メディア力」と表現されている。どんな言葉でもそれを言う人によって捕らえ方が変わる。「メディア力」を持っている人ほど話が通じやすい。では「メディア力」上げるにはどうしたらいいのか?

ここで作者は小手先の交渉テクニックを持ち出したりはしない。話を通じさせるには、まず通じさせる自分の意見をはっきり持つこと。自分の意見をはっきり持つためにはまず考えること。そう、この本では「考える方法」に主眼を置かれて書かれているのである。

なぜ正論が通じないのか、全く言葉が通じない時に振り返るべき点はなにか、共感が生む効果とは…などなど、人と通じ合うための「根っこ」が余すところなく語られている。

NHKのテキストにもなった『話すチカラをつくる本―この一冊で想いが通じる!』もこの本がベース。『話すチカラ~』もエッセンスを取り出して読みやすいけれど、より作者の想いが綴られている本書の方が僕は好きです。

いたるところに気づきがあって、読み終わったあともこの気づきを忘れたくないと切に思う。うわべではない核心の話をしてくれる、まさに人とつながるための教科書。著者は言う、案ずる無かれ、みんな最初は初対面だったのだ、と。
 

山田ズーニー『理解という名の愛がほしい』『17歳は2回くる』

ほぼ日刊イトイ新聞 - おとなの小論文教室。の書籍化第二弾、第三弾。いっぺんに通読したので感想もまとめちゃいます。前作『おとなの小論文教室。』(⇒感想)からでは「自分を表現する力」をテーマの中心に据えていたが、『理解という名の愛がほしい』では「人とつながる力」が、『17歳は2回くる』では「自分の潜在能力を生かす力」がテーマとなっており、連載されたコラムからテーマにそったものが選択されまとめられている。

つくづく本気の人だ、と思う。自分がマイナス方向に向かったときの感触を客観視して、向き合って、痛みながら、感情の矛盾を解きほぐして、自分なりの「仮説」を立てる。その「仮説」はプラスに向かうため、生きるための言葉。「仮説」は自分の人生の中で実践し、人とつながろうとしていく。自ら人生のモルモットとなることを選び、生き様を自分の言葉で伝えることで、よりよく生きる方法を探ろうとしている。傷つき凹んでも止めることはない。本気の人なのだ。

表現者としてスランプになった時、人に哀しい嘘をつかれた時、通じなかったり不安になったり届かなかったりした時、思い出したいフレーズがたくさんあるのだけど、ガーッと読んじゃったせいか頭から抜けちゃってるなぁ…。もう自分で編集してベスト版をつくりたい。マイ・ベスト・ズーニー。

生きていれば、世界は回る。はだかの言葉でぶつかれば、きっと伝わる。「経験」と「問い」に裏づけされた、本気の人の言葉は人に届くのだ。

理解という名の愛がほしい~おとなの小論文教室。II
山田 ズーニー
河出書房新社 (2006/03/10)
17歳は2回くる おとなの小論文教室。(3)
山田 ズーニー
河出書房新社 (2006/05/18)
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山田ズーニー『おとなの小論文教室。』

おとなの小論文教室。
おとなの小論文教室。
posted with amazlet on 06.05.24
山田 ズーニー
河出書房新社 (2006/01/07)

ほぼ日刊イトイ新聞 - おとなの小論文教室。の書籍化第一弾。長らく受験生の小論文を教えてきた著者が、自分を表現力したいおとなのためにちょっと背中を押すコラム26本。

3章に分かれていて、第1章で「問い」「要約」「世界観」など自己表現するためのヒントを提供し、第3章では「一人称がない」人々を巡って読者と考察していく。わかりやすい言葉でぐいぐい伝わってくるし、1本終わるごとに一回本を閉じて自分について考えたくなる。しかし、それにも増して、僕にとっての白眉は第2章『自分の才能って?』だった。

第2章では「自分のやりたいことはなにか?」「自分は何になりたいのか?」という問いに向き合い、「才能は自分の中にあるのではなく、他者/社会の中にある」と逆の着想を持ってくる。自分のやりたいことを自分で考えるのは、逆に「他者」とのつながりを断ち切るのではないかと。自分の中でぐるぐると考えず、ひらき、受け入れるのだと。「自分はどこにいきたいのか?」という思考の壁にちょろりとロープを足らすのだ。開放し外を見るという視界の逆転に、目からウロコが、と言うよりはよりゆっくりと、ジワジワと言葉が体の隅々にいきわたるような体験だった。

タイトルからすると、文章書きのハウツー本に見えるかもしれない。しかし、この本は自分を表現するという事の絶大なる効果を説き、かつ、読んでる側をその気にさせるに十分な力を持っている、「自分を生きる方法」のハウツー本なのだ。「やりたいことが見つからない」という人に特におススメしたい。伝えたい。話しがしたい。たとえ届かなくても、僕は僕の声を出すのだ。

【関連書籍】
『理解という名の愛がほしい??おとなの小論文教室。II』
『17歳は2回くる おとなの小論文教室。III』

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