この登場人物一覧がすごい! 山口芳宏 『100人館の殺人』

ミステリでいうところの「館モノ」「吹雪の山荘モノ」というと、ふつう容疑者は建物内の、まぁ、多くて10人いるかいないかぐらいなんですけど、まぁ、これ、あらすじ見てください。

大富豪の館でメイドとして働く妹に頼まれ、名探偵・西園寺とその館にかけつけた神尾は、奇妙な殺人事件に遭遇する。衆人環視下、謎の方法で館の主が殴り殺され、容疑者は、なんと館を訪れていた計百人!誰もかれもが疑わしい!?しかも外界に通じる唯一の道である橋が爆破され、閉鎖空間内で次々事件が…。鬼才があなたに“本格ミステリ”の意味を問う、驚愕の最新作。

容疑者100人。

で、巻頭の「登場人物一覧」に律儀に100人の名前と属性(親族とか職業とか)が書いてある。総ページすう6ページにもわたる登場人物一覧!親族20人以上!使用人30人以上!お笑い芸人、元プロ野球選手、オーケストラの楽団員、タクシー運転手、住職、主婦、無職まで、全部名前がついている!

と、ここまで煽ったものの、作中に名前がちゃんと出てくるのはほんの一握り…。ロジックで100人の中から搾り出す、というのはあんまり期待しないほうがいい感じ。シリアルキラーまで出てきちゃって、派手な展開の大騒ぎ。最後明かされるトリックには膝カックンものという、愛すべきバカミスです。

というわけで一言でいうならば、「出オチ」でしょうか…。