思春期前夜祭! 天久聖一『こどもの発想。「コロコロバカデミー」ベストセレクション』

もう、お腹が痛い。痛いよー。

2001年~2004年に『コロコロコミック』に連載されていた読者投稿ページ「コロコロバカデミー」のベストセレクション。「100点以上の0点をとろう!」を合言葉に、10年の時を超えて小学生たちのおバカ投稿がいまよみがえる。

言わば「小学校のテスト問題大喜利」を現役小学生が答えるわけなんだけども、設問が絶妙。例えば。

・右の人物(織田信長など)にあなたの考えたニックネームをつけなさい
・発明家エジソンの発明品をひとつ答えなさい。
・シンデレラがお城に忘れてきた物はなんですか?まちがえて答えなさい
・お巡りさんはふだんどんなお仕事をしていますか?まちがえて答えなさい

この「まちがえて答えなさい」がすごい発明だと思う。こう言われただけで、小学生たちが途端に面白いことを言おう言おうとしているのがビンビン伝わってくる。シンデレラがわらじを忘れたりしてる。

もう一つの特徴が、回答がすべて小学生たちの手書きのまま掲載されていること。もう字が汚いだけで面白い。また、読者投稿ページから問題部分を切り取って書いてハガキに貼る、というスタイルだったため、問題文のイラストになんか足されてたり、そもそも切って貼る段階ですごく汚くなってたりする。バカドリル公式のこちらのページで作品の一部を見ることができるのでぜひ → 自由すぎる!こどもの発想。-バカドリル

ずっと読んでると不思議なもので、小学生たちのおバカ脳に大人脳が順応しはじめて「ハイハイ、またウ○コね」となってくる。トランス。しかし、途中途中に編者の回顧録が挟まっていて、この”大人目線からのコラム”によって大人脳にリセットされる効果がある。これもまた絶妙な構成。

オトナの大喜利にはない、ルール無用・下ネタ上等・問答無用のハイセンス回答たち。飛び道具だらけの校庭に、オトナはもう腹を抱えて床を転がるしかない。超オススメ!

関連リンク
自由すぎる!こどもの発想。-バカドリル
「こどもの発想。」蛇足。-バカドリル

押し入れから神様が出てきた! 天久聖一『味写入門』

ほぼ日刊イトイ新聞に連載されていた「天久聖一の味写入門」の書籍化。

まず「味写」とは何か。Amazonから書籍紹介を引用してみましょう。

明らかにシャッターチャンスを逃し、構図はデタラメ、ときには赤の他人が堂々と真ん中に写っていたり…。そんな“失敗写真”を押し入れの奥から発掘し、改めて眺めてみると、撮った当時は気づかなかった意外な味わいが生まれていることがある。失敗と偶然が絶妙の効果を発揮した「味のある写真」=「味写」。神のイタズラとしか思えない名作の数々が、あなたの脳をとろけさせます。

で、もう一度この本の表紙を御覧下さい ↑ 左の幼子の、頭をつかまれた首の角度といったら!素人たちの失敗写真が天久聖一のコメントと共に爆笑の渦を巻き起こす。

おじいさんと後ろの掛け軸の柄が重なったり卒業式にくのいちが現れたりスフィンクスをバックにアラブ人が遠くを指さしていて手前におばさんがアップになっていて全員目線が違っていたり、犬が浮いてたり、知らないオッサンが無重力だったり…。

狙っても撮れない、かといって報道のような大げさはない。まさに「油断」意外のなにものでもない写真たち。いかにも昭和!な写真も多く、ノスタルジーの味わいと油断の味わいを同時に味わえるおまけつき。

ハプニングにしてはボンヤリしてて、奇跡にしては滑稽で、神様のイタズラにしては度が過ぎている、誰も見たことがない写真集。百聞は一見にしかず、ですよ。