仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)

時代は戦後まもなく。双子の弟から命を狙われている、という兄から警護を依頼された私立探偵。双子はかつて紡績会社を経営していたが、双子同士で諍いをおこし、弟は家を出て東京へ。そして東京で整形手術を受け、その医者を殺しているという。本当に兄を殺しに来るのだろうか、と一晩番をした探偵であったが、翌朝兄は変わり果てた姿で発見される。弟がやったのか?だとすると今はどんな顔になっているのか?

そうこうしていると第二の殺人が始まったりするわけなのですが、しかしこの作品、寄り道なしで事件まっしぐらである。体脂肪率0%といったところか。戦後という舞台設定や、旧家の変な風習や、探偵役が兄妹だったりとかしてるのに、ケレン味や遊びや煽りはほとんどなく直線でゴールに向かう。金田一ばりにいろいろ出来そうな環境だっただけにちょっと惜しい気がする。

そのせいなのか、施されたトリックもなかなかの大技にも関らず、「あーそうすればできるよねー」といった感想になってしまって…。これが本格だ、と言われればそうなのですが、もっと演出がよかったらなぁ。本格の骨子が優れていても、プレゼンテーションのスキルを期待してします自分がいます。

11月 062004
 

アルファベット・パズラーズ (ミステリ・フロンティア)

  • 著者/訳者:大山 誠一郎
  • 出版社:東京創元社( 2004-10-28 )
  • 単行本:249 ページ
  • Amazonで詳細を見る

「全てが謎と論理に奉仕する」という本格推理の理想系をまさに追求した作品。しかし(推理にとっては)無駄なモノがなさすぎるのもそれはそれでちょっと…と悩ましいところ。事件自体も無理無理多しで、犯人はもう少し落ち着け!と言った感じ。

© 2012 イノミス Suffusion theme by Sayontan Sinha