乙一『銃とチョコレート』

講談社ミステリーランド第10回配本。少年リンツの住む国では怪盗ゴディバと探偵ロイズの噂でもちきり。大富豪の家だけ狙う怪盗とそれを追う名探偵の様子は新聞でも盛り上がりをみせていた。ある日リンツは父の形見の聖書から一枚の地図を見つける。手書きのその地図の上にはゴディバが盗んだコインの絵が描いてある。もしやここに盗んだお宝が?リンツは憧れのロイズに手紙を送るのだった。

久しぶりに読んだ乙一であったが、やはり子供相手に手綱を緩めるような人ではなかったのだった。ステレオタイプな正義のカタチは全然なく、表も裏もためらうことなく子供に見せつける迷いのなさ。冒険のハラハラも、展開の驚きも、いくつかの伏線も、全て効果的に効いて、大人も子供も一緒に語り合える本だなぁと感心。

世の中の甘い部分も苦い部分も取り込んだ、まさにSweet&bitterなチョコレートであります。

銃とチョコレート
銃とチョコレート

posted with amazlet on 06.08.12
乙一
講談社 (2006/05/31)