皇居じゃないところを「ランナーの聖地」にする

皇居ランナーが多すぎて、千代田区がルール作りに乗りだした、というニュースを見た。

皇居周辺でランナーや自転車利用者による歩行者との接触トラブルが頻発している状況を受け、東京都千代田区などの官民の委員会は6日、「歩行者優先」「周回は反時計回り」といったマナー9カ条をまとめた。
皇居ランに歩行者優先のマナー9カ条 千代田区などの官民委 : 日本経済新聞

皇居は1周5キロで信号がない。昔からジョギングコースとして使われてたけど、最近では「ランナーの聖地」として有名になりすぎて、歩道がぎゅうぎゅうらしい。

以前から、皇居ランナーのマナーについてはたびたび報道されていて、市民ランナーの端くれの僕も、どうしたもんかなぁ、と思っていた。

で、今回のニュースを受けて「あれ、そういえば」と思ったことがある。

あれ、そういえば、なんで皇居周辺が「聖地」なんだろう?

皇居周辺 = 聖地 になってるのはナゼ?

当たり前な話だけど、元々、皇居周辺は走るために作られていない。

「野球の聖地」「サッカーの聖地」みたいに、特にランニングにいわれのある場所でもない。

普通の歩道だった皇居周辺が、なんでここまで「聖地」に思われるようになったんだろう?

その一因として、「ランナーの聖地・皇居では…」と報道しちゃうのがあるんじゃないだろうか。

走らない人も「ランナーの聖地なんでしょ?」と知ってるくらいだから、ランナーが「いつかは走ってみたい」と集まってきちゃってもしょうがない。

「ランナーの聖地」皇居でトラブルが、と報道すると、皇居は聖地だと認識されて、人が集まってしまう。

乱暴な例えだけど、荒れた成人式の報道を見た未成年が、新成人になって自分の成人式を荒らしちゃうのに似てる。観ると真似したくなるのだ。

「ランナーの聖地・皇居」と言いながら、「なんとか安全に皇居を走ろう」としてるから、ややこしくなる。

いっそ他に「ランナーの聖地」を作ってしまうのはどうだろう?

新しい「ランナーの聖地」を作る

都内にはランニングに適した公園やグラウンドがたくさんある。

駒沢公園とか、ランニングコースが専用レーンで用意されてるところもある(施設内紹介 | コース一覧 | 駒沢オリンピック公園総合運動場

皇居周辺よりも、もっと走るのに気持ちがいい場所をアピールして、そっちを「聖地」にしてしまう。

「新しい聖地」に人が流れれば、皇居周辺も落ち着きが戻ると思う。

走る人も、走らない人も、良くなる結末に持っていきたい。

ランナーは「怖い」

走らない人からすると、ランナーは「怖い」

自分も昔はマラソンが大嫌いだったので、この気持ちはよくわかる。まずなんでわざわざ走ってるか理解できない。ゴツい身体で蹴散らすように駆け抜けていく。サングラスしてる。怖い。

走るようになってからは、悪気がないんだけどそう見られてしまうのがわかる。熱を逃がすために肌を露出するし、一度止まるとペースが戻らないからなんとか続けて駆けるようにするし、日差しを避けたいからサングラスもする。

「ランナーは怖い」「ランナーはマナーが悪い」と思われてしまうのは、ランナー全体にとっても大きなマイナス。

皇居周辺のランニングが、なんとか落ち着かないかなぁ、と思っている。

『BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”』

2013-02-27 10.43.02

食い入るように読んだ。これ、ホントにノンフィクションなのか…!?

メキシコの奥地にいる”走る民族”のヒミツ、100キロを越える「ウルトラマラソン」を走るランナーたち、人間の足に秘められた力、そしてタラマウラ族とウルトラランナーのレース…!

読んでる最中も、読み終わった後も、何度も走りに出かけてしまった。

著者のクリストファーさんが足を痛めたのは2001年。当時は身長193センチ104キロとかなりの巨漢。医者には注射や矯正具、最新のランニングシューズを勧められ、走ることは身体に毒だと諭される。

そんなとき、メキシコの奥地にいる「走る民族」タラマウラ族のことを知る。彼らは一晩中トウモロコシのビールでパーティをして、翌朝ふらりとレースを始める。そのレース、丸2日走りっぱなし。500キロの山道をサンダル履きで走りぬく。日頃トレーニングはしないし、ストレッチも準備運動すらもしない。

なんで同じ人間なのに、こっちは足が痛くって、彼らはそんなに走れるのだ?

ここからクリストファーさんの冒険がはじまる。

構成はランニングに似てる

最初はちょっと読みにくい。話があちこち脱線しちゃうのだ。

この本、メインとなる話は3つある。

1.メキシコまで出かけ、史上最強の”走る民族”タラマウラ族の秘術を探る旅
2.人間の身体はもともと長距離を走るようにできてることを、人類学的・科学的に解明
3.アメリカのウルトラランナー7人とタラマウラ族が、メキシコの荒野で大激突

ここにウルトラマラソンの歴史や、ウルトラランナーたちのエピソードなどが入り組んで語られる。最初はとまどうけど、それはランニングと同じで、ウォームアップさえ終わればゴールまで走り抜けてしまうオモシロさなのだ。

「超人」たちの宴

「ウルトラランナー」と「タラマウラ族」という超人たちが出てくるんですけど、この人達、良く言えば個性的、悪く言えば奇人変人。大変なことになってる。

ウルトラランナーのエピソードは飛び抜けていて、毎日ふらっとフルマラソンくらいの距離を走っちゃったり(しかも「疲れがとれた」と夜にもう1回走る)、全裸で森の中を走ってたり(女性!)、裸足で峡谷を軽々飛ばしたりする。100キロ以上を24時間かけて走る人なんて、やっぱりどこか変わってる。

対してタラマウラ族は物静か極まりない。よそ者への警戒心が強く、まず人前に表れない。走っているあいだは苦しがらず、笑って冗談を飛ばし合ってる。標高2000メートルくらいの山をぶっ飛ばしながら。

こんな「超人」たちを凡人の著者から書いていて、後半のウルトラランナーVSタラマウラ族なんて、まるで映画を観ているよう。でも絵空事じゃなくて、これノンフィクションなんだよなぁ。

なんだか自分も走れるんじゃないか?という気になってくる(でも実際走ってみて「ちがうわ」と思ったりする)

タラマウラ族のヒミツ

ウルトラランナーの奇人ぶりも目立つけど、人間は走るために生まれた、というお話も興味深い。

まだホモ・サピエンスだったころ、狩りをするのに、まぁイメージとしてはヤリみたいなの持って動物を追っかけてる感じするじゃないですか。

でもね、そうじゃないんですって、動物が疲れて倒れるまで、一緒にずっと走ってたんですって。3~5時間くらい。そんな猟あるの。

知能が高く腕力もあったネアンデルタール人より、長距離を走る能力があったホモ・サピエンスが生き残ったのだ、という説が語られる。

じゃぁなんで今のランナーたちは怪我しちゃうの、という疑問を突き詰めると、「ランニングシューズが身体に悪い」というとこまで行きつく。裸足がベストの状態。そしてタラマウラ族も、薄いサンダルでペタペタ走って怪我しない。これがわかってから、クリストファーさんも足の怪我が良くなっていく。
(そういえば『非常識マラソンメソッド』(→レビュー)でも「初心者でも薄底シューズ」って言ってた)

それと、もうひとつヒミツがある。

タラマウラ族が笑いあいながら走ってる姿を見て、ランニングを専門とする学者が天啓をうける場面がある。

2013-02-20 10.21.15-2

「愛」

他の人を蹴落として上がっていくのがランニングじゃない。走ること自体が楽しくて楽しくて、ハッピーだから、ずっと走り続けられる。ウルトラランナーも、タラマウラ族も。

これ、僕がハーフマラソンを走ったときも感じたことなんですよ(→21キロ走って初めてわかったこと 〜神奈川マラソンで走ってきました | イノミス)苦しい時に、なにくそ!とか負けるか!とか負のエネルギーを出しても足は動かないの。沿道の人とハイタッチしたりして嬉しい!楽しい!と思うと力が湧いてくるの。不思議。

ハッピーがあふれる、ウルトラランナーvsタラマウラ族の50マイルのレース。とても爽やかな読後感で、こっちまでハッピーをもらう。

あぁ、ここまで書いてたらまた走りたくなってきたー。

では、ここで失礼。

21キロ走って初めてわかったこと 〜神奈川マラソンで走ってきました

人生初のハーフマラソンを走ってきました。

参加したのは神奈川マラソン。今年で35回目を迎える歴史ある大会。10キロの部とハーフマラソンの部がある。参加者総数はなんと1万人!

トイレ行列も半端なく長い。

一方、今年で38歳を迎える僕(※注:まだ37歳)。ハーフマラソンは初めて走る。今まで参加した大会は横浜マラソンの10キロの部のみ。
(過去記事:「第32回横浜マラソン大会」で10km走ってきました

めっちゃ人がいる

日頃、家の周りをタッタカ走っているものの、自己最長は12キロ。タイムは1時間20分くらい。ハーフマラソンの21キロ走破は初挑戦。

目標完走!と意気込んだものの、直前で目標を「ケガをしない」に変更した。安全側に倒しました。

いざ、スタート!


5分後。

号砲が鳴ったけど人が多すぎて全然動かなかった。

完走しました

あっさり「完走」って書いたけども、2時間も走った。走りましたよ。もうヘトヘト。

疲れたり足が痛くなったりというのは、走る前から予想はできるものの、21キロ走りきって初めてわかったことがいくつかあった。まだまだ人生には発見があるのだ。

21キロ走ってわかった小さな発見を、みなさんにもおすそわけします。

めっちゃ腹が減る

ゴール直前くらいから、もう腹が減ってしょうがなかった。何を食べようーと思いながら走ってたらゴールした、そう言いきっても過言ではない。

スタートが11:30でゴールが14時過ぎだったから、単純に昼ご飯食べたいってだけかな?と思ったけど、それでは説明がつかないほど尋常じゃない空腹。

この空腹、消費カロリーを見てみたら納得した。こちら、iPhoneアプリ「RunKeeper」で取った今回の記録。

成人男性が一日に消化するカロリーは約1600キロカロリー。そのほとんどをこの2時間で使ってた。

そりゃ腹減るわ。

めっちゃ肩が凝る

これ意外だった。足の疲ればかり想像しがちだけど、2時間も手を振り続けてたらそりゃ上半身も疲れる。

どうも肩に無駄な力が入っていたらしく、走ってるあいだ肩が回らず、ゴールしたあと首がバキバキだった。

21キロ走ったのに首だけデスクワークしてたみたいだった。

めっちゃ乳首痛い

ゴールして、着替えて、家に帰って、お風呂に入って、シャワー浴びて「ヒャーッ!」ってなった。

乳首痛ーい!

走ってる間ずっとTシャツが乳首をこすってたらしく、2時間も続くと先端がすりむけるのだ。こんなこと初めて。両手で乳首おさえてヒャーッ!って言ってた。のび太さんのエッチ!のポーズだった。

フルマラソン走る人とか、乳首どうしてるんだろう。なんか貼ってるのかな。

子供はわかってくれない

今回、カミさんと子供たちは別の用事があったので、パパが走ってる姿は見ていない。

帰宅後、「マラソンしてきた」とは伝えたものの、娘五歳も息子二歳はわかってくれないのだった。2時間走りっぱなしって想像できないだろうな。

特にワンパク息子二歳は抱っこをせがんだり、寝ている上に飛び込んできたりで、「もうやめて!パパのライフはゼロよ!」状態だった。トホホ…。

次の目標は…?

もう一回くらいハーフを走ったら、フルマラソンやってみたい。東京マラソンとか。

子供のころから運動音痴だった自分が、今こんなに長い距離を走れるようになったなんて。親も驚くだろうなぁ。

フルマラソンの前に乳首をどうすればいいのか調べなければ。

まずはそこからだ。

乳首痛い。

「第32回横浜マラソン大会」で10km走ってきました

走ることは昔から大嫌いだったんですよ。

それがなんの因果かランニングを初めまして、ボテボテと小走りをしていたものが、2年ぐらいして5kmくらいは平気でいけるようになるもんですから、世の中わからないものです。

「横浜マラソン大会」は去年に引き続き2回目の参加。10km男子の部にエントリーしてきました。

レースに初めて参加する人のために、レース前の様子を中心にレポートします。初めてって不安なんですよね。

集合~スタート

こちら、集合場所の山下公園。

10kmの部のスタートは9:45。それなのに勢い勇んで8:00に着いてしまいました。寒い。気温6℃。よりによってこの冬一番の冷え込み。

でも、そこそこ人がいます。

横浜マラソンは山下公園からスタートしてベイエリアを回るコースで、ハーフマラソンと10kmの部の2つがあります。10kmの部は本牧ふ頭まで行って折り返し。参加者は合計10000人を超える大きな大会です。

こちらは荷物預かりのテント。ゼッケンの番号でテントが分けられています。

更衣室代わりのテントが別にあって、そこで着替えて、ここで荷物を預けます。

ただ、参加者に対してテントが男女それぞれ1つしかないので、家からウェアを着てくる人も多いです。荷物預かりも混むので、ギリギリまで持っていたいものは応援の人に預けたりしたほうがいいです。

参加者はゼッケンと、このRCタグを靴につけます。

このタグをつけた靴で、スタート地点とゴール地点にある受信エリアを踏むと、自動的にその人のタイムが計測される。すごいなぁ。

タグとゼッケンはレース1週間前くらいに郵送されてきます。計測されたタイムが載った完走証明書も後日郵送される仕組み。

協賛しているスポーツ用品店の出店。忘れ物(ソックスなど)があったら買ってしまうのも手です。ゼリータイプの栄養剤も売ってるのでここでチャージするのも可。

横浜マラソン公式のグッズも売っていますが…

どこかで見たようなお菓子も…。

9:00近くなって、だいぶ人が集まって来ました。みなとみらいをバックに海沿いをアップで走る人が多数(クリックすると拡大します)

そうそう、この時期の山下公園、海風がすごい冷たい。気温より体感温度は寒く感じます。防寒の備えをしっかりしたほうがいいです。寒かった。とくに手。手袋ほしかった。

寒いのでトイレも近くなります。みんな行くので混みます。早めに済ましておきましょう。

写真はトイレに並ぶ大行列。これでも半分すすんだところです。まだトイレ見えてない。

スタート30分前。ハーフの人がそろそろスタートです。10kmの人も集合を始めます。人ごみの中にいると風がこないので寒くない。

立て看板が遠くに見えるんですけど、「予想完走時間 45分~1時間15分」って書いてあります。予想タイムごとに前から並ぶんです。こうすると早く走る人は前のほうからパーっとスタートできる。

僕の予想タイムは1時間くらいなのでこの辺にいます。

さていよいよスタート地点に移動します。

イチョウが綺麗!そして人が多い!

前も後ろもこれくらいギッシリ人で埋まっています。スターターが見えません。街頭に拙遅されたスピーカーから「スタート○分前です」との声がする。緊張する。

そしていよいよ、花火の音と共に、レーススタート!

レース中

写真はありません。

だって撮る暇ないものー。1人で参加してるしー。

これだけの人数がスタートするので、最初は全然進みません。徐々にスピードが上がりますが、それでも1km地点まではジョグレベル。集団で道路を埋め尽くしています。

だんだんバラけてきて、追い抜いたり追い越されたりします。普段から1人でランニングしてるので、どんどん人を追い越すなんて気持ちいいんですが、調子に乗るとオーバーペースになって疲れます。追いぬかれても焦らず、自分のペースを守ること。

自分のペースを守るのに役に立っているのが、普段から使っているiPhoneのランニングアプリ。

「Runkeeper」という無料アプリを使ってます。指定した時間・距離に達すると経過時間・距離・平均ペースなどを声で教えてくれます。僕は1kmと10分ごとに教えてもらうようにしてます。あとはずっと音楽を聞いてます(→ランニングのBGMに「刑事ドラマ」がすごいハマる

無料
(2012.12.03時点)
FitnessKeeper, Inc.
posted with ポチレバ

3kmぐらい走ると倉庫街に入ります。普段は関係車両以外立入禁止の場所。わー、なんかグランド・セフト・オートみたい、と思いつつも走ります。

コースはぼぼ平坦なので走りやすいです。折り返し地点が全然見えてないのにもう先頭の人が帰ってきてたりして、みんな(スゲー…)って顔で見たりします。

10kmの部だと給水地点が7kmと8kmの間ぐらいに1箇所あります。もらうももらわないも自由。僕はもらわずにスルーしました。10kmぐらいなら給水なしでなんとかなる。冬だし。

さてラストスパート…という感じですが、素人にはそんなスパートする余裕などなく。9km過ぎたところにある陸橋の坂がキツイ。そこからゴールまでの直線も、ゴールが見えてるのに長い。ヒー!とスッ飛ばしてゴール。

手元の時計では56分台。お!自己最高タイム。

レース後

ゴール地点は山下ふ頭。そこから山下公園までクールダウンしながら歩いて帰ります。

ゴールして割とすぐにアクエリアスを配っているテントがあります。助かる。グビグビ飲みながら歩く。道端でストレッチをしてる人もちらほら。

靴につけたRCタグを回収して、参加賞(Tシャツなど)をもらって、山下公園に着く頃にはすっかり体が冷えきってます。そこに海風。さ、寒い…。

荷物の引き取りに時間がかかったりしましたが、テントで着替えて、おしまいです。

お昼ごはんにはこれくらいのモノを食べたくなります。つかれたー。

以上、横浜マラソンのレポートでした。来年参加されるかたのご参考となれば幸いです。

僕がランニングをする上で教科書にしている1冊。これで「体幹で走る」ことを覚えたら途端に走りやすくなりました。びっくり。