古今東西の「へんなほうりつ」を集めたこの本。例えばこんなの。
・仔牛を寂しがらせてはいけない(スイス)
・ビンゴ大会を週3回以上やってはならない(アメリカ・ノースカロライナ州)
・酔っ払いの離婚宣言は無効である(エジプト)
・ハトをビックリさせてはならない(アメリカ・マサチューセッツ州)
・刺繍業者は暴走族の特効服に刺繍をしてはならない(日本・広島)
そんなことまで法律で!?というモノばかり124連発。
でもこの本、ただのツッコミでは終わらないのが見どころなんです。
法律ができる、ということは、みんなに守ってほしいことがある、ということ。
「へんなほうりつ」たちにも、ちゃんと理由があるんです。
たとえば「死ぬことを禁止」した南フランスの町。
この町、町内の墓地がいっぱいなってしまった。町長が海に面した土地に墓地の新設を提案するんだけど、裁判所に却下されてしまう。町長は控訴し、死ぬことを禁止する条例を出した…とのこと。
幼いウサギや仔牛を寂しがらせないのは動物愛護のため。ビンゴ大会を週3回以上させないのはビンゴが賭事に使われていたため。ハトをビックリさせてはいけないのは「伝書鳩」を念頭に置いているから。
ひとつひとつ「へんなほうりつ」の裏側にある事情を解説してくれるので、へんてこな法律を通して異文化が見えてくる。これがとても楽しい。
こういう世界のヘンテコを集めたものって、下手にツッコミをしてしまって盛り下がっちゃうことがある。ツッコミたいとこをぐっと我慢して解説をつけてるのがとっても好印象。時々出てくる五月女ケイ子のイラストもマッチしてる。
単なるお笑いに終わらない、法律に乗った世界一周の旅。
あ、それでも「橋の上で立ち止まってはならない(アメリカ・オレゴン州)」とか、理由が謎のままの法律もあるんだよね。なんなんだろこれ。振り向いたら死ぬ的なやつかな。