宙返り 何度もできる 放浪記

朝のニュースを見ていたら、仲間由紀恵が着物姿で側転をしていた。

仲間由紀恵さんの「放浪記」始まる NHKニュース

森光子のライフワークであった『放浪記』が、仲間由紀恵主演で6年ぶりに復活した、というニュース。あの有名な森光子の「でんぐり返し」のシーンが、仲間由紀恵バージョンだと「側転」になったそうだ。初めて知ったんだけど、あのでんぐり返しのシーンは「小説の雑誌掲載が決まった主人公が喜びを爆発させる場面」なんですね。

というか、ロングランを続けた『放浪記』を次ぐだけでもプレッシャーなのに、「でんぐり返し」から喜びの表現をさらにパワーアップするというのが、とても大変なことである。

これ、仲間由紀恵がしばらく側転を続けて、それで次に誰かがやるとなったら、また側転からパワーアップしないといけなくっちゃうだろう。どうするんだろう。

側転

バク転

前方宙返り

後方伸身宙返り

前方伸身宙返り3回ひねり

後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり

どんどん上がっていくハードル。舞台の端から端までいっぱいに使って宙返りをする女優。そのうち跳び箱17段とか飛び始めても驚かなくなりそう。まるっとお見通しだ。

『キングオブコント2015』予選1回戦〜勝者インタビューまで取材しました

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今年はエキレビ!で『キングオブコント2015』を予選1回戦から長期取材させてもらいました。芸人さんたちの熱い現場に立ち会えて、とても嬉しいお仕事でした。取材記事をまとめておきます。

「キングオブコント 2015」予選1回戦スタート。1回戦の鍵を握る困難「2分の壁」を観てきた

場所は「よしもと幕張イオンモール劇場」。時間ギリギリに到着して、しかも劇場のある建物の反対側についちゃったので、イオンモールを走って縦断した思い出……。持ち時間たった2分。次々入れ替わるなかで印象に残らないといけない。それでも、面白いなぁと思った組はちゃんと勝ち進んでいた。すごい。

かもめんたるが予選1回戦に登場。松本人志の言葉から再びキングを目指す「キングオブコント2015」

こちらも1回戦。場所は新宿シアターブラッツ。かもめんたるが再び挑戦するも、シード権を失っているので1回戦から戦うことに。結果、準決勝まで勝ち進んでいました。取材前、近くの公園で芸人さんたちがたくさん練習していたのも印象に残っています(冒頭の写真)

超詳細レポ「キングオブコント2015」決勝進出10組発表セレモニー

ちょっと時間は飛んで、準決勝2日目のあとに行われた決勝進出者発表セレモニー。1組1組のやりとりを、本人不在でマネージャーが応対したところまでみっちり起こしました。その結果、MCのあべこうじのスキルがとんでもなく高いことがわかったのでした。ザ・ギースが名前を呼ばれた瞬間に抱き合って喜んでて、ホントによかったなぁ。

「キングオブコント2015」ファイナリスト記者会見「犬を一匹だけ、私に飼わせてください……!」

決勝進出者発表セレモニーのあとに行われた記者会見。タイトルの「犬を……」発言は巨匠・岡野。こちらもみっちり起こして、あべこうじスキルを堪能。今見ると、コロコロチキチキペッパーズが1000万円の使いみちに「バイクのパーツを買う」って言ってる。

キングオブコント2015優勝コロコロチキチキペッパーズ「優勝、やっべぇぞ!」その声ズルい会見レポ

そして10月11日の決勝戦。TBSのセミナールームに取材陣が集まって、O.A.を鑑賞。放送終了後にすぐ記者会見。普通にテレビを観ていたあとに本人たちが来る!みたいなことになっていた。番狂わせが次々起きてドキドキしました。O.A.中は審査員の点数やコメントを現場で逐一メモ。「昔の僕やったら好きだったんでしょうけど……」(巨匠のネタに対する松本人志コメント)など、あぁっ!と思うところ多数。

会見のコロチキは一つ一つ質問に丁寧に答えていて、ナダルが生い立ちについて延々と語っていたりしました。年表にすればよかったかも。水族館の飼育員を目指して農学部に入ったり、消防士の試験で最後の小論文で落ちたり(2回も!)したそうです。

「キングオブコント2015」採点データ分析で見た意外な真実。さまぁ〜ず三村が鍵を握っていた

この記事は取材じゃないんですけど、決勝戦の審査員採点から振り返ったレビュー。平均点や標準偏差など、あえてマニアックにしてみました。みんなが納得する審査形式ってホントに難しい。
 

芸人のみなさま、関係者のみなさま、おつかれさまでした!

ザ・ベスト・オブ・ちょうどいい人選

Hondaが原付のCMにゴールデンボンバーを起用している(公式:Honda×ゴールデンボンバー
)。4人が原付に乗り、露天風呂を目指すCMである。メンバーの歌広場淳はこのために原付免許を取得したそう。

原付にゴールデンボンバーってのが、すごいいい人選だなぁと思う。アクティブでテンションが高く、お金もそんなに持ってなさそうで、だからと言ってヤンチャ過ぎない。今ならEXILE関連の人選も考えられただろうけど、なんかこう、いい意味で「原付サイズ」のサイズ感がちょうどいいなぁ。

これで思い出すのが、パフィーが出演したYAMAHAのVinoのCM。BGMが「サーキットの娘」なので、1998年。

「うちから5kmの大冒険」ってコピーが今でも好き。徒歩では遠いし、車で行くほど大げさじゃない。「インドア派じゃないけど、アウトドアバリバリでもない」ってのが、まさにパフィーにハマっているし、ゴールデンボンバーもそうだと思う。

そうそう、ちょうどいい人選と言えば、最近の『2015ザ・ベスト・オブ・ちょうどいい人選』はアディーレ法律事務所のナイツ。

「借金で頭の中がいっぱいになっていそうな人」と「弁護士っぽい人」とがコンビなのである。

知名度もあり、お笑いだけど法律事務所のCMでもセーフな安心感がある。ドンピシャだ。このキャスティングした人すごい。これだ!って思ったろうなぁ。すごい。

臨床心理士が語る『水曜どうでしょう』が面白いわけ

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最近、うちの子が「トローリー!」「オー!」を気に入っている。

『水曜どうでしょう』の「サイコロ4」より、立山黒部アルペンルートに挑む登山家の大泉さんである。元々、子供が生まれる前からうちの夫婦は水曜どうでしょうが大好きでずっと観ていて、『水曜どうでしょうClassic』もたぶん全部録画してDVDに焼いてある。そんで、たまたま、テレビがつまらない時にDVDを流してみたら、子供たちが食いつきまくりである。普段は芸能人を呼び捨ての娘8歳も、大泉洋だけは「大泉さん」である。

『結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ』は、その名の通り、『水曜どうでしょう』がどうして面白いのかを考察した一冊。といっても、テレビ関係者が書いたわけではない。著者は臨床心理士なのである。

疲れているとき、何も考えたくないとき、どうも『水曜どうでしょう』を観ると「ホッとする」。それはなぜなのか。藤村&嬉野コンビにそれぞれ合計約6時間もインタビューをして、臨床心理士の視点から考える。

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ハトはなぜ首を振って歩くのか

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すべてのモノには理由がある。

潮の満引きがあるのも、太陽と反対側に虹ができるのも、柿の種とピーナッツの比率が6対4なのも、うちの息子4歳が何度注意してもソファからジャンプするのも、全部なんらかの理由があるのだ。ハトが歩くとき、首を振っているのにも。

藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか』(岩波科学ライブラリー)を読みました。1冊まるごと首振りがテーマ。鳥の歩行を研究している著者、好きな言葉は「首振りと世界平和」。首振り愛が高まりすぎて、ハトが歩くパラパラ漫画まで入っている。

一見、思うままに首を振っているように見えるハト。しかし観察を重ねると「首を振るのは1歩に1回」「片足で立っているあいだは首を振らない」「首を前に出したあと、足を踏み出して前に進むあいだは首の位置が動かない」といった”決まり事”があるのがわかる。

で、実験した人がいる。1975年。イギリスのフリードマンという人は考えた。景色が動くと首を振るんじゃない?それとも足が動くと勝手に首を振るのかな?

フリードマンは実験装置を作った。箱の中にハトを入れる。箱の底はランニングマシーンのようになっている。ハトの見た目からは景色が動かないけど、歩くことができる。果たして、この状況ではハトは首を振らずに歩いたのだ!

逆に、ハトを固定して周りの景色を動かしてみると、ハトは首を振った。歩いていないのに、である。

この現象を人間に置き換えてみると、「走る電車のなかから外の景色を見ている」状態になる。流れる景色を見るとき人間の目はキョロキョロ動く。しかし、ハトの目はキョロキョロできない。鳥類の眼球は頭部に対して大きく、平たい形をしている。代わりに動くのは首。ハトの首の骨は12~13個もあり、柔軟に動けるようになっている。

ハトの目は進行方向に対して左右についている。前方に進むと、ちょうど流れる景色を見るようになる。キョロキョロしたくなるが眼球の都合できないので、自然と首を振ってしまう、というわけなのだ。おおぉ~。

しかし話はこれだけでは終わらない。
首振りが1歩に1回なのはなぜ?
キョロキョロしたくなるのはなぜ?
だいたい同じ背格好のカモが首を振らないのはなぜ?
雀は両足でピョンピョン進むのはなぜ?
恐竜も首を振って歩いたの?

観察と仮説を重ねていくのだけど、随所で著者の言動が面白くて癖になる。コアホウドリがVの字に首を振ると聞けば、実際に自分で動きを真似てみて、「運動力学にも神経生理学的にも合理的なのではないか」と思うのと同時に「その姿を誰にも見られなくてよかった」と安堵していたりする。

序盤ではヒトと鳥の二足歩行について語っているのだけど、「なぜスキップやケンケンで移動しないのか」という疑問を持ちだした挙句、

仲睦まじくスキップをする恋人たちは、果たして疾走感を感じたいからスキップしているのだろうか。(中略)子供たちは遊びに夢中になると疲れるということを知らない。恋する若者たちもまたしかり。そういう活力にあふれる年頃には、きっと疲労など度外視してスキップもケンケンもできるのかもしれない。

と、若さ=スキップケンケンで語りだしてしまう。ところどころクスクス笑っちゃう。

「ハトはなぜ首を振るのか」を大真面目に優しく教えてくれる本。飛ぶのがメインの鳥が、たまに歩くときに見せるキュートさがたまらないだろうなぁ。