柄刀一『時を巡る肖像』

 た行の作家, 読書感想文  コメントは受け付けていません。
10月 032007
 

時を巡る肖像

  • 著者/訳者:柄刀 一
  • 出版社:実業之日本社( 2006-11-16 )
  • 単行本:280 ページ
  • ISBN-10 : 440853501X
  • ISBN-13 : 9784408535012
  • 定価:¥ 1,785

主人公兼探偵役の職業は「絵画修復士」。ピカソ、モネ、フェルメールなどの実在作品と事件を絡めた6編からなる短編集。

いつもの柄刀作品の不可能犯罪さとはちょっと距離を置いて、どちらかというと芸術家たちの特異な動機、いわば「狂人の論理」に焦点を置かれているような印象。それぞれの名画にまつわる謎物語と現実の事件を結びけていたり、修復士だからこその着眼があったり、やっていることの濃度密度は並々ならぬものあり。

ですが、うーん。「ピカソの空白」に出てくる片目の画家ほど超人然とした個性ならまだ見所があるにせよ、ちょっと事件の面妖さと動機がつり合わない印象がありまして。奇抜なトリックばりばりだとそちらに目を奪われて気にならないんですが、本作は動機にいたる道筋にも芸術の息がかかっているため、どうしてもセットで見てしまうのかなぁ。

 

先日本屋で見つけた高田純次監修『適当手帳』がめちゃめちゃ面白かったです。

もうその名の通り超テキトーな中身。キチンと製本されているのが逆に不自然なくらい。

  • 見開き1週間の手帳形式
  • 日付と曜日は自分で入れる。
  • 1日1つ、高田純次のテキトーな言葉が書いてある。
  • 「君歌うまいねぇ。まだ聞いてないけど」
  • 「僕バラエティ向かないのよ。男前だから」
  • 「藤原紀香と松島奈々子を足して2で割って回し蹴り2~3発ってとこかな」
  • 「君はマルシアと大鶴義丹を足して2で割った感じだね」
  • 高田純次の言葉のフォントが大きすぎて、予定が書けない日がある。
  • 巻末に日本地図と世界地図がある
  • しかし全部高田純次の手書き(ロケの思い出付き)

欲しいけど実用性ないしなぁ。サンタさんにお願いしても枕元に放り投げてありそうだ。

適当手帳

 

樹霊 (ミステリ・フロンティア)

  • 著者/訳者:鳥飼 否宇
  • 出版社:東京創元社( 2006-08-30 )
  • 単行本(ソフトカバー):272 ページ
  • ISBN-10 : 4488017274
  • ISBN-13 : 9784488017279
  • 定価:¥ 1,575

「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という噂を聞いて、北海道の古冠村へまでやってきた植物写真家の猫田夏海。かつてはアイヌ民族が住んでいた神の森であったが、今はテーマパーク建設のため乱開発が進んでおり、開発推進派と反対派が村全体を巻き込みぶつかっていた。そんな折、反対派の議員が謎の失踪。土砂崩れで移動した巨木が人を飲み込み、別の30メートル級の巨木が裾野から尾根へ移動し、街では街路樹が4本も移動を繰り返し、村役場から墜落死体が発見される。もう、猫田、大パニック。

『中空』『非在 』の<観察者>探偵・鳶山リターンズ。あらすじ書いてみたけど、もう何がなにやら。トラックが1台消えるし、巨木はヒューヒュー鳴くし、重機が密室状況にあるのに植樹がされてるし、書ききれないほどの不可思議状況が乱れ打ち。この一つ一つに解決をつけて、それぞれ結び付けたり切り離したり、アイヌの伝承や北海道の大自然を絡め、大きな大きな全体像が出来る様子はため息が出るほど大変な道のり。

大変な道のりゆえ、その像は多少歪んで無理やり感もあり。また、事前知識が必要な所があって純粋論理だけで解ける話でもなくなってます。でもこの大風呂敷が魅力なのが鳥飼否宇。もーここまでやってくれれば僕は満足です。木の葉を隠すための森が、巨大な謎となって立ちはだかる。

2月 202006
 

激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎 (小学館ミステリー21)

  • 著者/訳者:鳥飼 否宇
  • 出版社:小学館( 2005-11 )
  • 単行本:234 ページ
  • ISBN-10 : 4093876231
  • ISBN-13 : 9784093876230
  • 定価:¥ 1,470

ドキュメンタリーのようなタイトル。バカミスの雄、鳥飼否宇であるがまさか…と本を開くと、レース開始から刻々と綴られる参加選手たちのモノローグ。まさかホントにドキュメンタリーなのか、と思ったその時、ランナーが倒れた。

しかしラスト近くまでミステリーらしいことはほとんど起きません…。バカミス的殺人トリックと後付け感がぬぐえない大オチ。スポーツ小説として読めないこともないと思うのですが、鳥飼好きとしてはうーん軽いかなー…。

1月 142006
 

でかいプレゼン 高橋メソッドの本

巨大な文字のみプレゼンを行う手法、それが高橋メソッド。1ページ2,3行、300ポイントクラスの文字を扱うその高橋メソッドを、著者自ら解説したのが本著。ミステリ系更新されてますリンクを作ったあのたかはしさんである。

見開いて左ページに解説の項、右ページに高橋メソッドの紹介を高橋メソッドで一ページずつ掲載。ぱらぱらめくるだけで高橋メソッドの仕組みがわかる!という構成になっております。わかりやすい。

ただ文字を巨大にすればいいというわけではなくて、フォント選びから会場の客層、発表内容の難易度等による調整など、普通のプレゼンテーションでも忘れがちな基本をちゃんと押えた解説なのがいいですねぇ。一通りメソッドを解説した後の「part 5 高橋メソッドの舞台裏」の章では別のメソッドの紹介や新メソッド誕生への期待等に見える、独特の丁寧さ・腰の低さが好印象。ブログもあります→高橋メソッドな日々

© 2012 イノミス Suffusion theme by Sayontan Sinha