た行の作家 Archive
滝田務雄 『田舎の刑事の趣味とお仕事』
まさにタイトルどおりのユーモアミステリ短編集。「田舎」がこの作品のコア。起こる事件もわさび泥棒だったりトーテムポール損壊だったりする。そこに来て、ほとんどマトモが人がいない所轄の刑事たちが右往左往。
ちいさなクスグリが随所にあるのも楽しい。加えて、田舎ならではの事件や真相というのが面白い。 わかりやすい例で言えば「田舎の刑事のウサギと猛毒」 における”毒”の隠し場所なんて、田舎の人にはお馴染みだけども都会育ちの人には見たこともないものだろうし、 「田舎の刑事の危機とリベンジ」のコンビニ立てこもり事件は都会のコンビニだと目撃者多数で成立しないんじゃないかと思う。
ユーモア+田舎で、オンリーワンになれるかもしれないシリーズじゃないなぁ。警察署内のノンキなやりとりも、後半につれ興に乗ってきた感じなので、執筆中とウワサの二作目でもっとこなれた感じになるかも。こっそり注目することにします。
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柄刀一『時を巡る肖像』
主人公兼探偵役の職業は「絵画修復士」。ピカソ、モネ、フェルメールなどの実在作品と事件を絡めた6編からなる短編集。
いつもの柄刀作品の不可能犯罪さとはちょっと距離を置いて、どちらかというと芸術家たちの特異な動機、いわば「狂人の論理」に焦点を置かれているような印象。それぞれの名画にまつわる謎物語と現実の事件を結びけていたり、修復士だからこその着眼があったり、やっていることの濃度密度は並々ならぬものあり。
ですが、うーん。「ピカソの空白」に出てくる片目の画家ほど超人然とした個性ならまだ見所があるにせよ、ちょっと事件の面妖さと動機がつり合わない印象がありまして。奇抜なトリックばりばりだとそちらに目を奪われて気にならないんですが、本作は動機にいたる道筋にも芸術の息がかかっているため、どうしてもセットで見てしまうのかなぁ。
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「高田純次とともに生き、ともにくらす、超適当な365日」
先日本屋で見つけた高田純次監修『適当手帳』がめちゃめちゃ面白かったです。
もうその名の通り超テキトーな中身。キチンと製本されているのが逆に不自然なくらい。
- 見開き1週間の手帳形式
- 日付と曜日は自分で入れる。
- 1日1つ、高田純次のテキトーな言葉が書いてある。
- 「君歌うまいねぇ。まだ聞いてないけど」
- 「僕バラエティ向かないのよ。男前だから」
- 「藤原紀香と松島奈々子を足して2で割って回し蹴り2~3発ってとこかな」
- 「君はマルシアと大鶴義丹を足して2で割った感じだね」
- 高田純次の言葉のフォントが大きすぎて、予定が書けない日がある。
- 巻末に日本地図と世界地図がある
- しかし全部高田純次の手書き(ロケの思い出付き)
欲しいけど実用性ないしなぁ。サンタさんにお願いしても枕元に放り投げてありそうだ。
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鳥飼否宇『樹霊』
「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という噂を聞いて、北海道の古冠村へまでやってきた植物写真家の猫田夏海。かつてはアイヌ民族が住んでいた神の森であったが、今はテーマパーク建設のため乱開発が進んでおり、開発推進派と反対派が村全体を巻き込みぶつかっていた。そんな折、反対派の議員が謎の失踪。土砂崩れで移動した巨木が人を飲み込み、別の30メートル級の巨木が裾野から尾根へ移動し、街では街路樹が4本も移動を繰り返し、村役場から墜落死体が発見される。もう、猫田、大パニック。
『中空』『非在 』の<観察者>探偵・鳶山リターンズ。あらすじ書いてみたけど、もう何がなにやら。トラックが1台消えるし、巨木はヒューヒュー鳴くし、重機が密室状況にあるのに植樹がされてるし、書ききれないほどの不可思議状況が乱れ打ち。この一つ一つに解決をつけて、それぞれ結び付けたり切り離したり、アイヌの伝承や北海道の大自然を絡め、大きな大きな全体像が出来る様子はため息が出るほど大変な道のり。
大変な道のりゆえ、その像は多少歪んで無理やり感もあり。また、事前知識が必要な所があって純粋論理だけで解ける話でもなくなってます。でもこの大風呂敷が魅力なのが鳥飼否宇。もーここまでやってくれれば僕は満足です。木の葉を隠すための森が、巨大な謎となって立ちはだかる。
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鳥飼否宇『激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎』
ドキュメンタリーのようなタイトル。バカミスの雄、鳥飼否宇であるがまさか…と本を開くと、レース開始から刻々と綴られる参加選手たちのモノローグ。まさかホントにドキュメンタリーなのか、と思ったその時、ランナーが倒れた。
しかしラスト近くまでミステリーらしいことはほとんど起きません…。バカミス的殺人トリックと後付け感がぬぐえない大オチ。スポーツ小説として読めないこともないと思うのですが、鳥飼好きとしてはうーん軽いかなー…。
| 激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎 | |
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鳥飼 否宇
小学館 2005-11 |
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やってる人 : INO