住正徳『ロマンの木曜日』

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1月 122006
 

ロマンの木曜日

@nifty デイリーポータルZのライター・住さんの約3年にも渡る連載からのベストセレクション。「The Romantic Thursday」という英語題に、小松崎茂の絵という、かっこよさ極まりない装丁。

内容は過去の連載のものなので、今でもWEBで見られるものばかり(「どこでもドアは実現できる」のみ書き下ろし。謎のメキシコ行きの真相が明らかに!)付録に田辺誠一との対談とかあったりしますが、もっと書籍用の小ネタとか欲しかったかな…。でもこうして本にしてみると、WEBで見てたときよりも「バカな行為」の重さが違う気がします。WEBだと気軽にやって上げたものが、本だとなんか重みを持つような。「脳ドックによろしく」なんてすごく切なくなって泣くかと思った。愛すべきバカ、極まれり。

 

本業 (文春文庫)

  • 著者/訳者:水道橋博士
  • 出版社:文藝春秋( 2008-03-07 )
  • 文庫:436 ページ
  • ISBN-10 : 4167717700
  • ISBN-13 : 9784167717704
  • 定価:¥ 660

水道橋博士『本業―タレント本50冊・怒涛の誉め殺し!』はタレントによるタレント本書評。日経エンタに連載されていた「本と誠」をベースに、著者がタレント本に書いた解説をボーナストラックとして収録。『お笑い男の星座』(→感想)でも発揮した水道橋のルポライター気質がここぞとばかりに大奮発。

普通の書評と一線を画く目的で交流録や現場の裏話も多く含まれており、そのため本のセレクトもちょっと偏っている(本のカバーに取り上げた本が全部書いてあります)。次は木村拓哉『解放区』に、という編集者のオファーを断って山田かな子『せんせい』にしちゃうくらいである。その分、好きな人・好きな本を取り上げているので、語り部は生き生きと、絶妙に引用し、笑わせ泣かせ感嘆させ、最後にすっと差し出して薦めるのだ。これが1冊あたり4ページでぎっしり。芸能知識の満腹中枢にて針が振り切れるほどの満足感です。

タレント本なんて結局売名行為や金儲けの一手段でしょ、と正直思っていたのだけど、『本業』を読んでちょっと思い直したなぁ。激ヤバエピソードだったり思わぬ文才があったりで、テレビや雑誌では語られない芸能人の等身大を映す、まさに「確定申告」。タレント本はメディアで表から見る芸能界の、その裏を覗き込む鏡でもあったのだ。水道橋博士の案内で行くタレント本の世界。ご堪能くだされ。

 

ネット配信されていたアニメーション「ねっとのおやつ」の文庫化。ほのぼの漫画にシャープな発想。

『イメージの読み書き』
『プチ哲学』
など、佐藤雅彦には思考の盲点をつかれることが多く、ハッとさせられることしばしば。この「思考の盲点をつく」という行為は「笑い」にも通じるわけで、本書にもその盲点が山盛りで楽しい。ベタなネタもあるけどそれも緩急と思えば。「いったいなにがあったのか!」「狼煙」「人生は選択の連続」「内面的なサイコロ」あたりがお気に入り。

11月 202005
 

言いまつがい (新潮文庫)

  • 著者/訳者:糸井 重里 ほぼ日刊イトイ新聞
  • 出版社:新潮社( 2005-03-29 )
  • 文庫:351 ページ
  • ISBN-10 : 4101183139
  • ISBN-13 : 9784101183138
  • 定価:¥ 540

ほぼ日刊イトイ新聞の名物コーナー『言いまつがい』の書籍化で、2004年4月に出版された単行本の文庫版。

言い間違いについての読者投稿が何百と掲載されて、もうトランス状態です。終いの方はちょっとした間違いでもびくともしない耐性が身につきます。「空耳アワー」をずっと見ていると普通に日本語歌詞にしか聞こえなくなるかのように、言いまつがいの世界の住人になってしまうのだった。思い出した時に少しづつ読むと長く楽しめるかもしれません。

「まめ天狗」「セクシー・ハウス」「ナイス・パー」「ジュ~ドォ~ル」辺りはしばらく笑ったなぁ。こんなアホな本なのに新潮文庫なんで、しおり用の紐がついてるのが無駄に重装備な感じです。

小路幸也『ホームタウン』

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9月 152005
 

札幌の百貨店に勤める柾人。仕事の内容は”内偵”。ある日柾人の元に妹の木実から手紙が届いた。もう数年会っていない妹。結婚するという知らせだった。式も間近になった頃、妹とルームシェアしている女性が尋ねて来た。木実が突然いなくなったという。しかも手ぶらで。調べてみると木実が消えた一週間前に婚約者も消えていた。失踪か。それとも…。仕事で得たスキルを秘め、柾人は故郷の旭川に向かう。木実と二人で逃げ出した”あの事件”以来近づかなかった、あの故郷に。

帯が乙葉なのね。人探しの過程はミステリらしく進み、その中途で出会う人々との出会い・再会を絡め、故郷・家族というキーワードから終盤は泣かせにやってくるこの展開。リーダビリティ高く一気読み。適材が適所に嵌まる様子はもはやお家芸の様相。

ただ、物語の筋道がまっすぐ一本通っているとしたら、その周りに行き当たりばったりな線がたくさん引いてあるような、エピソード同士がちぐはぐな印象があるんですよ。一つ一つの欠片は魅力的で、読んでる時はあまり気にしなかったんだけど、読了して遠くから眺めると形に違和感があるというか。その線たちが同じ方向をビシッと向いた時、もっとすごい作品が出来上がる予感はするのだけど…。

ホームタウン
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