東川篤哉『館島』
バカ館最高!面白いなぁ。東川篤哉は実は初めて読んだのだけど、節度を保った小ネタギャグセンスに好感。肝心の館はもう一発炸裂の二尺玉。伏線を丁寧に拾うあまり謎解き部分がやや長く感じてしまうのはギャグを欲してしまうからか。突飛なトリックの割りになかなかに外堀を埋めてあって、箱庭の中で遊ばせてもらった印象。
バカ館最高!面白いなぁ。東川篤哉は実は初めて読んだのだけど、節度を保った小ネタギャグセンスに好感。肝心の館はもう一発炸裂の二尺玉。伏線を丁寧に拾うあまり謎解き部分がやや長く感じてしまうのはギャグを欲してしまうからか。突飛なトリックの割りになかなかに外堀を埋めてあって、箱庭の中で遊ばせてもらった印象。
ドアを破らない密室もの!
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。(あそこなら完璧な密室をつくることができる―)当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か?部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった…。
本格推理はこんなことができるのか。密室状態を破ることなく進む犯人対探偵の倒叙もの。彼はなぜ部屋から出てこないのか、という疑問をベースに知と知が生み出すこのスリル。推理の穴や動機の腑に落ちなさはともかくとして、ここは思考遊戯の極みを楽しみたい。いやー、面白かった。
「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化。
切れるセンス。回る台詞。いつもの伊坂幸太郎の姿がそこにあるのだけど、読み終わった後のこの物欲しさはなんだろう。死神のもつ”ルール”の特殊さに、短編毎に変わる設定に、隠し味のように効いてくる伏線に、もっともっとと期待する、人間の浅ましさを死神が嘆くのか。死神視点の人生論。NO MUSIC NO LIFE。
解説にある通りまさに「善意のサスペンス」。よかった。猛烈によかった。よかったー!(窓を開けて絶叫)。様々なきっかけから、主人公が悲しきネガティブに沈んでいく前半から事態は一転、優しさとポジティブに溢れた後半のロードムービー的展開たるや。長い助走から急上昇。台詞一つ一つに込められた魂の光。暖色に彩られた素晴らしき日。タイトルと装丁の愛想のなさから予想もつかないような暖かさが待っています。読もう。読もうよ。
これすんごい面白かった。神から指令を受け、地上に降り立った4人の霊。彼らは天国に行くことを条件に自殺しようとする命を救うよう命じられた『人命救助隊』だった。期間は四十九日。救うべきは100人の命。
とにもかくにもアイデア勝ち。霊魂となった彼らが生身の人間の心を動かす手段はただ一つ、「メガホンで叫ぶ」なのだった。揺れる自殺者心理をモニターしながら説得したり、時には第三者に事情を聞き込んだり、小学生にピンポンダッシュをさせたり(←これが実はすごく重要な行動なのは読めばわかる)。とても応用の効くアイデアであると共に、「こらー!」と訴え叫ぶことで物語のテンションも嫌がおうにも高まるのだ。ナイス。
あらゆる自殺の動機を網羅してあるのでちょっと分量が多い気もするけど、「幽霊」「自殺」というキーワードにそぐわぬシュールで楽しい救助隊キャラと、叫びのテンションと、泣かせるエピソードも多く取り揃え、かつ自殺者の救助を通して現代社会の問題提起まで執り行うという贅沢三昧。大変おススメです。エンターテイメントはなによりの抗うつ剤。不定な未来に絶望するのはまだ早い。
”車椅子の熊ん蜂”シリーズ短編集。短編一つにこれでもかとトリックと反証を詰め込んで、そこに障害者を取り巻く社会が抱える問題まで織り込むという、もうはち切れそうな本。「密室の中のジョゼフィーヌ」は久々に密室もので興奮を味わった。「コクピット症候群」もいい。不可能犯罪がいかに「不可能」であることを見せるのが長けていて、そこを打ち砕いたときのカタルシスに大いにリターンが来るのだ。
六年勤めた会社を辞め、失業中の十和人は、ハローワークの前で奇妙な男に声をかけられた。仕事を依頼したいという。それは、一カ月の間、別の名前を名乗り、見知らぬ女性と少女との仲のいい三人家族を装って、盗聴器と監視カメラのある家に滞在するというものだった。依頼を受けて滞在を始めた三人に、不思議な現象が起こりはじめる…。
ヘンテコシチュエーションから酩酊推理と見せかけてSF設定パスラーだと思いきや大人の御伽噺。荒唐無稽なつくりなのになんだこの心温まる感じは。いいなぁー。20代後半から30代前半男子向けファンタジー。