12月 272005
 

ベランダに毎日置かれるペットボトル、密室で割られたスイカ割り用のスイカ、無人のオフィスにかかってくる電話、事故現場に何台も呼ばれるタクシー。困る人々を横目にして、ひょっこり現れ達者なべしゃりで煙に巻く、童顔で低身長、年齢不詳で神出鬼没、謎を解くのは猫丸先輩。

タイトルどおりまさに「空論」の短編集。ロジカルに結論を導き出すのではなく、あくまで推論で場を収める猫丸先輩。前作『猫丸先輩の推測』でも見られた展開がますます加速しております。もはやキャラ勝負なのかしらん。

全編、登場人物の一人称語りであり、考えたこと思ったことを延々各場面が多いので、内容が薄まってしまうのがちょっと残念。もはや落語っぽい。声に出して読みたい猫丸先輩。

12月 192005
 

小説推理新人賞受賞作「キリング・タイム」を含む、著者デビュー作『九杯目には早すぎる』。短編5本と合間にショートショート4本という珍しい構成。

軽妙な語り口、というか可もなく不可もない運び方で、ふんふん普通やね、と読んでいったら一本目の「大松鮨の奇妙な客」であっけなくひっくり返されてダウン。あとから見たら推理作家協会賞短編部門の候補作だったのね。ネタ自体はどこかで見たような気がするのに、語り口ですっかり油断してしまった。

全編通してみると、無害そうな外見なのに中に強い毒を持っている、という印象。セコい人やイライラする人の描写がやけに巧くてとてもヤキモキします。外と中のギャップの埋め方をどう処理していくのか、それとも処理せずこの方向で進むのか、これから気になる作家さんであります。

12月 172005
 

黒タイツ萌え老人、有機物ダメ看護婦、もてなし好き中年、自殺願望主婦、女装癖刑事、彼らの前に現れた絶世の美少年。「触ると死んでしまう」その儚さと謎に惑わされ、狂わされ、壊れていく5人。

5人の視点から交互に描かれる美しすぎる少年。一見死んだように見えて気がつくと消えている、という謎を持っていて、これに連続殺人事件が関って、そしてそれぞれの欲望が絡み付いて、読み進めるにつれてどんどん異型の塊が膨れ上がっていく。強引とも見える落しどころも妙に心にひっかかったままで取りきれない。読者をも絡めとろうというのか。

目が離せない話運びはさすがの西澤保彦ですが、ちょっとグロいシーンが結構あるのが個人的に苦手でうーうー。面白いけど怖いよー。

12月 132005
 

「参ったなぁ、ジーヴス。いったい君の知らないことはあるのか?」
「申し上げかねます」

主人のバーティーには表向き従順で、どんな揉め事も手際よく解決、でもファッションセンスは譲れない、至上最高執事『比類なきジーヴス』。おもしろいなぁ。語り手は主人のバーティーなんだけど、知的な語り口にみせて中身はおバカなのがたまらん。バカシブ。どんなブサイクにも恋をする友人のビンゴも頭悪すぎ。

だからってバカ一直線に落ちるとたぶんつまらないんだろうなぁ。一線ぎりぎりで踏みとどまる危うさはまさに曲芸師。パターンが一定なのが難と言えば難だけど、新聞の四コマみたいなゆるいマンネリ感まで到達すると味が出てきます。

12月 112005
 
ほぼ日手帳の秘密―10万人が使って、10万人がつくる手帳。
山田 浩子 ほぼ日刊イトイ新聞
幻冬舎 (2005/11)
売り上げランキング: 78236

去年から「ほぼ日手帳」を使っています。1日1ページ、という構成は「そんなに書くことあるかなー」とか思ってたのですが、1年振り返ってめくってみると意外と書き込んでいたりする。スケジュール帳にもなればネタ帳にもメモにもなんでも使える奥深さ。その自由度の高さから、「他の人はどう使ってるんだろうなぁ」と気になる手帳でもあります。

ほぼ日手帳初の公式本『ほぼ日手帳の秘密』はそんな声に答えてか、43人(!)の使用例インタビューをカラーで紹介。罫線を大胆に無視したり、交換日記にしたり、写真を貼ったり…とユーザの「自由」がこれでもかと連発。43人でも足りないなー。他に「糸井重里インタビュー」と「ほぼ日手帳の歴史」の3部構成なのですが、使用例インタビューがもっともっと見たかった。奥が深いなぁ。

2006年版も購入したので来年もお世話になります。まさに今追加販売の真っ最中なので、買い逃し方はこれを機にどうぞ。

そうそう、この本、カバーがほぼ日手帳のカバーを模しているわけですが、これをめくるとまたビックリ、中身もほぼ日手帳の中身を模しているのです。手元にある方はお試しを。芸が細かいなー。