東日本大震災から100日が経った。

やっと100日、もう100日、まだ100日。時の流れは早くって、でも現実は遅くって。

瓦礫の処理・仮説住宅の建築・雇用の確保・産業の回復など、被災地はまだまだ問題が山積みで、原子力発電所の動向は毎日刻々と変化しているし、政治家たちは内輪もめで信用を落としている。

あれから何か変わっているのだろうか。

100日前を振り返ろうと思って、『PRAY FOR JAPAN』を読み返した。
 

PRAY FOR JAPAN ‐3.11世界中が祈りはじめた日‐

  • 出版社:講談社( 2011-04-26 )
  • 単行本(ソフトカバー):120 ページ
  • ISBN-10 : 4062170183
  • ISBN-13 : 9784062170185
  • 定価:¥ 1,000

あの巨大地震と津波のあと、ぼろぼろになった姿を見て、日本中、世界中から様々な言葉が生まれた。この本は地震直後に現地やTwitterから寄せられたメッセージを集めた本だ。

救出されながら「大丈夫、また復興しましょう」と笑顔で話すおじいさん。

「地震を逮捕しに行く!」と家を飛び出した男子。

停電で真っ暗な仙台で「みんな星がきれいだよ。上を向くんだ」と鼓舞する声。

歩いて帰宅する人々にコーヒーやトイレを提供する人。

救出した赤ん坊を愛おしそうに抱く自衛隊、ろうそくを前に祈りを捧げる異国の子供たち、たくさんの花束など、たくさんの写真も掲載されている。

悲劇的なものはなく、困難を前にしてもあたたかい人々を照らしたものばかりだ。
 

あの日、被災地外の僕達は、テレビにネットに釘付けだった。

被災地の状況を少しでも知ろうと思った。やっと届いた映像にショックを受け、親や知人の安否を確かめようと必死になり、デマにも翻弄されながら、自分にできることはないかと胸を痛めていた。

胸を痛めた人たちがつながって、なにか大きな流れが産まれるのを感じた。

そして必ず復興すると信じた。必死で自分に言い聞かせていた。

『PRAY FOR JAPAN』のページをめくりながら、あの時の、モヤモヤした、ザワザワした、そんな気持ちがよみがえってきた。
 

あれから100日。

もう一度、考えようと思う。

自分になにができるかを。

もう一度、思い出そうと思う。

あの時感じた、みんながつながる瞬間を。
 

 

考えない練習

  • 著者/訳者:小池 龍之介
  • 出版社:小学館( 2010-02-09 )
  • 単行本:226 ページ
  • ISBN-10 : 4093881065
  • ISBN-13 : 9784093881067
  • 定価:¥ 1,365

「考えすぎる」脳をどうやってクールダウンさせるか?
 
イライラ・不安といった負の感情を、仏教の教えに照らしながら、どのように抑えて穏やかに過ごすかを説いた本。「話す」「聞く」「食べる」「育てる」など、人の動作ごとに章分けがされていて、それぞれの所作や考え方を具体的に述べている。
 

根っこにある問題は「心は常に刺激を求めて暴走する」ということ Continue reading »

 

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 著者/訳者:アービンジャー インスティチュート 金森 重樹 冨永 星
  • 出版社:大和書房( 2006-10-19 )
  • 単行本(ソフトカバー):280 ページ
  • ISBN-10 : 4479791779
  • ISBN-13 : 9784479791775
  • 定価:¥ 1,680

職場や家庭での人間関係というのは永遠のテーマなわけですが、それが「実はすべて自分が原因で引き起こしているのです」と言われたら、どう思います?

いやいやいや。

だってあの部長がさー、とか、うちのカミさんはね…、とかなりますよね。そりゃそうなんです。そうなんですけど、この本は「自分に原因があることに気づく」から出発して、人間関係トラブルを一気に解決に導く本なんです。全米ビジネス書ベストセラー、という触れ込みで、日本でも10万部を突破したらしい。Amazonのレビューも188件中130件が5つ星。なんかすごそう。

カバーの折り返しにはこんな言葉が書いてある。

知っておくべきこと
◇自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく。
◇箱の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。
◇自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている。
◇他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる。

これだけ見てもなんだかよくわからない。とりわけ「箱」というキーワードが重要そうな感じ。タイトルにも出てるし。そしてそこから脱出するって書いてある。しかも「箱」の中には自分が入っているらしい。
 

中身は小説次立てになっている。

とある会社の管理職が幹部と1体1の研修をうけることになる。この管理職は一ヶ月前に転職してきた、家庭を顧みない仕事バリバリの人。成果もあげつつあり、なんの研修かよくわからないけど大丈夫っしょ、と行ってみると、幹部からは開口一番「君には問題がある」と宣告される。はぁ!?

その研修こそ「箱」という考え方について学ぶもの。そこから全編通して管理職の心を解きほぐしながら、読者も「箱」についてかんがえる。
 

人は自分を裏切った途端、「箱」の中に入ってしまう、とその幹部は言う。

「あれをやらなきゃな」と思いつつ、疲れていたから、面倒だから、自分がやんなくてもいいから、…と結局やらないまま、なんてことよくありますが、そうやって「やらなきゃな」という自分の思いを裏切ってしまったとき、人は「箱」に入ってしまう。

自分が正しいもん、と「箱」に入ってしまったので、「箱」の中からは外の世界は敵ばかりに見える。こんな疲れてるのは誰のせいだ、これはそもそもあいつがやるべきじゃないか、そうだそうだ、と防御の構えになってしまう。注意されても「だって!」と反論する。

そうこうしているうちに相手も「箱」の中に入ったりして、お互いがお互いを責め合って、事態はまったく進まなくなってしまう。「箱」の中に入る、イコール、仕事にも家庭にもよろしくない結果を産んでしまうのだ。

じゃぁ「箱」の外に出るにはどうしたらいいの?となるけどこれが難しい。本書でもかなり丁寧に慎重に言葉を選んで解説している。キーワードは「相手を人間として尊重すること」

んなこと言っても相手が「箱」の中にいたらどうやって出すの?そんなにずっと「箱」の外にいられるもんなの?「箱」の外に出るってことは自分を正当化しないんだから結局損じゃないの?

様々な疑問・反論を、例を出して問答しながら一つ一つほぐしていく。例が豊富なので、読者もどうしても自分の胸に手を当てて考えてしまうようにできている。「おとなタバコ養成講座」でお馴染み、寄藤文平のイラストもわかりやすい。
 

本書はコミュニケーション本という位置付けになるのだろうけど、小手先のテクニックではなく、もっと根っこの、もっと心の深ーいところの部分をグラグラ揺らしてくる。人生観が変わった、という人が出るのも納得するくらい、なんかここには大事なことが書いてある気がする。

気がする、って書いちゃったのは、まだこの本の言ってることがちゃんと頭と体に入ってないと思うから。「箱」の概念は掴めたようでスルリと逃げてしまう。再読して、血となり肉となって、初めてわかることも多々あるだろう。

人と暮らす以上、人間関係は避けられないもの。素晴らしい未来にみんなで行くために、「箱」から飛び出していけたらな、と願う。オススメ本です。

 

ジャージの二人 (集英社文庫)

  • 著者/訳者:長嶋 有
  • 出版社:集英社( 2007-01-19 )
  • 文庫:224 ページ
  • ISBN-10 : 4087461181
  • ISBN-13 : 9784087461183
  • 定価:¥ 450

非日常に来たものの、日常が頭の片隅から離れない。

会社を辞めたばかりの息子(32歳)が、グラビアカメラマンの父(54歳)に誘われ、避暑地・北軽井沢の山荘で過ごす夏休み。
二人は、亡き祖母が集めてきた古着のジャージを着て、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねる。
だが、東京では息子の妻がよその男と恋愛中、父は3度目の結婚も黄色信号と、それぞれ抱える悩みがあった。
都会の喧騒を離れた生活の中で繰り広げられる、軽妙でユーモラスな会話の数々。

別荘を訪ねて、着替えて、過ごすだけ。携帯の電波も入らない田舎。派手なことは起きず、愛犬を散歩に連れ出したり、顔なじみのお宅を訪ねたり、五右衛門風呂を沸かすために薪を割ったり、自炊につかれてコンビニに行ったり…。

物語は息子視点で語られる。日常の描写やズレた会話などにクスクス笑いを散りばめながら、淡々と別荘に「住む」二人。でもお互い自分の家庭のことがちょっと気になる。そしてお互い相手の家庭がどうなってるのかちょっと気になっている。ジャージでブラブラしながら、普段着の自分がちょっとだけ残ってる。この非日常から戻りすぎない「ちょっと」具合が絶妙で、変化のない田舎暮らしの話なのになんか読まされてしまう。

もうひとつ重要なポイントが「畑の真ん中のある地点だけ手を空に伸ばすと携帯の電波が入る」という設定。

別荘に電話は通じてるので全く連絡が取れない訳ではない。でも色んな人がこの畑でメールを送受信する。妻や恋人に直接うまく言えないことを電波に乗せて。わざわざ畑までやってきて。この「電話で話さずにわざわざ足を運んでまでメールに託す」という行為が、人々の微妙な距離を表現してていいなぁと思いました。

なにも起きないけどなんか切なくてホッコリする物語。堺雅人・鮎川誠主演の映画も好評だったようです。ちょっと観てみたい。

ジャージの二人 [DVD]

  • 販売元:メディアファクトリー( 2009-03-06 )
  • 時間:153 分
  • 2 枚組 ( DVD )
  • 定価:¥ 4,935

 

石川くん (集英社文庫)

  • 著者/訳者:枡野 浩一
  • 出版社:集英社( 2007-04-20 )
  • 文庫:240 ページ
  • ISBN-10 : 408746153X
  • ISBN-13 : 9784087461534
  • 定価:¥ 460

「働けど働けど我が暮らし楽にならざり」と言っていた石川啄木、実はあんまり働いていないって!

啄木の短歌は、とんでもない!(談・糸井重里)
親孝行や働き者のイメージは間違いだった!? お金大好き、働くの嫌い。借金大王で、女ったらし。そんな「石川くん」の本当の姿をユーモラスに描いたエッセイ集。啄木短歌、衝撃の現代語訳つき。

石川啄木といえば、ぢっと手をみたり、泣きながら蟹と戯れたり、母をおぶって歩けなかったり、なんか切なげなイメージだったんですが、いやいや全然違いまっせ、というのがこの本。もとは「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載。

まず啄木の短歌を一つ大胆に現代語訳して、次に作者から啄木に手紙を書いて語りかけるような章構成。当時の文献も紐解いて、そこで浮かび上がるのは啄木の愛すべきスチャラカ具合。

妻子を故郷に置いといて都会でプロの女性とイチャイチャしたり、仕事をサボって抜け出したり、奥さんに読まれないようにローマ字で日記を書いたり、母をおぶったのも最初は冗談(戯れ)のつもりだったり…

そんな啄木をイジリ倒す作者。愛あるゆえのイジリなのはわかるのだけど、ちょっとイジリがしつこくて「芸」まで昇華してないかなぁ…。

もとは土日に連載していたので、同じネタでイジるのが続いても連載時は気にならなかったかもしれないけど、こうして一気にまとめて読んでしまうとちょっと胃にもたれる。もうプロの女性とイチャイチャしてた件はいいじゃないか、許してやりなさいよ、とか思ってしまう。

古典を現代まで降ろしてきて、新しいイメージをお披露目する心意気は好き。文中の可愛いイラストも一役買っている。石川くんったらもうー、という気分になったのだけど、石川くんのことこんなにイジリ倒してる人がいるよどう思う?とも聞いてみたくなっちゃう。心意気は好きだけど、姿勢にちょっと馴染めない本だなぁ…と思ってしまいました。

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