貫井徳郎『悪党たちは千里を走る』

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2月 102006
 
悪党たちは千里を走る 悪党たちは千里を走る
貫井 徳郎

光文社 2005-09-26
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おすすめ平均

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小市民な詐欺師たちが一攫千金を企んだ「犬の誘拐」。お金持ちの犬をさらって身代金を、と思ったら、ターゲットの家の子供が話しかけてきて…。二流詐欺師の犯罪喜劇はどんどんあらぬ方向へ。

イベントが次から次へとやってきて、状況がくるくる変わる早い展開。スピードがあって飽きさせない。登場人物たちの会話も小気味良く…なんですが、どことなくベタな感じなので(”表面上”憎まれ口を叩きあう詐欺師/男と詐欺師/女みたいな)、ちょっとインパクト不足なところも。

誘拐事件そのものは携帯やネットといった現代の小道具を使ったものではあるんだけど、なんかドキドキが足りない感じ。読者を騙すような欺くような、”見えない”演出がもっと欲しかったと思ってしまう。『慟哭』『光と影の誘惑』といった作者の他の誘拐ものと比べてしまうと、本作は喜劇色を強めたという違いはあれど、もっと期待値が高まってしまうのであった。

作者の傾向からすると異色の流れですが、シリーズ化するのならばちょっと気になる、憎めないお話であります。
 

1月 302006
 

パズラー 謎と論理のエンタテイメント

意外なことに西澤保彦初のノンシリーズの本格ミステリ短編集。『夏の夜会』で見せた曖昧記憶の暗い穴「蓮華の花」、もはやスタンダードの西澤流反転「卵が割れた後で」、ただのかくれんぼのはずが「時計じかけの小鳥」、都筑道夫へのオマージュ「贋作「退職刑事」」、大仕掛けの大胆さはまさに「チープ・トリック」、アリバイがあるのに主張しない犯人の恐るべし意図「アリバイ・ジ・アンビバレンス」の6本

副題が「謎と論理のエンタテイメント」とあるようにまさに都筑道夫リスペクト。論理重視のパズラー小説が6本立て続け。参加型の犯人当てではなく、目の前で繰り広げられる論理のアクロバットを客席砂被りでとくとご覧あれの一冊。ノンシリーズなのでキャラでなく話の筋に注目できるのも本気勝負のパズラーを感じさせます。個人的には「アリバイ・ジ・アンビバレンス」の構図がもう衝撃です。あんなことになっていたなんてなー。

西澤保彦『フェティッシュ』

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12月 172005
 

フェティッシュ (集英社文庫)

黒タイツ萌え老人、有機物ダメ看護婦、もてなし好き中年、自殺願望主婦、女装癖刑事、彼らの前に現れた絶世の美少年。「触ると死んでしまう」その儚さと謎に惑わされ、狂わされ、壊れていく5人。

5人の視点から交互に描かれる美しすぎる少年。一見死んだように見えて気がつくと消えている、という謎を持っていて、これに連続殺人事件が関って、そしてそれぞれの欲望が絡み付いて、読み進めるにつれてどんどん異型の塊が膨れ上がっていく。強引とも見える落しどころも妙に心にひっかかったままで取りきれない。読者をも絡めとろうというのか。

目が離せない話運びはさすがの西澤保彦ですが、ちょっとグロいシーンが結構あるのが個人的に苦手でうーうー。面白いけど怖いよー。

 
腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿
西澤 保彦
実業之日本社 (2005/07/16)
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神出鬼没の公務員、櫃洗市市民サーヴィス課出張所の腕貫の男。特徴なし面白みなしの役所仕事で安楽椅子探偵をやってのける。

全7編の短編集。1作目「腕貫探偵登場」の時は無愛想にヒント一つ出して、相談者が勝手に仮説を思いつくという『完全無欠の名探偵』的な展開だったのが、後半に行くにつれて業務に慣れたのか段々と饒舌になっていく腕貫男。

困ったこと/変なことが起きて→相談して→饒舌に答える、のような問題→答え合わせのようなまっすぐな図式より、無愛想ヒント一つの展開の方が難しいなりに捻りようがあって好きだったんだがなぁ。というわけで徐々に腕貫男のスタンスが揺れていく中、ちょうど真ん中に位置する「喪失の扉」がバランスが取れたのか出色の出来。押入れの中から見つかった大量の学生証と履修届。しかも二十年前のもの。身に覚えがないんだが何だこれは?という発端から背筋が凍る展開に。

奇想は相変わらずの西澤節なのですが、「役所仕事の腕貫探偵」というキャラがもっと生きる様を見たかったなぁ。もっと光を。もっと腕貫を。

1月 272005
 

やっと読みました。そうかーメイントリックについてみんなが言っていたのはこういうことだったのかーそうかー。西澤保彦らしいアクロバット技は十分堪能できる一冊ではあるのだがーそうかー。

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