Home > 読書感想文 > か行の作家 Archive

か行の作家 Archive

寄藤文平『死にカタログ』

死にカタログ
死にカタログ
posted with amazlet on 06.07.30
寄藤 文平
大和書房 (2005/12/15)

JTの中吊り広告大人たばこ養成講座でおなじみのイラストレーター・寄藤文平が「死ってなんだろう」という疑問を絵で考えていく本。

哲学書から白書まで、死に関する膨大な資料を引用しながら、様々な「死」が独特の柔らかなタッチで描かれています。国や文化による死の受け止め方の違いを描いた「死のカタチ」、人はどこで死ぬものなのか「死の場所」、古今東西の人物が死ぬまでのストーリーを書いた「死のものがたり」など。細かな絵柄でポップに描かれたイラスト達が死を語るアンバランスさが、”死を考える”という重くとりがちなテーマを軽くしてくれる役割をしてくれます。

一人称でも二人称でもなく、死の実際を床に広げて、「こうなってるみたいだ。自分はどうなるのかな。」と結論を出さずに俯瞰する、きっかけ作りの中身になってます。真剣に対峙する、というより、ちょっとサンダル履いて覗いてくる、という気軽さがいい

絶対いつかくる自分の死がどんなカタチになるのか、死と向き合うための入門書になるんではないでしょうか。普通にイラストだけ見ても楽しいです。質量は軽いが中身は重い、大人の絵本ですな。

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

劇団ひとり『陰日向に咲く』

陰日向に咲く 陰日向に咲く
劇団ひとり

幻冬舎 2006-01
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見るby G-Tools

お笑い芸人・劇団ひとりの初めての小説。帯には「ビギナーズラックにしてはうますぎる」という恩田陸の推薦。売れて売れて17万部超えたらしいですよ。すごいなー。

世の中からちょっとだけ落ちこぼれた人たちがちょっとだけ見つける幸せ。5編の短編を収めた連作集。台詞や言い回しがベタだったり臭かったりするところが気になる人もいるかもですが、劇団ひとりのネタを見ればわかるようにこれが元々の持ち味。変なシチュエーションに落ちた人を臭い台詞で可笑しく寂しく表現していく。

最初少し読んだ印象では、まぁネタの延長線上かなぁ、と思っていたんだけど(ホームレスに憧れるあまり夜中に”コスプレ”するサラリーマンとか)、進むにつれ段々巧くなっていってるような気がする。他の短編の登場人物が別の短編に出てきたり、という連作短編の形をとっているものの、ちょっと顔が出るくらいの繋がりであまり気にしてなかったんですが、最後の「鳴き砂を歩く犬」でこの形が巧いこと使われて感心。すっかり油断してた。こう来るのかー。

お笑い芸人だからこそ書ける切なさ、という面もあり、恩田陸の推薦帯の通り「あと2冊は書いてもらわなきゃ。」ですな。油断して読んだらなんか良かった、というボディブロー。気づかぬところでその花はひっそり咲いていたのだった。

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

倉知淳『猫丸先輩の空論』

猫丸先輩の空論
猫丸先輩の空論
posted with amazlet on 07.06.20
倉知 淳
講談社 (2005/09/06)
売り上げランキング: 223552

ベランダに毎日置かれるペットボトル、密室で割られたスイカ割り用のスイカ、無人のオフィスにかかってくる電話、事故現場に何台も呼ばれるタクシー。困る人々を横目にして、ひょっこり現れ達者なべしゃりで煙に巻く、童顔で低身長、年齢不詳で神出鬼没、謎を解くのは猫丸先輩。

タイトルどおりまさに「空論」の短編集。ロジカルに結論を導き出すのではなく、あくまで推論で場を収める猫丸先輩。前作『猫丸先輩の推測』でも見られた展開がますます加速しております。もはやキャラ勝負なのかしらん。

全編、登場人物の一人称語りであり、考えたこと思ったことを延々各場面が多いので、内容が薄まってしまうのがちょっと残念。もはや落語っぽい。声に出して読みたい猫丸先輩。

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

北村薫『ニッポン硬貨の謎』

北村薫 and エラリークイーン and 「五十円玉二十円の謎」と来れば期待しないわけにいくまいて、と、未読だった『シャム双子の謎』も読んで望んだわけでございます。結果としてはうーん…まだ読むべきじゃなかったかもしれない…

北村薫がクイーンの未発表原稿を訳した、という設定で文体パスティーシュをしているわけなんですが、3,4ページめくるたびに訳注が挟まって、マニアックな中身をさらにマニアックに解説しているのですが、結果として物語の流れが細切れになってしまって、なんだか乗り切れず。自分が書いた本文に対して訳注で「原文は~だっただが~だろう」等、一人ボケツッコミ状態なのも一因か。エラリー・クイーンが本当に好きで一家言あるくらいの人でないと、訳注のマニアックな部分や、途中に挟まれる『シャム双子の謎』論や、殺人事件の真相の突飛さに乗っていけないのではないのか…。クイーンへの愛で固められた一冊。楽しそうだなぁ。いいなぁ。ずるい、ずるいなぁ。

ニッポン硬貨の謎
ニッポン硬貨の謎
posted with amazlet at 05.09.05
北村 薫
東京創元社 (2005/06/30)
売り上げランキング: 7,544
  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』

何の因果かセカチュー。泣きながら一気に読んでないけど。なかなかにせつない。

映画・テレビとの大きな違いは主人公のテンションの低さか。っていうか叫ばないし!シーンとシーンの間に隙間が多く、もっと泣かすシーンを挟もうと思えばいくらでも挟めるところが映像にしやすい理由だったのかな。登場人物も少ないから増やせるし。

世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

Home > 読書感想文 > か行の作家 Archive

Banner
あわせて読みたい
フィードメーター - イノミス
track feed
この日記のはてなブックマーク数

Return to page top