2月 182006
 

不思議のひと触れ (シリーズ 奇想コレクション)

  • 著者/訳者:シオドア・スタージョン 大森 望
  • 出版社:河出書房新社( 2003-12-22 )
  • 単行本:361 ページ
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奇想コレクションのスタージョン短編集第一弾。『輝く断片』(→REVIEW)がよかったのでこっちも読んでみた。

奇想とユーモアと切なさの融合がたまらんですね。「もう一つのシーリア」「タンディの物語」の事件のインパクトもさることながら、「孤独の円盤」「不思議のひと触れ」の海辺や「ぶわん・ばっ!」の船上とか、一つ一つのシーンが印象深く切り取られ、読み終わってからもゆっくり後味を味わえる筆致。さすが”アメリカ文学史上最高の短編作家”。これはすごいわー。

『輝く断片』のほうが話のインパクトが強いのですが、こっちは逆に後味にしっとり浸る感じかもしれません。両方ともおススメですよ。

1月 222006
 

輝く断片 (奇想コレクション)

  • 著者/訳者:シオドア・スタージョン
  • 出版社:河出書房新社( 2005-06-11 )
  • 単行本:377 ページ
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スタージョン初読みなのにいきなり非SFよりの短編集はどうなのか、という話もありますが、いやー面白かった!というか切ない。男たちが切なすぎる…。

解説でも言われているのですが、普通のなんの罪もないはずの中年男性がちょっと踏み外した勢いでガタガタと狂っていく。サイコっぽい展開もあるのですが、「マエストロを殺せ」(ミステリとしても良作!)や「輝く断片」なんかは文体の妙もあって、面白くも切ない読後感になっているのだった。

切ない切ない言ってますが、収録作の半分はその切なさで、もう半分くらいはまさに”奇想”の嵐。初めの3編(「取り替え子」「ミドリザルとの情事」「旅する巌」)といったSF趣向を絡めたものは思わず笑ってしまう場面も多数。こうして全体眺めるとスタートで飛ばして最後をグッと締める配置になっていて、いい仕事してるなぁと思います。

1月 122006
 

どんがらがん

殊能将之・編の奇想コレクション。SFあり新本格っぽいものもあり、多岐に渡る発想の泉が楽しめる。始めはそんなにぶっとんだことしてないなぁちと読みづらいか、と思いつつ進んでいったのですが、段々はまってきますね。これ。「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」「すべての根っこに宿る力」あたりが好き。どうしてもわかりやすいものに目がいってしまうけど、「どんがらがん」「ナポリ」あたりのイメージの力に流されるのも良しか。

サン=テグジュペリ『人間の土地』

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1月 122006
 

人間の土地 (新潮文庫)

  • 著者/訳者:サン=テグジュペリ
  • 出版社:新潮社( 1955-04 )
  • 文庫:208 ページ
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伊坂幸太郎『砂漠』(→感想)内で、西嶋が愛読書としていた本書。『砂漠』にすっかりはまった身として、サブテキストのつもりで読んでみた。

小説かと思ったらエッセイに近い。サン=テグジュペリの飛行士として経験と、自然や人間の生き方について、思いのたけを綴った200P。ちょっと読みづらい箇所もしばしばあれど(原文も読みづらいみたい)、砂漠に不時着してから生還するまでを綴った章「砂漠のまん中で」からは目が離せず、生と死をさ迷っただけに次の章「人間」の内容が生きて見える。全体からどれだけ理解できたかいささか心許ないが、たまに現れる印象的なフレーズは確かに心動かすものだった。これからの人生で繰り返し読んでみたいと思う。

P.G.ウッドハウス『比類なきジーヴス』

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12月 132005
 

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

  • 著者/訳者:P.G. ウッドハウス
  • 出版社:国書刊行会( 2005-02 )
  • 単行本:305 ページ
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「参ったなぁ、ジーヴス。いったい君の知らないことはあるのか?」
「申し上げかねます」

主人のバーティーには表向き従順で、どんな揉め事も手際よく解決、でもファッションセンスは譲れない、至上最高執事『比類なきジーヴス』。おもしろいなぁ。語り手は主人のバーティーなんだけど、知的な語り口にみせて中身はおバカなのがたまらん。バカシブ。どんなブサイクにも恋をする友人のビンゴも頭悪すぎ。

だからってバカ一直線に落ちるとたぶんつまらないんだろうなぁ。一線ぎりぎりで踏みとどまる危うさはまさに曲芸師。パターンが一定なのが難と言えば難だけど、新聞の四コマみたいなゆるいマンネリ感まで到達すると味が出てきます。

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