「忙しいオフィス」を表現するために人が歩きまくるCM

櫻井翔が出演しているウイダーinゼリーのCM「フレフレ、オレ」篇がすごく気になる。オフィスの中を人が歩き過ぎなのだ。

書類を抱え、出張に出かける櫻井翔のところに、同僚や事務の人が話しかけてくる。その後ろ、多くの社員がファイルを持ったり電話をしたりしながらウロウロ歩いている。座っている人がほとんど見当たらない。

落ち着かない。こんな会社絶対落ち着かない。明日にも倒産してしまいそうな上へ下への大騒ぎだ。座ってExcelいじってる場合じゃない気分になる。用が無いのにトイレに何度も行きたくなる。

オフィスを人がウロウロしているといえば、docomoのCMもそう。料金「得ダネを追え!学割の詳細」篇。

高畑充希からのデータを待つ堤真一と綾野剛。その後ろ、書類が山積みのオフィスの中を社員たちがウロウロしている。わざわざ立ち上がって腕まくりしている人もいる。

2つのCMに共通するのは「忙しいオフィス」の演出だ。

バリバリ働いている櫻井翔や堤真一、綾野剛を表現するために、オフィスを忙しい感じにしないといけない。でも、座ってPCをカタカタしてる様子は傍から見ると忙しい感じに見えない。

どんなに複雑なExcelの表をいじっていたとしても、タイムリミット寸前で精算処理をしていても、次から次へくるメールに速射砲のように返事をしていても、外から見える姿は共通して「PCをカタカタ」しているだけ。それだと絵が寂しい。すると結局人を動かすことになる。忙しいんだから2,3人動くんじゃ足りない。収集がつかないくらい人が歩いていると、すごい忙しい感じになる。てんやわんや感が出る。

PCで大半の仕事が済む現在からすると、この「忙しいオフィス」での仕事はとても非効率だ。結局、「あの人忙しそうだね」という言葉は非効率な所作を示しているのかもしれない。

Tポイントカードが憎い

吉野家でTポイントが使えるようになっていた。吉野家でも「Tポイントカードはお持ちですか?」と聞かれるようになったのだ。

あの吉野家で現金以外のお支払いが可能になるとは、と感慨深い。もう10年近く前になるけど、会社帰りで吉野家で牛丼を食べた後、財布の中の現金がいま食べた牛丼未満だったことがある。Suicaもクレジットカードもおサイフケータイもあったから、現金が少なくなっても気が付かなかったのだ。財布の中に電子的に支払える手段が多々あるのに、吉野家では全部NG。仕方が無いので少し先のコンビニまで走ってお金を下ろしに行った。逃げない証明のために免許証を吉野家にあずけて。息を切らして店に戻ったら、僕の免許証は厨房の壁にズバーン!と貼られていて、でも店員がさっきと入れ替わっていて、僕は免許証と顔を交互に指差しながら「?」な顔をしている店員に説明をしなければならなかった。以来、吉野家に入るときはいつも緊張する。手に取れない電子マネーなど存在しないに等しい、信じられるのは目の前のカネ、ただそれだけ。現金主義のハードボイルド吉野家を今でも恐れていた。

で、Tカードである。よくネットで「ファミマでいつもTポイントカードはお持ちですか?って聞かれてウザい」などの呪いの声を見かける。なんとか見た目だけでTポイントカードを持っていないことを伝えられないか、という大喜利状態のブレストも目にする。確かに毎回カードを持っているかどうか聞かれ、毎回否定するのは大変だ。でもそれ以上に気になることがあるのだ。

Tポイントカードの有無を聞かれ、「持ってません」と答えると、「失礼しました」と店員さんに謝られてしまうのだ。

いいんだ、顔をあげてくれていいんだ。確かに毎回聞かれ否定する客は大変かもしれない。でもあなたが謝らなくていいんだ。店によっては「申し訳ありませんでした」まで誤り度数がアップするところまである。そこまでじゃないんだ。悪いのはあなたじゃないんだ。どうか笑ってほしい。カードを持っていない僕でもたぶんない。このカードが、このカードが悪いんだ……

罪がない人を謝らせてしまうTポイントカードが憎い。謝らせてしまう構造になっているのが憎い。どうしたらいいんだ。じゃぁ客に「持っていません」と言われた店員さんは何て返したらいいんだ。無視は気まずい。「ですよね」はだめだ。年齢確認のボタンみたいに「持ってる」「持ってない」を押すのも面倒だ。どうしたらいいんだ。見た目だけでカードを持っていないことをわかってもらうしかないのか。話はやっぱり大喜利状態のブレストに戻ってしまう。

ハーゲンダッツでガスを抜く

仕事がなんだか忙しくて、もろもろ終わったら自分にご褒美でもほしい。褒美をとらせたい。自分に。

自分へのご褒美といえばハーゲンダッツのイメージがある。柴咲コウがCMで事あるごとに自分へのご褒美にハーゲンダッツをあげて食べているあれだ。最近違う人になったみたいだけど、ちょくちょく自分に褒美を取らせている柴咲コウが羨ましいかった。最後に見た柴咲コウのハーゲンダッツのCMの記憶は、なんだか仮面舞踏会にみたいなところに柴咲コウがいて、その中の一人の外国人男性を連れだしてパーティーから抜けだして、なんかでっかい屋敷の屋根の上に2人でのぼって、夜空を見上げながらあははうふふってハーゲンダッツを食べているやつだった。なんだそのシチュエーション。夢か、ってベッドから起き上がりそう。変な夢見ちゃった、っていいながら冷蔵庫をあけるとびっしりハーゲンダッツが入っていて、柴咲コウは「ん~」って悩むふりするけど実際そんなに悩んでなくて最初からそんな気分だったクッキー&クリームを手にとってもういっかベットに戻ってボフン!って座ってハーゲンダッツを食べたりするんだと思う。なんだそのシチュエーション(2回目)

で、僕なんだけど、なんだかハーゲンダッツでは自分への褒美が済まないような気がしている。ハーゲンダッツではおさまらぬ。おさまらぬのだ!もっと褒美を!もっと光を!仰せの通り褒美を持ってまいりました。お、気が効くじゃないか。ハーゲンダッツ10個でございます。そうじゃないんだよー、ハーゲンダッツだけ単純に掛け算すればいいんじゃなくてー、別に褒美の単位は1ハーゲンダッツじゃないからー。

しかしハーゲンダッツ以上の自分へのご褒美を模索するともう青天井だ。あれも欲しい、これも欲しい。もっと欲しいもっともっと欲しい。息子5歳がジュウオウジャーを観てるときにCMに突入するとなんでも欲しい欲しいって言ってしまうあの状態だ。君、つい最近までニンニンジャーのなにがしが欲しいって言ってたじゃないか。覇王シュリケンジン欲しいって言ってたじゃないか。気分はすっかりジュウオウジャーじゃじゃないか。頭は動物で体が人間じゃないか。見た目は子供、頭脳は大人じゃないか。違うか。

そもそも自分へのご褒美がハーゲンダッツでは済まなくなっているのが問題な気がする。ちょっと大変なときに、ハーゲンダッツで済ませればこうはならなかったのではないか。ちょくちょくハーゲンダッツでガス抜きすれば自分への褒美熱が気球のように膨らむこともなかったんじゃないか。柴咲コウがちょくちょくハーゲンダッツを食べているのは長期的に見て戦略として正しかったのではないか。あれはあれでよかったのか。

どうでもいい話だけど、昔会社で同僚と話しているときに柴咲コウの名前があやふやになって、その場の3人くらいでしばらく「シブサワ・コウがさぁ~」って会話して通じていたことがある。それKOEIの人だよ。三国志とか信長の野望作った人だよ。シブサワ・コウもハーゲンダッツ食べるかな。合戦から武将と抜けだして山の裾野で2人であははうふふってハーゲンダッツ食べたりするかな。なんだそのシチュエーション(3回目)

2月13日(土)「路線図ナイト」に出演します

路線図大好きって言って、オフ会を開いたら憧れのデイリーポータルZで記事になったのが去年の4月。

今度はお台場の東京カルチャーカルチャーで「路線図ナイト」をやることになりました……!

ニフティ株式会社運営のイベントハウス「TOKYO CULTURE CULTURE」で行われる「路線図ナイト〜路線図をながめて「いいねぇ〜」って言うだけの飲み会」のご案内です。

デイリーポータルの西村まさゆきさんと、鉄道フォトライターの栗原景さんとご一緒させていただきます。日時は2月13日(土)18時から。チケット絶賛発売中!わーわー。

あんな路線図とかこんな路線図とか、パワポにまとめてしゃべったり眺めたりします。路線図を「図」として愛でているので、鉄道詳しくなくて……という人でも大丈夫です(僕もそう)。デザイン、インフォグラフィック方面に興味がある方でも楽しいかと。あくまでゆる~く、という意図で「いいねぇ~って言うだけの飲み会」というタイトルになってます。

とはいえ、ホントに面白いの?届くの?っては不安。路線図でイベントってなにせ初めて。

ということで自分を鼓舞すべく、先日行われた米光一成さん主催「ライタートーキング・バトル」で路線図の話をぶわーっとしてきました。

ついに『ライタートーキング・バトル』が開催されるるる!続々と登場するライターが、30分の話を5分に圧縮して放つライター・トーキングバトル。原稿用紙ではなく魂を直接その場のみんなに向けて放つ新しいライターの戦場です。観客が採点(読者アンケート

これはなにかといいますと……

続々と登場するライターが、30分の話を5分に圧縮して放つライター・トーキングバトル。
原稿用紙ではなく魂を直接その場のみんなに向けて放つ新しいライターの戦場です。
観客が採点(読者アンケート)して、キングを決定します!

という会でして、パワポ30枚以上を用意して5分でぶわーっとプレゼンするんですよ。時間は短く内容が濃い。

青柳美帆子さんが「少女革命ウテナ」、ミノシマタカコさんが「狛犬のしっぽ」をテーマにするなか、僕は「カラーユニバーサルデザインの路線図」でトークをしまして……結果1位になりました!わー!会社員時代のプレゼンスキルがうなった!

ライタートーキング・バトルは4月に本戦イベントを予定とのこと。いろんなライターさんのお話がライトニングトークみたいに聞けるとしたらホント楽しみ。そして出たい。

というわけで、「路線図ナイト」でも自信を持ってお届けいたします。どうぞよろしくお願いします。もう一回リンク貼っておこう。

ニフティ株式会社運営のイベントハウス「TOKYO CULTURE CULTURE」で行われる「路線図ナイト〜路線図をながめて「いいねぇ〜」って言うだけの飲み会」のご案内です。

ところで「チケット絶賛発売中!」ってなにを絶賛しているんだろう。チケットかな。「もぎりやすい!」とかかな。

【路線図】ゆりかもめ交通案内図に降る流星

先日、デイリーポータルZ西村さんの「真昼の国語辞典ナイト2~国語辞典ファン新年会!」に行ってきました。濃密で楽しかったなぁ。りぼんやチャンピオンからの用例採取に、流れ行く日本語はこうして後世に残されるのか……!とちょっと興奮しました。

さて、イベントが行われたのは東京カルチャーカルチャー。最寄り駅はゆりかもめ青海駅と、りんかい線東京テレポート駅。りんかい線にグッと来る路線図があったので、ひょっとしたらゆりかもめにも現地にしかない路線図があるのでは?と思って寄ってみた。あった。ありましたよ。

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券売機の横に貼ってある交通案内図。ゆりかもめを降りて改札を出ちゃうとたぶん気がつかない死角にそっと貼ってあります。

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ちょっと加工したやつ。東京湾はカクカクに描いてあるんだけど、左の湾岸沿いが曲線で描かれている。2つの座標のハイブリッド!これはいい……。よく見ると水上バスの路線も描いてある。

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新橋付近を拡大。右上から左下に流れる地下鉄がまるで流星のよう。乗換駅の密集地帯も絶妙に描き分けてあって、乗換駅じゃない銀座一丁目や内幸町がギリギリのところに配置されてる。

りんかい線といい、ゆりかもめといい、お台場には美しい路線図があって楽しい。