全国の線路がつながる!駅すぱあとの新しい『全国路線図』がバージョンアップ

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タモリが鉄道に目覚めたきっかけは、幼少期に「このレールをたどれば全国どこでもいける」という事実に衝撃を受けたからだそう。

駅すぱあとの「新しい路線図」、全国路線図がアップデートしました。この路線図、地域ごとの表示をなくして、全国の路線図を1枚につなげたものなんです。

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しかも、そのままつなげるのではなく、ズームイン/ズームアウトで縮尺がかわります。都心をアップにすると、省略されていた地下鉄網がはっきり映しだされます。まさに路線図界のGoogleMapなのです。

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私鉄密集地帯の富山もこのとおり。

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1本のレールが全国どこでもつながってる。その果てしないイメージを路線図で確かめられます。いやぁいいなぁ。ずっと見てられる。たまらんです。

「全国路線図」はベータ版で、今後APIの提供も検討しているそう。気になる方はメールで登録しておくと最新情報が届きます。おすすめ。

「駅すぱあと」のあたらしい路線図

クソリプにムッとするのは「冗長率が低い」から

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コミュニケーション教育に、過度な期待をしてはならない。その程度のものだ。その程度のものであること重要だ(P.32)

平田オリザ『わかりあえないことから』を読んだ。副題は「コミュニケーション能力とは何か」。

「自分の主張をはっきりと伝える」と「空気を読んで黙ってる」、どちらもコミュニケーション能力とされている。しゃべったらいいのか黙ったらいいのかわからない。ダブルバインドである、というところから始まる。

「コミュニケーション能力」は一般的には「しゃべり」の能力とされているけど、ダンスだって表現だし、黙っているという表現だってある。理科が苦手、みたいな感じで、しゃべりが苦手、という子どもがいたって別にいい。コミュニケーション教育に、過度な期待をしてはならないのである。

でもコミュニケーションはできたほうがいいし、どうやってその力を身につけるの?となる。これが面白い。演劇的なアプローチ、「会話」と「対話」の違い、知らない人に話しかけられないのはなぜか、日本と海外で決定的に異なる点などなど、事例も含めて解説され腑に落ちるし、これは覚えておかないと! と興奮する。

印象に残っているのは「冗長率を操作する」の項。

平田はアンドロイドを使った演劇を行ってる。アンドロイドが人間っぽく振る舞うには「ノイズ」が大事。

人間って、スラスラしゃべらずに、途中に「あぁ」とか「んー」とか「えーと」とか余計なものが挟まる。この余計なものが含まれる割合を「冗長率」と呼ぶ。

ここでクイズ。

家族との会話、会議での発言、プレゼンや会見、初対面の人との雑談。しゃべる場面はいろいろあれど、その中で「冗長率が多い」のはどんな時か?

正解は「対話をするとき」。

会話でもなく、発表でもない。価値観の違う相手と何かをすり合わせるときが一番多くなる。「えー、まぁおっしゃることはよくわかるんですが、その、例えばこんな見方もですね、あるのではと……」みたいな感じになる。徐々に相手の出方をうかがうから。

逆に、気心知れた人との会話は、背景を共有しているので短い(メシ、風呂、寝る)。プレゼンなどの発表の場では、冗長率が少ないほうが論理的に話しているように聞こえる。

確かに、冗長率の含有量を間違えるとおかしなことになるなぁ。

壇上で「え〜その〜」が多い人は聞いてて不安になる。家族に「確かにそうかもしれませんがしかしですね……」など言うと慇懃無礼になる。Twitterで知らない人から「鳴かないカエルもいますよ」と突然リプライが来るとムッとする。

日本の国語教育は「無駄なことは言わない」「論理的に話す」と冗長率を低くする方向で教えるが、話し上手になるために必要な力は「冗長率を操作できる能力」なのではないか、と平田は言う。

誰かに話しかけるとき、自分の冗長率がどうなっているか気になってしまうのだった。

ラッスンゴレライじゃない。「本物に似せた名前のコスチューム」がいろいろ大変

ラッスンゴレライでおなじみ、8.6秒バズーカーになりきれるセットがAmazonで売られていた。つなぎ・ベルト・ネクタイ・サングラスが含まれているらしい。

しかし名前が『ちょっと待ってフルセット』である。

こうしたパーティーグッズには、しばしば「本家の名前は出さないけど、本家をうっすらと想像させる感じの名前」がつくことがある。権利関係がゴニョゴニョなのかなんなのか、いろいろと理由があるのだと思う。

『ちょっと待ってフルセット』だって、8.6秒バズーカーとは全く関係なくて「いや、ちょっと待って欲しいときに使うやつです」と言われるかもしれない。商品説明には「ド派手な赤いコスチュームでリズミカルに踊ってみよう!」と書いてあるけどもだ。

そういえば最近のアレとかコレとか、どんな名前がつけられているんだろう?と思って調べてみた。
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1枚で2つの世界。「カラーユニバーサルデザイン」の路線図(メトロ・都営・横浜市営地下鉄)

路線図が好きすぎて、ついにデイリーポータルZに載ってしまいました。

路線図をただながめて「いいねぇー」って言うだけのオフ会 – デイリーポータルZ:@nifty

前回記事路線図には川とか緑とかキリンもあるの最後で告知してたオフ会であります。ライター西村さんに参加&取材していただきました。記事では僕が真顔で解説してますが、西村さんのうんちくも最高だったんですよ。最後に北朝鮮の地下鉄路線図見たりしたんですよ(「統一」とか「戦友」って駅がある!)

で、いろいろ語り足りないなぁ、と思って。記事中にでも出ていた、メトロの「カラーユニバーサルデザイン」の路線図。色覚障がいの方向けに、券売機の横にひっそり貼ってある路線図です。

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アップにするとこうなってる。微妙にシマシマがあったり、路線が黒で縁取られて、交差するときは白抜きになってる。

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実はこのタイプの路線図、都営地下鉄にもあるんです。こんな感じになります。

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都営はメトロほど色数がないのだけど、路線名のところを見ると「マゼンダ」や「ローズ」というように色名が書いてある。

最初、なんの知識もなくて、「なんか違う色のやつが貼ってある」くらいに思ってたんです。そんでちゃんと調べたんですよ。

丸ノ内線は茶色、都営新宿線は黄色に見える

一般的に「色盲」「色弱」と呼ばれる色覚障がい。その数は全世界で2億人。日本全体では300万人以上もいるそう。日本人男性では20人に1人の割合。学校の1クラスに1人はいる計算になる。

色で指示をされることって多い。「申請は緑の用紙です」「ピンクの錠剤を飲んでください」「赤いランプは充電中です」……。色覚の違いで取り返しがつかない誤りをおこす可能性もある。この問題をデザインで解決する取り組みが「カラーユニバーサルデザイン(以下CUD)」。

色で示すといえば、路線図だって路線の違いを色で表現する。路線数が多いほど色弱者には区別が難しくなる。福島県が作成したカラーユニバーサルデザインガイドブックから引用すると、こんな感じに見えるそう。

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どれが銀座線(黄色)かわからない。真っ赤な丸ノ内線も茶色になってしまう。「赤いやつに乗ってください」と言われてもわからない。

じゃぁ専用の路線図を別に作ればいいじゃん、という話になりそうだけど、CUDは「色弱者用のデザインではない」のが特徴。1つのデザインで、色覚者にも色弱者にも伝えるのが目的。デザインの力で、どんな人にも見えるようにしようじゃないの、というわけ。

デザインって、アイデアひとつで複数の困難を一気に解決できる力を持っている。かっこいいなぁ、といつも思う。

CUDを取り入れた横浜市営地下鉄の路線図

とはいえ、既に路線のカラーが決められちゃった状態で、じゃぁCUD対応しましょうと言われても難しい。東京メトロや都営地下鉄も、後付けの対応で別に路線図を作っているんだと思う。

でも、最初からバリアフリーを目的にして、CUDを路線図に取り入れた鉄道会社もある。横浜市営地下鉄。

2008年に開通した横浜市営地下鉄グリーンラインでは、駅構内サインにCUDを取り入れた。路線図や運賃表、トイレの案内などにCUDが活かされている。路線図はこうなっている。

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路線図に載っているのはJR・私鉄を含めた21路線。一般的な路線図は路線ごとに色を変える。でも、横浜市営地下鉄の路線図では鉄道会社ごとに色を統一している。その結果、路線の色数は10色に減った。JRは緑の縞模様、京急はピンクの二重線など、線種も変えている。

横浜付近をアップにしてみると……。

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路線が交差するポイントには白い境界線を描いている。駅名が路線にかかる場合は、その部分だけフォントに縁取をつけている。色弱者に細かい配慮がなされ、かつ一般の色覚者にも違和感がない。CUDが施されていることすら気がつかない人も多いと思う。

横浜市営地下鉄はこの取り組みで、内閣府が主催する「平成20年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において「内閣府特命担当大臣表彰優良賞」を受賞している。国のお墨付きである。
横浜市交通局 インフォメーション 横浜市交通局が「内閣府特命担当大臣表彰優良賞」を受賞!

色や線がごちゃごちゃしているのが路線図の魅力でもあるけど、CUDの配慮ももっと広がればいいな、と思う。CUDの路線図は1枚で2つの世界を映し出す。世界は見たままのものとは限らないのである。

路線図には川とか緑とかキリンもある

以前、路線図ファンの苦悩というエントリで路線図好きを表明しておりますが、最近になって再燃しております。

なんかもう、ここ1ヶ月、どんな駅でも改札付近で一回止まっちゃう。だって路線図があるから。

縦・横・斜め45度の直線のみで描かれた路線図がありますよね。駅と駅との関係をシンプルに表現したデザイン。「ダイアグラム型」と呼ばれる路線図。誕生したのは1931年のロンドンまでさかのぼる。

当時の路線図は地図に路線を重ねたもの。ロンドン地下鉄の従業員ハリー・ベックは考えた。どうせ地下を走るんだから、駅の位置関係だけわかればいいんじゃない?地図は無視して駅を直線で結んだ。試しに配布してみると大ウケ。1933年にロンドン地下鉄が公式に採用することになった。

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↑最新のロンドン地下鉄路線図はベックのデザインではないんだけど……

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↑左下のあたり。ちゃんと「ダイアグラム型の発案者」としてベックの名前が記されている。

ベックが描いた路線図は駅と路線だけのシンプルなもの。道路や建物は含まれていない。しかし、テムズ川が下3分の1を横切るように流れている。駅の位置関係がわかればいいのに、なぜテムズ川が描いてあるのか?

他の国を見てみても、川が描いてある路線図って多い。

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↑パリはセーヌ川

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↑ソウルは漢江

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↑モスクワはモスクワ川

川は都市の最大のランドマーク(目印)とも言える。川を配置することで、全体のエリアや縮尺を一発で把握できる。川は路線図とリアルを結ぶ助けになる。

一方、東京にも隅田川・荒川・江戸川といった河川が多く存在する。でも、東京メトロ・都営地下鉄の路線図には川が全く描かれていない。

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↑東京メトロ(東京湾はあるけど川はない)

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↑都営地下鉄(海すらない)

川の代わりに共通して存在するのが、皇居の緑。

皇居の地下は地下鉄が通っていない。路線のみを描くと中心が不自然に空いてしまう。中心に緑のエリア=皇居を配置することで不自然さを無くす効果がある。

……と、思ってたんだけど、最近東京メトロの地図ベースの路線図をよく見たら、もっと緑があった。

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皇居の他に、上野公園、新宿御苑、代々木公園が描いてある。ベイエリアもしっかり描き込まれている。でもやっぱり川はないのだった。川よりも緑押しの東京である。

「路線以外に何を描くか」は国ごとに違うのも面白い

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↑プラハの川は中洲まで描いてある。ランドマークもいっぱいあって、動物園にキリンまでいる。

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↑オランダ鉄道やノルウェー鉄道は複雑に入り組んだ海岸線まで全てダイヤグラム化している。圧巻。

(写真はMark Ovenden『Great Railway Maps of the World』より。世界中の路線図が載っててヨダレがダラダラな本!)

『路線図を眺めるオフ』をやります

そんなこんなで、ずっと路線図を見ているので、路線図のオフ会を開くことにしました。告知まで長かったけども、ここまで読んでくれる人じゃないと興味ないかなと思って!

『路線図をただ眺めていいねぇ〜と言うオフ』
日時:4月25日(土)15:00
場所:パセラリゾート渋谷
参加費:2000円(ワンドリンク・おつまみ付き)

とにかく世界中の路線図を眺めて「いいねぇ~」と言うだけです。うんちく不要。デザインやインフォグラフィックとして路線図を鑑賞します。普段鉄道はそこまで興味ないんだけど、路線図のデザインだけ気になるって方(僕がそう)に喜んでいただければ〜。

参加を希望される方は@inomskまでDMするか、このブログのメールフォームまでご連絡を。TwiPlaでも告知しています。

よろしくどうぞ!