欲望のかたまり

息子5歳を車で耳鼻科に連れて行った。帰り道「家がマクドナルドだったらいいのに」と言われた。

息子5歳はマクドナルドが、というより、ハッピーセットが大好きである。いかにも男の子らしく、ニンニンジャーや仮面ライダー大好きっ子なので、ハッピーセットに彼らのオモチャがついているとウキウキと行きたがる。15秒のCM中に「ほしい!」を10回は言う。最近娘8歳に「『ほしい』はCM1つに1回まで!」とキレられてからは、「ほしい」と1回言うにとどめいているけども。

で、「家がマクドナルドだったいいのに」である。家がマクドナルドだったら、ポテトもハンバーガーも食べ放題、ハッピーセットのオモチャも選び放題。寝ても覚めてI’m Love it.だ。家がマックだと知らないお客さんがたくさん来ちゃうけどどうする?と、プランの甘さを指摘してみると、「Mって看板は出さないから大丈夫」と隠れ家的なたたずまいを強調する息子。まさかのプライベートマクドナルド。欲望のかたまりである。

欲望のかたまりと言えば、以前から気になっているのが居酒屋に貼ってあるポスター。水着を着た女の子がビールがなみなみと注がれた大ジョッキを持って微笑んでいる。

水着に大ジョッキ。

ただでさえ状況としては不自然極まりないのに、ビーチでセクシーなポーズを取っていたりする。なんなら水着にちょっと砂がついていたりする。さっきまで砂浜でたわむれていたのに、もう片手に大ジョッキを持っている。水着もいいしビールもいい。これぞおっさんの欲望のかたまりだと思う。

ドイツの有機化学者アウグスト・ケクレは、ヘビがお互いの尻尾を噛んで輪になっている夢を見てベンゼン環の構造を思いついたといわれている。水着に大ジョッキもおっさんの白昼夢なのではないかと思う。

家がマクドナルドだったいいし、美女が大ジョッキを持ってたらいい。三つ子の魂百まで、男子の欲望百までだな、と思う。