「日本よ、これが放送事故だ」〜『バイキング』を救うのは「ハプニング」かもしれない

フジ『バイキング』の生中継ぶりがえらいことになってきた。

月曜日のサンドウィッチマンの地引き網中継についてはサンドウィッチマンが地引き網中継で発揮する「対・地元力」に詳しく書いたのだけど、他の曜日も中継を始めたのである。

どれだけ自由なことになっているか、今週の月〜水までの『バイキング』を簡単に振り返ってみたい。(なお、完全に自分の記憶から書いているので、細かい違いなどはご容赦いただきたい)

2014年5月26日(月)

もはや『バイキング』一週間通しての目玉と言っていい、「サンドウィッチマンの日本全国地引き網クッキング」。

この日は神奈川県二宮町から。空は鉛色の雲がたちこめ、さっそく「6週連続悪天候なんですけど」というボヤキから始まる。仕掛けた地引き網はどうなったでしょう、と見に行くと、そこには浜に上げられた空っぽの網と、それを取り囲む漁師たち。

「どうしたんですか!?」と聞いてみると、天候が悪いため今日は船が一隻も出ておらず、網も仕掛けられないという。後ろにはザバーン!と激しい白波。コーナー始まって以来のピンチ。

どうするのかと思いきや、漁師のおじさんが「なので取った感じで」とモゴモゴ。それを受けて伊達「ヤラセをやれってことですかね!」

全員で「ヤラセをやるぞー!」と高らかに拳を上げ、用意されたサバを網に放り込み、漁師たちとワッセワッセと雑に引っ張りあげ、サバが捕れましたー!とカメラにかかげる。

富澤「スタジオの皆さんも、テレビの前の皆さんも、共犯者です!」

ちなみにこの日のエンディングは「きっかけは〜(チャッチャ)フジテレビ!」で締めとなった。

2014年5月27日(火)

先週から「ステキなお昼を過ごす人」を探して、友近が中継に出るようになった。初回は所沢でダンス大会となり、MCのEXILE・NAOTOを立てる形に。

今週、友近は大阪の新世界に出没。周りはコテコテの関西人、スタジオの小藪一豊が「これが大阪って思わないでください!」と声を荒らげるほどのキャラが勝手に話しかけてくる。

しかしこの日の見せ場は友近でなく、ニューヨークにいる石田純一の娘・すみれ。友近の新世界中継と同時に、ニューヨークから生中継をしたのである。

恐らく、コテコテの大阪に対してスタイリッシュなニューヨークの人たちを、という対比を狙ったのだと思うのだけど、全くの逆になった。ニューヨークの素人のほうがたちが悪かったのである。

カップケーキがパンパンに入った袋を両手にぶらさげ、ひげを真っ白にしてケーキを食べているおじさん。自分たちを「OLだ」と言い張る派手すぎるゲイ二人組。肘をグニャグニャにするダンスを披露するパフォーマー。

そして極めつけは、突然乱入してきた「ブラおじさん」である。

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「日本よ、これが放送事故だ」と言わんばかりの危なさ。

スタジオも爆笑とドン引きを行ったり来たりするが、中継しているすみれは動じずブラおじさんをリポート。

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ふんわりと「どうですかー?」とスタジオに問いかけ、TAKAHIROに「どうもこうもないよ!」と返される始末。

さらに友近の新世界中継も負けていない。ダジャレ連発の焼肉屋の親父に誘われ店内へ。肉を食べていきなさい、と鉄板に火をいれ、おしぼりを渡される友近。生放送の時間配分などお構いなし。

そして番組終盤、両者の中継はついにピークを迎える。画面が二元中継でドッキングしたのだ。

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こんなにカオスな日米二元中継は記憶にない。

たまに焼肉屋の親父が左を向いて、ブラおじさんを見るような視線になるのがまたおかしい。スタジオから「左を向いて”なんでやねん!”って言って!」というリクエストが飛ぶが、まったく噛み合うことなく中継は終了。

無事エンディングを迎えられ、TAKAHIROが「今日は攻めたと思います」とコメントして終わった。

2014年5月28日(水)

水曜日はこの日から新コーナー「メンディー先生」がスタート。EXILE新メンバーとなったメンディー関口が、全国の小学校に突然乱入し、スーパースターを探すというもの。

登場から「こんばんは」と言ってしまうほどガチガチに緊張しているメンディー。相模原の小学校に潜入し、6年生の教室まで近づく。授業が終わるのを待って、教室後方から乱入するが……

メンディー「こんにちわー!」
児童「……?」

小学生がお昼の『バイキング』を見ているはずもなく、「誰?」状態に。

その後、小学生がうるさくてイヤホンからスタジオの声が聞こえないメンディーはフワフワの仕切りを繰り返し、教室はモノマネ大会となり、コーナー終盤の400m走ではメンディーがぶっちぎりで勝って感極まって涙ぐむという、矢作が「こんな自分勝手な企画ある?」と呆れる展開に。

しかし、ここまで書いたがこの日の注目はメンディーではない。

AKB48川栄である。

水曜レギュラーのAKB48川栄。岩手の事件で、この日は番組をお休み。

レギュラー陣が心配するなか、番組冒頭に生電話をつなぐことになった。

「もしもし川栄?大丈夫?」と矢作が切り出し、「だいじょうぶですよ〜」と明るく返す川栄。そのトーンにホッとした空気になるスタジオ。

しかし川栄、電話で話しているせいか全国放送に生番組に流れている意識が薄く、おぎやはぎが問いかけても「はいはい」とタメ口気味で返し始める。

いまは出かけられないのでテレビばかり見ている、という話題になり、小木が「昨日なに観た?」と聞いてみると……

「あ、ヒルナンデス観てました」

ハプニングが『バイキング』を救うかもしれない

メチャクチャである。メチャクチャなんだけど、不安な船出だった『バイキング』を救うカギは「ハプニング」にあるかもしれない。

フジテレビは『27時間テレビ』の地方局リレーなどで、素人が生中継に出る企画のノウハウがある。作りこんだVTRでもなく、ニュースでもない、他局との差別化もできる。

そしてハプニングを楽しむのは、『いいとも』で「アドリブ」を大事にしたタモリにもつながるのだ。

待てば海路の日和あり。フジテレビのお昼の遺伝子を、「ハプニング」という形で引き継ぐかどうか。何が起こるかわからない『バイキング』から、目が離せない。