5000万円がバックに入る、入らないで揉めている大人たちを見た。
あの都知事のバックだ。五輪招致に成功し、世界をオモテナシだったはずが、世間にオモデデロになってしまった、あの都知事。
5000万円を入れて持って帰った、というバックに、5000万円を模した白い箱をギュウギュウ差し込んで、入らないじゃないか、いや入ったんだ、と揉めていた。5000万円は白い箱でも、都知事の過去はブラックボックスだった。
それはそれとして。
あの白い箱欲しい。
家にあるバックというバック、リュックというリュックに、あの白い箱をギュウギュウして、これは5000万円入るなぁ、これは入らないなぁ、ってやりたい。
ベビーカーの下のスペースや、プラレールの箱、学習机の一番下の大きい引出しなどに白い箱をギュウギュウして、子供たちと一緒に入る入らないでキャッキャしたい。
忘年会に持って行って、みんなのバックに入るか入らないかでワイワイしたい。
飛行機の座席の下に入るか確かめたい。
やがて人から人へ渡り始める白い箱。
縁日の射的で景品になっている白い箱。
雨上がりの道端に転がっている白い箱。
神棚に飾られる白い箱。
ご神体になる白い箱。
ご神体をめぐる争いはやがて内戦に発展。
人間が機械に支配される未来を変えるために、過去に送られる白い箱。
桃を二つに割るとそこには白い箱が。
竹林にひときわ明るく輝く白い箱が。
玉手箱を開けるとそこには白い箱が。
浦島太郎が白い箱を開けると、辺りが煙に包まれて、気が付くとシワが増え、視力が弱り、時は2013年、太郎は都知事になっていたのでした。
漆塗りの玉手箱はまさにブラックボックス。いろいろ記憶に無いわけだ、と思う。