『となりのトトロ』で一番好きなのは「お風呂場」のシーン

まだまだ新潟に帰省しております。

昨日は海水浴へ、今日はお墓参りに行ってきました。焼けた砂の上を飛び跳ねたり、暑さで飴のようにグニャリと曲がったロウソクを見たり、猛暑の影響をあちこちで感じています。暑すぎるでしょ。

今日のお墓参りは午後からだったので、午前中はまったりと過ごしました。娘六歳が絵日記を書いてるあいだ、息子二歳が邪魔をしないよう、別室で『となりのトトロ』のDVDを観ていました。

子供たちともう何度も観ているので、次のセリフがわかるくらいになってますが、毎回、このシーン好きだなぁ、というポイントがあるんです。

まだトトロが登場する前。開始から20分ぐらいのところ。

サツキたちが引っ越した当夜、家族全員で風呂に入るシーンがあります。

外は暴風。「お化け屋敷」とバカにされるほどの古い家は、ガタピシと音を立てます。メイの「お父さん、おうちボロだからつぶれちゃうよ」との不安げな訴えに、引っ越した日につぶれたら困るなぁ、とノンビリとお父さんが答えると、さらに激しい風が吹き、トタンのバリバリという音がします。

全員声を失い、一瞬不安な空気になった、次の瞬間。

「わーはっはっはっ!」

って、お父さんが笑うんです。

「みんな笑ってみな。おっかないのは逃げちゃうから」と子供たちを誘い、わーはっはっはっ!わーはっはっは!とみんなで大笑い。お父さん、ついでにガオー!とお湯を撒き散らし、お風呂場は笑いにつつまれます。

……ここ、好きなんですよねぇ。

お父さんは、理屈じゃなくて、気持ちで、子供たちを安心させているんですよね。

「古い家ほどこれまで暴風にさらされても大丈夫だったんだから平気だ」とか「木造家屋はしなるから逆に大丈夫」とか、大人は理屈を言いたくなるんですよね。

大人は知ってるから。そして、教えてあげたくなっちゃうから。

でも、子供たちが欲しいのは「安心」なんですよね。

お父さんの「わーはっはっはっ!」のシーン、よく見ると、お父さんの目つきが他のシーンと違うんです。

普段、あのお父さんは子供たちを優しく見守るポジションなんですけど、お風呂場で笑うシーンだけ子供の顔なんです。子供の顔で、子供といっしょにふざけてるんです。

気持ちを子供寄りに持って、時にバカになって、子供といっしょに雰囲気を作り上げる。

お父さん、かくあるべし。

あのシーンを観るたび、いいなぁ、好きだなぁ、と思うんです。