『世界が終わるわけではなく』What a wonderful wor(l)d !

飼い猫がだんだん人間並みに大きくなる、事故死した母親が家族を見守る、ドッペルゲンガーに翻弄される、ベビーシッターが子供と二人で海外をさまよう…。

『世界が終わるわけではなく』は12編からなる短編集。ひとつひとつの短編は小粒ながら、読み進めるとドンドン深みにはまる、奇妙な、奇妙な短編集。

それぞれの短編は語り手が異なるのだけど、同じ人物が出てきたり、同じ出来事を共有していたり、それぞれがゆるく繋がっている。

この「ゆるく」というのがポイント。組み合わせるとカチッと物語ができるわけじゃないし、時系列も、あるかもしれないんだけど、よくわかんない。

「よくわかんない」けど「つながってる」。その効果か、お互い紐で結ばれてるけど、ユラユラと水面を漂い、近づいたり遠ざかったりするような、不思議な浮遊感が出てくる。読み進めると水面がにぎやかになり、ますます混沌とする。

でもその混沌が楽しいのが不思議。ブランドとか犬種とか病名とか固有名詞がたくさん出てきたり、言葉遊びが散りばめられてたり、まるで雑貨店に迷いこんだみたいなワクワク感。しかもその雑貨店は読み進めるごとに増築されていくのだ。

読書会に行ってきた

実は今回この本を読んだのは「ネタバレ円卓会議」という名の読書会に参加したため。課題本だったのです。普段あんまり翻訳ものを読んでないのに、いきなり飛びこんでしまいました。

でも、すんごい楽しかったんですよ。

いろんな因子が散りばめられた内容ゆえか、読んだ人がそれぞれいろんな解釈をみせる。ギリシャ神話だったり、12星座だったり、ケイトさんも考えてないと思うよ!?という深読みや妄想も、帽子から鳩が出るように飛び出す飛び出す。

一人だと絶対気づかなかった面白ポイントや、自分から突っ込んで調べてみないとわからない作者の遊び。能動的な「攻めの読書」に触れて、とても興奮しました。

とにもかくにも、同じ本についていろんな人とワイワイするの楽しい。また行きたいな。