このコンビ、つい最近までツッコミ担当の芸名が「おもしろ佐藤」だった(※今は本名に改名:御茶ノ水男子 – Wikipedia)
自分で自分のことを「おもしろ」と名乗るのは相当なことである。のしかかるプレッシャー、上がるハードル、ちょっと安易に名前つけすぎじゃない?という声。
この『面白い本』にも同じ重圧が…と思いきや、中身は「面白いノンフィクション100冊のブックガイド」。自分で自分のことを面白い本と言ってるんじゃない。
でもね、この本、重圧なんか跳ね飛ばして、本当に面白いですよ!
著者の成毛さんはノンフィクション本の紹介サイト「HONZ – ノンフィクションはこれを読め!」の代表。HONZは毎日見てます。紹介される本がいつも面白そう。
その成毛さんが最近20年の読書から選びに選んだ100冊がドドドーっと紹介されていく。ジャンルもとにかく広い。全部で8章に別れてる。こんな感じ。
1.ピンポイント歴史学
2.学べない生き方
3.ヘビーなサイエンス
4.シチュエーション別読書法
5.嘘のノンフィクション
6.タイヘンな本たち
7.金と仕事のものづくり
8.事実は小説より奇なり
オーパーツの謎、医学探偵、ハダカデバネズミ、ヒトラーが作った偽札、武士マニュアル、カナヅチの水泳、原発とヤクザ、刑事の指南本、無人島漂流、なぜ人妻にそそられるか、などなどなど、これでもかの100連発。
よ、読みたい…。
『面白い本』自体が面白い!
紹介される本がみんな面白そうに見えるのは、この『面白い本』自体が面白い、という証拠なんですよね。
なにせ100冊。紹介する1冊につき新書1ページ弱のスペースしかない。
その中で、要約と読みどころを濃縮する説明力がとにかく高い。そして「そんなことが!?」「どういうことなの!?」と思わせる引きが上手い。
ちなみに100冊全部購入すると20万円ほどになるそうです。それを新書1冊で聞きかじれるだけでもお得感あり。
「書を求めよ、街に出よう」
紹介されている本の多くは書店で出会ったもの。
たとえば、専門家向けに書かれていながら面白いノンフィクション、というのは新聞の書評欄などに乗らない。宣伝も多くない。書店に行って自分の足で見つけるしかないのだそう。
ネット書店だと欲しい本を直接買うことが多い。サイトをさまよっても出会うのはベストセラーが多い。
書店でたまたまタイトルを見て手に取り、偶然の出会いに喜ぶ。「足で探す」という行為が、いかに本を愛する行動か教えてくれる。
寺山修二が「書を捨てよ、街に出よう」というならば、『面白い本』は「書を求めよ、街に出よう」とささやいてくるのだ。