カオスな世の中に、その一歩を踏み出そう。『武器としての決断思考』

2013-02-17 06.07.06

「ディベート」って、なんかこう、高度な口喧嘩みたいなイメージがあった。

言葉を巧みに操って、粗を突いて、揚げ足を取って…と、相手を打ち負かすために力を使うような、あまり近寄りたくないものだった。

でも、この本を読むとその負の印象が一変する。

ディベートの技術を装備できたら、それは防具にもなり、武器にもなるのだ。

著者の瀧本さんは京大で「意思決定論」を教えている東大出身の投資家。なんか恐れ多い肩書き。

この本はディベートの技術をもって、モヤモヤした問題に道筋をつけ、最終的に決断をする思考法を教えてくれる。

ひとりディベート

初めて知ったんですけど、競技としてのディベートは、くじ引きで賛成派・反対派に別れて、互いに論理を組み立て、審判が判定する「知の格闘技」なんですね。

提示された問題に対してどう思ってようが「くじ引き」で決まったことを話さないといけない。実際にディベートの場に立つ前に、メリット・デメリット、想定される反論、反論に対する反論を、入念に準備する。準備が8割、と言われている。

この本のほとんどは、その準備のやり方の説明に費やされている。ディベートの考えかたを教えてくれる。空手の「型」みたいなもの。この「型」を身につければ、人と議論する時に使えるのはもちろん、自分でなにかを決めないといけない時に役に立つ。

例えば、ディベートのゴールは「正解」ではなく「いまの最善解」を導き出すことにある。

お昼ごはん何食べようかな~、という問題に「正解」なんてなくて、今日はこれかな~と「いまの最善解」を選ぶ。生きていて「正解」がズバッとある問題なんてそうなくて、だいたいのいい方向、「いまの最善解」を選ぶようにすればいいのだ。「正解」を出そうとするからグルグル悩んじゃう。

物事をどうやって決めたらいいかわからない。でも「型」がわかれば、それになぞって進めば、決める直前までいける。

そう、「決める直前」までいける。

「決断する」ということ

選ぶ物、進む道、行くか戻るか。

考えて悩んで「いまの最善解」を導き出す。ここまではやり方がある。マニュアルがある。

でも、頭の中にあるその解を、その手で実行するのは自分なのだ。そこで初めて「決断」したことになる。

この『武器としての決断思考』でも、そのほとんどはディベートを中心とした技術論だけど、最終章「「決断する」ということ」で決めた者の背中を押す。

自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく。

いつだって大変な時代。他人任せにしてブーブー言うより、自分で考えて決めて、荒波をサーフしていけたらいい。

だったら素っ裸で立ち向かうよりも、武器と防具が欲しい。

あ~素っ裸だな~、と自分でも自分のこと思っていた。この本で得た武器を、きちんと磨いて光らせたい。