グッバイ、スクール・デイズ

ドアを開けると、机と椅子ばかりのガランとした空間が目に入った。どうやら一番乗りらしい。委員長もまだ来ていない。

一番後ろの、このまえまで座っていた自分の席に座ってみる。

このまえといっても、あの式典(名前を呼ばれて証書をもらうアレだ)から1年と少しか。長かったような、あっという間だったような。たった1年だと言うのになんだか狭く感じる。成長したから?

あれから1年と少し。短いけれど、ギュウギュウに詰まった、濃い1年だった。

新しく始まった仕事は、新人だなんて言わせないくらい激務だった。平日は遅くまで働いて、土日もない有様。慣れない作業服も着たりした。そしてとにかく謝ってばかり。ブラック企業、という言葉が頭に浮かんでは消えた。

世の中は不景気だった。風も冷たかった。仲間には若くしてセンセイになった奴もいれば、無職になった奴もいた。人生いろいろ、ってやつだ。

そしてオレ。「ブラック企業」を「卒業」して、明日からちょっとだけヒマになる。これも人生いろいろ、なのか?

一番後ろの席に座ってぼんやり考える。まだ誰も来ない。

そういえば、学校を意味する「School」には「群れ」という意味もある、って誰かが言ってたっけ。体育館に規則正しく並んだ生徒たちを思い浮かべる。なるほど、群れだ。学校を卒業したところで、群れているオレたちはまだSchoolにいるってわけだ。メダカの学校は川の中ってか。ドジョウもいるかな。

そろそろ時間だ。みんなも来る頃だ。

あぁ、群れから出ていくやつもたくさんいたな。あいつらは未来に何を期待していたんだろう。

廊下からドヤドヤと足音が聞こえる。パーティが始まる。自由という名のパーティが。いや、始まりじゃなくて、これは終わりなののか?それはまだわからない。

目を閉じる。

もうすぐあいつが総理大臣になる。

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※ネタ元:
何思う野田氏 首相指名選挙前の議場にポツン・・・ : 2chまとめブログ はぅわ!

※注:
あの式典 → 天皇が内閣総理大臣を任命する親任式
パーティ → party(通常のパーティーの意味の他に、”政党”という意味もある)

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