これは書斎をめぐる冒険の書だなぁ。
収納術や整理術の本は多々あれど、それらとはちょっと違うところがある。
過去に2度、自宅の書斎作りに失敗した著者。本棚が溢れたり、大きい机が有効活用できなかったり…。
そこで、今の時代の「あたらしい書斎」とはどんなものか、改めて考えるところからはじまる。まず思想から入るのだ。
「魔法の洗濯機」
そこで引用されているのがTEDの「ハンス・ロスリングと魔法の洗濯機」というプレゼン。日本語字幕つきの動画を貼っておきます。日本語化されたテキストはハンス・ロスリングと魔法の洗濯機 | TEDを日本語で読む:TED人気スピーチ日本語訳 – 30秒で把握するTEDプレゼンで読むことができる。
これ、素晴らしい話なので、一度観るか読むかしてくださいよ。あ、ちゃんとこっちにも帰ってきて。
いい話なんですよ。褒めるの2回目ですけど。
洗濯機がない時代、女性の一日の労働の大半は洗濯に費やされていた。洗濯機の登場により、手間が大幅に減った。しかしまだ、世界の大半では水をくみ、場合によっては水を温め、手で衣類を洗っている。
もしすべての人々に洗濯機が行き渡ったら。ハンスは最後に「魔法」について語る。
では何が魔法なのか? 私の母は洗濯機を初めて使った日にそれを教えてくれました。 「ハンス、洗濯機に、洗濯物を入れたから、あとは洗濯機がやってくれる、その間図書館に行けるのよ」と。 これが魔法なのです。 洗濯物を入れて、洗濯機から何を得るのか?本です。児童書です。そして子供に本を読む時間です。母は大喜びでした。私は「ABC」を学びました。私の教授のキャリアはここからスタートしています。母が本を読んでくれる時間ができてからです。母は自分用にも本を借り、外国語として英語を、勉強する時間を作りました。また様々な小説を、沢山読みました。私と母は洗濯機がとても気に入りました。
魔法が魔法を打ち消してしまう
洗濯機のみならず、いまでは様々な家電が僕たちに時間を与えてくれている。
料理の手間は電子レンジで、移動時間は航空機や電車で、子守もアンパンマンに任せたりしてる。
さて、そうやって生まれた時間をどう使っているか?
電車のちょっとした待ち時間でもスマホを開いて情報収集したり、メール書いたり、検索したりする。そして結局、子供に本を読む時間がなくなってしまったりする。
「魔法の洗濯機」の魔法が、別の機器が生んだ魔法に喰われてしまっている。
そこで必要なのが、あたらしい魔法、「あたらしい書斎」である、と続く。
「あたらしい書斎」をめぐる冒険
細切れの時間をまとまった時間にする。集中して学んで考える時間を作る。そのためには、その時間を使うための魔法、書斎という場所が必要になる。
ここから、著者の書斎をめぐる冒険がはじまる。
江戸川乱歩ほか、先人の書斎を訪ねて学ぶ。IKEAの協力を得て、IKEA家具で「1畳の書斎」の組み合わせを考える。書籍の電子化・クラウドなどデジタルの要素をいかに使うか考える。ノマドと書斎の関係について考える。巨大な本棚がある書斎を拝見する。建築事務所で未来の書斎を設計する…。
「あたらしい書斎」の思想をもとに、とにかく行動しまくってる。これだけのお題目を丁寧に追い始めるとキリがないので、1冊の本の中でのそれぞれ分量は軽め。本気でやったらEテレで全10回の書斎講座の番組ができるほどの内容だと思う。
「魔法の洗濯機」を知るだけでも有用な1冊。自分の家の環境を見て、さてどこからアプローチしたものか…と考えるのも楽しい。あとIKEAに行きたくなります(笑)
ほとんどTEDのプレゼンの紹介になっちゃいましが、この「魔法の洗濯機」が教えてくれることがすごい大切だと思う/書斎に”洗濯機”を備えよう いしたにまさき『あたらしい書斎』 | イノミス http://t.co/cm5geU2c
書斎をめぐる冒険!! / “書斎に”洗濯機”を備えよう いしたにまさき『あたらしい書斎』 | イノミス” http://t.co/FODLz0gt