大人は子供としりとりをするのが大変〜相手の「言葉」を知るということ
子供としりとりするのって、実は大人がすごい大変なんですよ。
なぁにこっちは大人だぞ?とか思うじゃないですか。被選挙権だってあるぞ?とか振りかざすじゃないですか。
じゃぁ例えば、「る」から始まる言葉を言ってみましょう。
ルート、ルーマニア、ルイボスティー、類語、流浪、ルノワール、ルワンダ、流刑、ルソー、ルネサンス、涙腺、累積…
どうだ大人だぞ!とばかりにたくさん出るんですけど、
これ全部、子供相手だと「わかんない」で却下なんですよ。
なに言ってるんだ、これをきっかけに新しい言葉を覚えるのだ、というやり方もあるけど、「ルネサンスというのは中世ヨーロッパの文化革新運動で…」とか説明しても「わかんないからちがうのにして」になってしまう。
逆の立場で考えてみる。
「しりとりしようぜー!じゃぁしりとり、の、り!」
「んー、リガダブンダジ、で、ジ!」
「いやいや」
「なに」
「リガ…リガダなんとかってなに?」
「リガダブンダジ知らないの?」
「知らない」
「リガダブンダジは、高速で移動する物体の質量をαとしたときγが中性子のβになるのを発見した人のΩだよ」
「よくわかんないから違うのにしてよ」
……こりゃしょうがない。よくわかんないものリガダブンダジ。だっていま作ったものだし。
そうなのだ。わからない言葉ばかりでしりとりされても、その言葉が本当にある言葉かわからないのだ。すごく不安になる。
子供としりとりをする時は子供側まで降りないといけない。「る」だったら、ルール、ルビー、ルービックキューブぐらいがギリギリのライン。
相手の目線まで降りることができるか
子供としりとりをすることは、相手の目線まで降りて考えることができるか、という訓練になる。
相手が考えてること、知ってる情報、欲している答えを推測する。内容をシンプルにして、言葉を選択する。そして伝える。
お互い言いたいことばっかり言っても通じない。相手の「言葉」を知ることが、通じる近道になる。
コミュニケーションの基本がここにあるのだなぁ、と、子供と遊んでいて思った次第です。
子供が知ってる言葉だけでしりとりをするの、結構大変ですけど、やってみると自分のボキャブラリーの偏りがわかって面白いですよ。もう、動物しか出てこなくなったりします。
だからといって「〜ザル」ばかり言うと「る」攻めになってしまって子供に怒られます。注意。