電気羊はアップルパイを作る夢をみるか

Gray day on the factory (see large, please) by bernat…

 

娘五歳は「アップルパイを作る夢をみた」と話す。

最近料理に興味を持ち始めている娘五歳である。お菓子大好き。でっかいオーブンでやいたのとか言ってた。みんなで食べたのかな。楽しそうでなにより。

一方、パパは「部長から一方的に単身赴任を言い渡され激しく憤る」という夢をみていた。

なんだこの差は。

いいなぁ。パパもアップルパイ作る夢みたい。ビジネスライクな夢じゃなくてファンシーな夢をみたい。キスに撃たれて眠りたい(吉川晃司)

でも「アップルパイを作る夢」もビジネスな感じだったらどうしよう。
 

表面の傷などでそのままでは商品にならなくなったリンゴを扱うアップルパイ工場。傷んだリンゴが裁断され煮詰められていく生産ラインを目で追う。単身赴任で訪れて三ヶ月。ようやく工場の管理業務にも慣れ、人間関係も把握してきた。むしろこれからが本番とも言える。長引く不景気。追い討ちをかける電気料金値上げ。本社から叩かれ下請けからは突き上げられる日々。生産効率を上げるにも設備投資が追いつかない。昨日面接して採用したバイトが来ていない。また斎藤さんが来月のシフトのことで揉めている。検査で不合格になったアップルパイが晩飯の代わり…。
 

「パパ〜なんの夢みてたの〜?」
「アップルパイを…作る夢…」
「いいなぁ〜」
 

よくない。全然よくない。寝汗でビッショリだ。