人とのつながり、根こそぎ解決します 『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

職場や家庭での人間関係というのは永遠のテーマなわけですが、それが「実はすべて自分が原因で引き起こしているのです」と言われたら、どう思います?

いやいやいや。

だってあの部長がさー、とか、うちのカミさんはね…、とかなりますよね。そりゃそうなんです。そうなんですけど、この本は「自分に原因があることに気づく」から出発して、人間関係トラブルを一気に解決に導く本なんです。全米ビジネス書ベストセラー、という触れ込みで、日本でも10万部を突破したらしい。Amazonのレビューも188件中130件が5つ星。なんかすごそう。

カバーの折り返しにはこんな言葉が書いてある。

知っておくべきこと
◇自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく。
◇箱の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。
◇自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている。
◇他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる。

これだけ見てもなんだかよくわからない。とりわけ「箱」というキーワードが重要そうな感じ。タイトルにも出てるし。そしてそこから脱出するって書いてある。しかも「箱」の中には自分が入っているらしい。
 

中身は小説次立てになっている。

とある会社の管理職が幹部と1体1の研修をうけることになる。この管理職は一ヶ月前に転職してきた、家庭を顧みない仕事バリバリの人。成果もあげつつあり、なんの研修かよくわからないけど大丈夫っしょ、と行ってみると、幹部からは開口一番「君には問題がある」と宣告される。はぁ!?

その研修こそ「箱」という考え方について学ぶもの。そこから全編通して管理職の心を解きほぐしながら、読者も「箱」についてかんがえる。
 

人は自分を裏切った途端、「箱」の中に入ってしまう、とその幹部は言う。

「あれをやらなきゃな」と思いつつ、疲れていたから、面倒だから、自分がやんなくてもいいから、…と結局やらないまま、なんてことよくありますが、そうやって「やらなきゃな」という自分の思いを裏切ってしまったとき、人は「箱」に入ってしまう。

自分が正しいもん、と「箱」に入ってしまったので、「箱」の中からは外の世界は敵ばかりに見える。こんな疲れてるのは誰のせいだ、これはそもそもあいつがやるべきじゃないか、そうだそうだ、と防御の構えになってしまう。注意されても「だって!」と反論する。

そうこうしているうちに相手も「箱」の中に入ったりして、お互いがお互いを責め合って、事態はまったく進まなくなってしまう。「箱」の中に入る、イコール、仕事にも家庭にもよろしくない結果を産んでしまうのだ。

じゃぁ「箱」の外に出るにはどうしたらいいの?となるけどこれが難しい。本書でもかなり丁寧に慎重に言葉を選んで解説している。キーワードは「相手を人間として尊重すること」

んなこと言っても相手が「箱」の中にいたらどうやって出すの?そんなにずっと「箱」の外にいられるもんなの?「箱」の外に出るってことは自分を正当化しないんだから結局損じゃないの?

様々な疑問・反論を、例を出して問答しながら一つ一つほぐしていく。例が豊富なので、読者もどうしても自分の胸に手を当てて考えてしまうようにできている。「おとなタバコ養成講座」でお馴染み、寄藤文平のイラストもわかりやすい。
 

本書はコミュニケーション本という位置付けになるのだろうけど、小手先のテクニックではなく、もっと根っこの、もっと心の深ーいところの部分をグラグラ揺らしてくる。人生観が変わった、という人が出るのも納得するくらい、なんかここには大事なことが書いてある気がする。

気がする、って書いちゃったのは、まだこの本の言ってることがちゃんと頭と体に入ってないと思うから。「箱」の概念は掴めたようでスルリと逃げてしまう。再読して、血となり肉となって、初めてわかることも多々あるだろう。

人と暮らす以上、人間関係は避けられないもの。素晴らしい未来にみんなで行くために、「箱」から飛び出していけたらな、と願う。オススメ本です。

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