職場の時計が5分進んでいる。

職場の時計が5分進んでいる。

全員が見れるところにある壁掛け時計が、5分進んでいる。

この状態でもう何ヶ月も経っている。最初は1,2分進んでいたのが、気がつけばどんどん進んでいった。壁掛け時計の真下に備品が置かれた棚があるので、時計をいじるには棚をどけないといけない。この手間が、時計の暴走を許してしまったのだと思う。

直したい。

もういいかげん直したい。

始業ギリギリに間に合った、と思ったら遅刻!?と思ったら5分進んでるんだった、ってショーットドッキリになるのやめたい。直したい。

「ほら、急がないと電車出ちゃいますよ…って、これ5分早いんでしたっけね…」ってひとりノリツッコミしちゃうのやめたい。直したい。

たぶんみんな「あの時計早い」って絶対思ってる。頭の中で逆算して動いてる。これは直したらヒーローかもしれない。

でも怖い本部長が「せっかく5分前行動になっていたのに!」と怒り出すかもしれない。逆算して動いてたのに5分損した、という苦情がくるかもしれない。

じゃぁこっそり直すしかない。

そうだ、今度ビルの停電がある。週末に一時的に停電になるはずだ。月曜の朝に狂った時計を見て、じゃぁ僕が直しときますねーと正しい時刻に直しちゃえばいい。

だめだ。あの壁掛け時計、電池で動いている。停電関係ない。

夜遅く残って人がいなくなってからこっそり直す…のもだめだ。みんな残業してる。

じゃぁ朝早く…ってのもだめだ。徹夜している人もいる。

仕方ない。徹夜か。

明け方3時、4時。皆が仮眠を取り始めるころを見計らって、棚を移動し、すばやく直そう。仮眠から覚めて時刻の操作に気づくものは現れまい。そのためには自分も仮眠をとってはだめだ。眠くならないように昼間寝なければ。午前半休か。有給休暇を使うのか。重役出勤だ。そうと決まれば寝よう。今何時だっけ。
 
 
あれ、僕なんの話してるんだ。