攪乱者 (ジョイ・ノベルス)

  • 著者/訳者:石持 浅海
  • 出版社:実業之日本社( 2010-04-15 )
  • 新書:260 ページ
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無血主義を貫くテロ組織に所属する三人を描いた連作短編。彼らは腐敗した日本政治を転覆させるために活動するプロのテロリスト…なのだけど、上層部からやってくる任務がなんだかヘンテコなものばかり。例えばこんなの。

・このレモンをスーパーのレモン売り場に置いてこい。
・このプラスチックの粉をどっかの公園の砂場に混ぜて、このアライグマが入ったケージを上に置いてこい。
・ここの新聞紙を丸めて紙袋に入れて、どっかの電車の網棚に置いてこい。
・適当なコンビニを選んでそこでバイトしてこい。
・あの女子大生と付き合え。

なんだよこれ?と言いつつも、組織の末端である彼らには真の目的は伝えられない。命令は絶対なので忠実に実行する彼ら。レモンの任務ではスーパーの下見をして、レモンがバラ売りかパック売りかちゃんと調べる抜かりなさ(無血主義なのでレモンは某作品みたいに爆弾だったりしない)

で、その場ではなんだかわからないのだけど、絵解きをしてくれるメンバーが毎回「第四の人物」として登場。彼の手にかかると、意味のないと思われた行動が、実は外交に影響したり、警察不信を招いたり、国民を正体がわからぬ不安に陥れることがわかるのだ。

「風が吹けば桶屋が儲かる」方式で、本当に実現するかは甚だ心許ないけど、一見遊びに見える行動が実は練られた計画である、とクルリと絵が変わるのが面白い。同じ石持浅海作品だと『心臓と左手』(→過去の感想)に近い手触り。

狂牛病や毒ギョーザ事件、タミフルの騒動やガードレールの鉄片など、実際に日本国民がなんだか不安に陥ったニュースは数多い。その裏に彼らテロリストが暗躍していたとしたら…なんて想像もしてしまうほどです。

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