森見登美彦『新釈 走れメロス 他四篇』

~日本一愉快な青春小説/こんな友情もあったのか/あの「名作」が京都の街によみがえる!?~

あの名作が京都の街によみがえる!? 「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀 (「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。

収録されてるのは「山月記(中島敦)」「藪の中(芥川龍之介)」「走れメロス(太宰治)」「桜の森の満開の下(坂口安吾)」「百物語(森鴎外)」の5編。実は「走れメロス」以外ちゃんと読んだことがありません…。(「走れメロス」も国語の教科書で読んだ)なので、原作と比べてどう、という話は全然できません。リミックス版だけ聞いてるような状態です。すいません。生まれてすいません。

だいたいの話が作者お得意の「京都の腐れ大学生」がベース。『夜は短し歩けよ乙女』(→過去の感想文)などのリンクもちょいちょい見受けられます。全力でおふざけなのは逃げまくりの「走れメロス」くらいで、あとはかなり真顔の展開。『きつねのはなし』『宵山万華鏡』に近いモード。くすぐりも入れつつ、しっとりと。こういう”背中の哀愁”もじーんと描けるのがやっぱり森見登美彦の魅力のひとつですよねぇ。

どうアレンジしたのか、元の話も知りたくなる名作ビフォーアフター。第二弾が出るなら何をベースにするんだろう、と想像するのもまた一興。

山月記 (SDP Bunko) 藪の中 (講談社文庫) 走れメロス (角川文庫) ←なんだこの表紙?
桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫) 森鴎外 [ちくま日本文学017]

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