書店員から暗黙のメッセージ

ちょっと前の集英社文庫の中吊りなんですけど、この2冊が同時に文庫化されて書名がならんでいた。

池上彰『そうだったのか! 中国 』
萩本欽一『なんでそーなるの! 』

そして同じ中吊りのちょっと離れたところに

渡辺淳一『鈍感力』

も同時に文庫化されていて、納得したんだかしてないんだか気付いていないんだか、もうわけがわからなくなっていた。奇跡の同時3冊文庫化であった。

うって変わって今日の話。

本屋を覗いたら、平積みになっていたこちらの本。

なにやら「エチカの鏡」で話題になったらしいですよ。消すらしいですよ。ストレスを。

で、そのすぐ近くにこの本も平積みしてあった。

「皆さんにお集まりいただいたのは他でもありません。ストレスの原因は、この中にいます!」
「なにをバカなことを!」
「悲鳴が聞こえたとき、全員大広間にいたんだぞ!」
「そんな恐ろしいことをする人がいるもんですか!」
    2.2.1 「外部の者の犯行じゃなかったのか!?」
 
こういうことだろうか。脳から消すべきやつがこの中にいるぞ、という書店員からの暗黙のメッセージ。

脳から消す前にPCからストレスを消せということでしょうか。
 

警部!バラバラ殺人です!

absmiddle「ルパンです!」
absmiddle「ホームズです!」
absmiddleabsmiddle「「ルパン対ホームズです!」」
absmiddle「久しぶりですね」
absmiddle「久しぶりですね」
absmiddle「あ、お客さん、西日暮里から来たでしょ。なぁに簡単なことです…」
absmiddle「どうしてわかったんだホームズ!」
absmiddle「なんてね」
absmiddle「なんてねじゃないよ」
absmiddle「いやぁ、最近怖いことが多いね」
absmiddle「多いね」
absmiddle「怖いことといったらバラバラ殺人ね」
absmiddle「あー怖いね」
absmiddle「解決できませんからね」
absmiddle「しなさいよ」
absmiddle「難しいんだよ」
absmiddle「知らないよ。あんた専門でしょうよ」
absmiddle「じゃぁ、君、捜査するほうやってみなさいよ。僕は部下やるから」
absmiddle「あぁーいいよいいよ」

absmiddle「警部!山中でバラバラ殺人です!」
absmiddle「なんだと!?被害者の特徴は?」
absmiddle「シャネルのサングラス、ダイソーのピアス、ユニクロのニット、 NATURAL BEAUTY BASICのブラウス、Paul Smithのトランクス、コナカのパンツ、福助の足袋、頭髪はアデランスです」
absmiddle「見事にバラバラだな…って、こら」
absmiddle「アデランスにブラウスだなんて…!」
absmiddle「怖がるとこおかしいだろ。バラバラ殺人でしょ。そういう意味のバラバラじゃないから」
absmiddle「ごめんごめん。もう1回」
absmiddle「頼むよ」

absmiddle「警部!住宅地で一家バラバラ殺人です!」
absmiddle「なんだと!?被害者の特徴は?」
absmiddle「父親が絞殺、母親が刺殺、長男が撲殺、長女が毒殺、祖母が風呂場で溺死しており、奥の部屋で祖父が餓死しています!」
absmiddle「見事にバラバラだな…って、おいおい」
absmiddle「犯人はこの中にいる!」
absmiddle「みんな死んでんじゃん。っていうか祖父の餓死だけおかしいだろ」
absmiddle「まぁ…祖父は別の被害者だったというわけでね…」
absmiddle「ただでさえ怖いのにもっと怖いこと混ぜてくるんじゃないよ」
absmiddle「ごめんごめん。もう1回」
absmiddle「頼むよ」

absmiddle「警部!住宅地でバラバラ殺人です!」
absmiddle「またか!被害者の特徴は?」
absmiddle「キリンが逆立ちしたピアス、ユニオンジャックのランニング、テディベアのぬいぐるみ、中国生まれの黒い靴、シャガールみたいな青い夜、あの日芽生えた恋心ー、♪大好きだったけど~」
absmiddle「彼女がーいたーなんてー」
absmiddle「大好きだったけどー」
absmiddle「最後のープレーゼントー」
absmiddle「バイバイマイスイートダーーリン」
absmiddle「もう、さよならさせてもらうわ」
absmiddle「どうもありがと」
 

「どっちでもいい」の話

よく何か二択を迫られたときに「どっちでもいい」という人がいる。

人生は選択の連続である。「晩御飯、肉じゃがとポトフどっちがいい?」「コカコーラとペプシどっちがいい?」「マナとカナ、どっち呼ぶ?」いろんな選択があって、いろんなどっちでもいい、がある。

そんなどっちでもいいときは、適当にどっちか答えればいいと思う。だって、どっちでもいいんだから。

最初に言われた方を言う、とか決めといて、どっちでもいいなぁと思うときは最初の方を言う。

これだけ。

どっちでもいい、と言われた方はどっちか決めなければいけない。「どっちでもいいよ」「じゃぁこっち」「えー」「どっちでもいいって言ったじゃん!」な悲劇はこれでぐんと減る。

どっちでもいいんだから、どっちか言っちゃえばいい。

じゃぁ僕はマナで。

無意味の企み 石持浅海『攪乱者』

無血主義を貫くテロ組織に所属する三人を描いた連作短編。彼らは腐敗した日本政治を転覆させるために活動するプロのテロリスト…なのだけど、上層部からやってくる任務がなんだかヘンテコなものばかり。例えばこんなの。

・このレモンをスーパーのレモン売り場に置いてこい。
・このプラスチックの粉をどっかの公園の砂場に混ぜて、このアライグマが入ったケージを上に置いてこい。
・ここの新聞紙を丸めて紙袋に入れて、どっかの電車の網棚に置いてこい。
・適当なコンビニを選んでそこでバイトしてこい。
・あの女子大生と付き合え。

なんだよこれ?と言いつつも、組織の末端である彼らには真の目的は伝えられない。命令は絶対なので忠実に実行する彼ら。レモンの任務ではスーパーの下見をして、レモンがバラ売りかパック売りかちゃんと調べる抜かりなさ(無血主義なのでレモンは某作品みたいに爆弾だったりしない)

で、その場ではなんだかわからないのだけど、絵解きをしてくれるメンバーが毎回「第四の人物」として登場。彼の手にかかると、意味のないと思われた行動が、実は外交に影響したり、警察不信を招いたり、国民を正体がわからぬ不安に陥れることがわかるのだ。

「風が吹けば桶屋が儲かる」方式で、本当に実現するかは甚だ心許ないけど、一見遊びに見える行動が実は練られた計画である、とクルリと絵が変わるのが面白い。同じ石持浅海作品だと『心臓と左手』(→過去の感想)に近い手触り。

狂牛病や毒ギョーザ事件、タミフルの騒動やガードレールの鉄片など、実際に日本国民がなんだか不安に陥ったニュースは数多い。その裏に彼らテロリストが暗躍していたとしたら…なんて想像もしてしまうほどです。

宝酒造はタカラと酒造っすか

「タカラトミーは昔タカラとトミーだったんだよ」「マジっすか!」という世代がもう出てくるだろうか。

でもそんなことを言って「じゃぁ宝酒造はタカラと酒造なんすか」とかいわれたら何とツッコんだらいいだろう。

おもちゃメーカーがまさかの酒作り。「だって最近お菓子とか蕎麦とか作れるおもちゃあるじゃないっすか」いや、そうだけどお酒はだめだろう。未成年だよ。「父の日とかにあげればいいんっすよ」そうかもしれないけどだな「おとうさんありがとう、なんつってお酌されるんすよ。最高じゃないすか」そうかもしれないけど…そうかもしれないけど…

どうしても脳内チャラ男に言い負かされてしまう。親バカにつける薬はない。